採用学研究所の採用学7周年記念セミナー「2020年の採用活動を総括する」が11月12日、オンラインで開催された。本セミナーでは、研究員4人がこの1年の変化をどのように捉え、何に注目したかについて、それぞれの知見を語った。2020年の最大の関心事の一つは、新卒の採用活動が本格的にスタートした3月から感染拡大の勢いを増した新型コロナウイルスだ。多くの企業が不安を抱え、試行錯誤しながら進められた採用活動は、どのようなものだったのか。研究員が総括すると共に、次年度以降の対策などを提言した。冒頭、同研究所の伊達洋駆氏が挨拶。「2020年は激動の中で採用活動が行われました。本セミナーを通じて1年を振り返るきっかけとなればと思います」と述べた。以下、講演内容を前編・後編に分けてダイジェストでお伝えする。前編は伊達洋駆氏と神谷俊氏の講演を取り上げる。

講師

  • 伊達 洋駆 氏

    伊達 洋駆 氏

    採用学研究所 所長(株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)

    神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。共著に『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)や『「最高の人材」が入社する 採用の絶対ルール』(ナツメ社)など。



  • 神谷 俊 氏

    神谷 俊 氏

    採用学研究所 研究員(株式会社ビジネスリサーチラボ フェロー)

    法政大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、経営学修士。株式会社ビジネスリサーチラボにて調査・研究「アカデミックリサーチ」を推進する一方、多様な組織に在籍し、独自のキャリアを展開。自身では株式会社エスノグラファーを経営するほか、2020年4月からは、リモート環境における「職場」の在り方を研究する“Virtual Workplace Lab.(バーチャルワークプレイスラボ)”を設立。学術的な知見を基盤に「分断・分散」を前提に機能する組織社会の在り方を構想する。

2020年の採用は何が変わったのか、何が変わっていないのか

採用学研究所 所長 (株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)伊達 洋駆氏

変わらなかった学生の行動原理

ご存知のように2020年は採用を大きく変えた一年でした。一方で、変わらなかったこともあり、そこに目を向けるのは採用を考える上で非常に重要な手がかりとなります。そこで、変わらなかったこと、変わったことをテーマに話を進めたいと思います。なお、講演中に用いるデータは、私が代表を務めるビジネスリサーチラボが行った内定者調査・インタビューの結果をもとにしています。

最初に変わらなかったことをご紹介します。2020年の採用でも、求職者つまり学生の「不確実性低減理論」に基づく行動原理は変わりませんでした。不確実性低減理論とは、簡単に言うと、知らない者同士が出会った時、相手のことがよくわからない不確実性の高い状況となり、その不確実性を減らそうとすることを言います。採用のシーンに則して言えば、学生が未知の企業と出会い、その企業がわからないという状態を低減させる、要するに、よく知ろうとすることです。知ろうとする方法は主に3つあり、具体的には(1)受動的戦略、(2)能動的戦略、(3)対話的戦略です。

(1)受動的戦略は、相手と直接対話はしませんが、その相手が別の他人と話す様子を見て、間接的・受動的に知ろうとすることです。例えば、人事担当者が役員や他の学生と話す様子を観察して、社風などを感じ取ろうとします。(2)能動的戦略は、こちらも相手と直接対話はしませんが、口コミサイトやその企業を知る知人の話を聞き、積極的に情報を得ることを言います。(3)対話的戦略は、文字通り相手と対話して情報を取得することです。人事と直接話をするのはもちろん、OBOG訪問もこの戦略の一つです。新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、採用活動のオンライン化は進みましたが、学生がこの3つの戦略を用いることは変わらず、不確実性の低減を試みていました。採用手法に大きな変化はあったものの、学生の行動原理に変化はなかったと結論付けて良いでしょう。

この後、伊達氏、神谷氏による「2020年の採用活動の総括」に関する話題が続きます。続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

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