インターンシップの集客に苦戦する中堅企業
最後に、インターンシップについても確認してみましょう。まずは、前年と比較したインターンシップ参加者数の状況です。全体では、「前年並み」が54%と半数を超えたものの、“前年より多い”(「前年より多い(参加者が2倍未満)」と「前年より多い(参加者が2倍以上)」の合計)が11%と1割程度なのに対して、“前年より少ない”(「前年より少ない(参加者が5割未満)」と「前年より少ない(参加者が5割以上)」の合計)は34%と3割を超えています[図表13]。
![図表13]企業規模別 インターンシップ参加者数の前年比較](https://img.hrpro.co.jp/images/tokushu/hr_tokushu_photo_4450_20_3VST72.png)
企業規模別に見ると、大企業では「前年並み」が69%と約7割を占め、「前年より少ない(参加者が5割未満)」はわずか3%にとどまるのに対して、中堅企業で40%、中小企業でも22%が「前年より少ない(参加者が5割未満)」としています。特に中堅企業では、「前年並み」は27%と3割を割り込み、「前年より少ない(参加者が5割未満)」が最も多くなっています。既にインターンシップの参加者集めの段階で中堅企業の苦労の様子がうかがえます。
内定者充足率別に見ると、さらに明暗がはっきりと分かれます。「前年並み」が最も多いのはどの充足率の企業群も同じですが、「内定者充足率 80%以上」から順に、68%、50%、44%と充足率が低い企業群ほど「前年並み」の割合が減少していき、代わりに「前年より少ない(参加者が5割未満)」の割合は、充足率が低い企業群ほど5%、16%、38%と増加しています[図表14]。
![[図表14]内定者充足率別 インターンシップ参加者数の前年比較](https://img.hrpro.co.jp/images/tokushu/hr_tokushu_photo_4450_21_1E49RK.png)
最後は、インターンシップの実施時期を振り返ります。全体では、「2024年7月」から実施する企業が増え始め、夏期休暇の「2024年8月」に63%と6割を超えてピークを迎え、「2024年9月」以降、徐々に減少し始め、政府主導の就活ルールで採用広報解禁となる「2025年3月」には、「2024年5月以前」をも下回る1割程度に落ち着きます[図表15]。
![[図表15]企業規模別 インターンシップの実施時期(複数選択)](https://img.hrpro.co.jp/images/tokushu/hr_tokushu_photo_4450_22_KR182D.png)
例えば、「2024年6月」「2024年7月」では、大企業と中小企業は2~3割程度の企業がすでに実施しているのに対して、中堅企業では実施率が「2024年6月」6%、「2024年7月」17%の後、「2024年8月」になると61%に跳ね上がります。また、「2024年10月」「2024年11月」においては、中堅企業が大企業よりも20ポイント以上低く、さらに中小企業よりも低くなっています。
逆に「2025年3月以降」は、大企業の3%に対して、中堅企業は22%と2割以上の企業が実施しています。中小企業では、「2024年11月」に「2024年8月」に次ぐ52%と半数以上の企業が実施しているほか、「2025年2月」でも39%と4割程度の企業がインターンシップを実施するなど、「2024年11月」から「2025年2月」まではどの企業規模よりも実施企業の割合が高くなっています。
大企業でインターンシップを実施する企業が少なくなってきたタイミングで、出遅れた学生や仕切り直しの学生を狙って、あえてこの時期まで実施しているとしたら、うまく学生を集客できている可能性があります。[図表13]で見たように、「前年より少ない(参加者が5割未満)」と学生集客に苦戦している中小企業の割合は、中堅企業の約半分程度です。大企業の動きに翻弄されない、中小企業のこんな動きが功を奏しているのかもしれません。
次回も、26卒採用を振り返ります。
