中堅企業で大企業よりも内定出しのペースが早まる可能性

2027年卒採用の内定出しの開始時期を月ごとの割合で見てみると、大企業では「2025年6月」が最多で15%、中堅企業では「2025年5月以前」と「2025年11月」、「2025年12月」が14%で並び、年内に開始する割合としては48%と半数近くに上っています[図表12]
[図表12] 企業規模別 2027年卒採用の内定出しの開始時期(予定含む)
大企業の年内開始の割合は44%と4割程度で、中堅企業は大企業よりやや早いペースの内定出しとなる可能性があります。一方、中小企業は「2026年3月」が最多で16%となっており、年内開始の割合は29%と3割未満となっています。「2026年3月」以降で比較すると、大企業と中堅企業がともに41%なのに対し、中小企業は57%と6割近くに達しています。今年も、大企業と中堅企業の内定出しのピークが落ち着いてきたところで、選考と内定出しを本格化する動きは変わらないようです。

2026年卒採用の内定者充足率別に内定出しの開始時期を見ると、やはり面接選考と同様に、内定者充足率の低い企業ほど2027年卒採用の内定出し開始時期も早い傾向が顕著に見られます[図表13]
[図表13] 2026年卒の内定者充足率別 2027年卒採用の内定出しの開始時期(予定含む)
「内定者充足率20%未満」の企業群では、「2025年5月以前」の割合が最も高く16%で、他の企業群よりも顕著に高くなっています。また、「2025年7月」までに開始する割合で企業群別の状況を比較すると、「内定者充足率80%以上」では12%、「内定者充足率20~80%未満」では10%と1割程度であるのに対して、「内定者充足率20%未満」では27%と3割近くにも上っており、非常に早い時期から内定出しを開始することにしています。2026年卒採用時の傾向でも見られたとおり、どれだけ内定出しを早くしてスタートダッシュをしても、内定辞退防止のための内定者フォローの期間が2年近くとなり、学生はより魅力的な企業の内定を得られればそちらへ流れてしまうため、内定者を引き留め続けることが非常に困難であると想定されます。そうした過度な負荷を避けるためにも、内定出しを極端に早期から開始するのは避けるほうが良いと思われます。

2027年卒採用の内定出しの開始時期を2026年卒採用と比較してみると、面接選考と同様に、いずれの内定者充足率の企業群においても「ほぼ変わらない」が最も多く7~8割程度に上っており、「遅くなる」とする企業はほとんど見られません[図表14]
[図表14] 2026卒の内定者充足率別 2027卒採用の内定出しの開始時期(2026卒採用との比較)
「早くなる」(「1カ月以上早くなる」「1カ月程度早くなる」「2週間程度早くなる」の合計)の割合は、「内定者充足率80%以上」の企業群では16%と2割未満であるのに対して、「内定者充足率20~80%未満」と「内定者充足率20%未満」ではそれぞれ29%、30%と3割程度になっています。この結果から、内定者充足率が低い企業ほど、2026年卒採用時より内定出しの開始時期を早める傾向がより顕著になることが推測されます。面接選考や内定出しの開始時期を早めることよりも、学生への訴求内容や訴求方法を今一度見直し、求める人材要件によりマッチした学生の集客を考える時期に来ているのではないでしょうか。

次回は、2026年卒学生を対象に、2025年6月に実施した就職活動動向調査の結果を紹介します。

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