行き過ぎた「個人成果主義」を「チーム成果主義」へと方向転換すること。それがチームビルディングの概念だ。『不機嫌な職場』(講談社新書)という本が2008年のベストセラーとなったことにも象徴される通り、昨今はギスギス、イライラの温床のような職場が多い。
人と関わろうとしない空気が蔓延して、職場がチームとして機能しにくくなったからである。そこでチームビルディングに関心が集まるようだ。
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1952年、兵庫県生まれ。慶應義塾大学哲学科卒業。(社)日本能率協会にて経営事業本部、情報開発本部などに所属し、部長職を務める。現在、本田コンサルタント事務所代表としてコンサルティング、教育、執筆活動に従事。著書に『上司につけるクスリ』(サンマーク出版)、『いつも結果が出せる人の仕事術』『若者が3 年で辞めない会社の法則』(PHP研究所)、『仕事に活かす論理思考』(ちくま新書)、『ヘタな人生論より葉隠』(河出書房新社)などがある。
※この記事は『月刊人事マネジメント』に掲載された内容を転載しています。
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今回はごく簡単な事例を紹介しよう。出発点は「不機嫌な職場を改善したい」ということ。「ご機嫌な職場を作りたい」ということだろう。では、どうするか。まずは職場のメンバーの率直な意見に耳を傾けてみよう。アンケートをとるなり、研修でアイデアを募るなりしてみる。現場のことは現場の人に聞け、である。
ある会社でこれを行ったところ、次のような案が出た。
● ほめまくりの日を作ろう
● 1 日に3 回「ありがとう」を言おう
●「私がお手本です」のたすきをかけよう
● 月に一度ノーメールの日を作ろう
「ほめまくり」とはユーモラスな表現だが、週に1 回、人をほめてほめてほめまくる、そんな日を設けようというのである。「私がお手本です」とは、この文字を記した大きなたすきをメンバーが順に1 日ずつかけ、コミュニケーションの手本を示そうという案だ。
実際にやってみると、まずみんなの顔が明るくなった。初めは照れながら、といった感じだが、メンバー同士が互いに関心を持ち合い、言葉をかけ合うようになった。
こうして書くと、ふざけたことをやっているみたいだが、決してそうではない。暗い職場、不機嫌な職場に必要なのは、楽しさを演出すること、笑いと活気をもたらす仕掛けを考案すること。それが「ご機嫌な職場作り」の第一歩であり、モチベーション・マネジメントの一環といっても過言ではない。ご機嫌な職場作りは、かけ声だけでは実現しない。メンバーが相互に関心を持つこと、気軽に言葉をかけ合うこと、そのための場を作ることが欠かせない。
よく、「ウチは飲みニケーションをやっているから大丈夫」などと言う人がいるが、特定の気の合うメンバーとだけでアフター5にイッパイでは、効果のほどは疑わしい。仲間うちで酒を飲みながらグチをこぼしていても、前向きなエネルギーは生まれないからだ。
飲みニケーションをやるなら、チームメンバーが集まって、上下の隔てなく談話する場を設けること。ベンチャー企業の草分けである京セラや堀場製作所などは、長年これを企業文化として大事に継承している。
チームメンバーが集まる場作りは、その気になればいろいろと工夫できる。また実例を挙げてみよう。
● ごほうびランチ
仕事に一区切りがついた日には、みんなでちょっと豪勢なランチを食べに行く。シティーホテルで催しても、夜のイッパイに比べれば安いもの。日本の職場では今、パーテーションの中での孤食が増えているという。ごほうびランチは息抜きと、仕事にめりはりをつけるうえで想像以上の効果がある。
● クス玉の日
チームやプロジェクトの目標が達成された日のために、クス玉を用意しておく。中には「○○達成おめでとう!」の文字と手製の紙吹雪。上司から「○○を達成しろ」とハッパをかけられるだけでは、なかなかモチベーションが上がらない。楽しい演出を加えることでチーム目標をみんなで共有し、結束力を高める。クス玉を割る楽しさは大人も子供も変わらない。実際にやってみると病みつきになるほどだ。
● スイーツクラブ
職場の一角にスイーツ(甘いもの)コーナーを設ける会社が多くなった。残業を余儀なくされる日は、例えば5 時半、 6 時などと時間を決めておき、10分ほど休憩タイムとする。そこで各自の進捗状況を伝え合ったり、情報交換をしたりする。そういうコーナーがなければ当番制でコンビニにでも買いに行き、みんなにふるまえばよい。ホッとできる時間を作り、それを共有するだけで残業もはかどるというものだ。リーダー格が買い出し係を担当している職場は、ほぼ例外なく雰囲気がよい。
成果主義が強調される組織では、数字に表れる短期的な結果にばかり目が行く傾向がある。たくさん売った人、たくさん顧客を獲得した人が顕彰され、それ以外の人は相対的に「役立たず」と見なされがちなことは否定できない。
成果はもちろん大切だが、目に見えない努力や、いずれ成果につながるかもしれない潜在的な部分にも光を当てる必要がある。
● チーム奨励賞
例えば長年ミスなく経理をこなしている人、新人なのにユニークな提案をした人など、チームに貢献した人を互選によって選び、表彰する。ここでは互選という仕掛けを作ることがポイント。メンバー同士が互いに関心を持つことが前提になるからだ。賞品などは、ごくささやかなものでかまわない。みんなで受賞者を選び、みんなの前で顕彰すればそれでよい。
● 失敗大賞
成功は賞賛され、失敗は非難されるのが組織の常なので、失敗したときは誰もがそれを隠そうとする。だから「失敗に学ぶ」ということが、なかなかできない。力を尽くしたうえでの失敗は、それを公表してチームの資産とすることが大切だ。暗黙知を形式知として共有すること、と言い換えてもよいだろう。失敗大賞は月に1 回あるいは四半期に1 回メンバーが集まって、期間中にいちばん大きな失敗をした人から体験談を聞くという制度である。初めは誰も選ばれたくないので、リーダー格が率先して受賞し、見本を示す。ある会社では役員クラスから実践したことで、しっかり定着した。学習する組織作り、またオープンマインドな風土作りという観点からも、非常に効果が大きな仕掛けといえる。
(2011.12.05掲載)