「社員の対応・人柄」を重視する理系
最後に、2025年3月上旬という早い段階において、学生はどんな項目を重視して内定承諾を決めたのでしょうか。内定承諾した理由(複数回答)の上位15項目を文理別に比較したものが[図表16]です。1位は文系・理系ともに「仕事内容」で、それぞれ78%、76%と8割近くに上っています。2位は文系・理系ともに「勤務地」となりましたが、文系52%に対して理系は63%と、理系のほうが10ポイント以上高くなっています。「勤務地」へのこだわりは、文系よりも理系のほうが高そうです。文系で50%以上の項目はこれ以外では「会社の雰囲気」(50%)のみで、4割以上の項目も「事業内容」(43%)の一つのみです。一方、理系では、「事業内容」「給与・待遇」がともに59%と6割近くとなっているほか、「会社の雰囲気」「福利厚生」がともに53%と5割を超え、「社員の対応・人柄」など4項目が4割以上となっています。総じて理系のポイントが高くなっており、理系のほうがより多くの項目を複合的に考慮した上で、内定承諾に至っていることがうかがえます。その他のランクインした項目を見ると、文系では「給与・待遇」「初任給」「福利厚生」が37%で、同率6位となっています。理系でも、「給与・待遇」は3位、「福利厚生」は5位、「初任給」は8位(44%)と高くなっています。ここ数年、長らく停滞していた初任給額の引き上げ合戦が続いていますが、それも学生の「初任給」への関心を高める結果につながっていると推測されます。
また、文系では「社員の対応・人柄」(24%)と「人事の対応・人柄」(20%)のポイント差は小さいですが、理系では「人事の対応・人柄」の34%に対して「社員の対応・人柄」は47%と顕著な差が見られます。理系が重きを置く対面型インターンシップ期間中に接した現場の社員の印象が、内定承諾においても大きなインパクトを持っているものと推測されます。来年度以降、ますます参加する学生が増えると思われる対面型インターンシップの企画においては、学生にどんな業務を体験してもらうかということももちろん大切ですが、それ以上に誰と一緒に業務に就いてもらうのか、その組み合わせにも十分配慮する必要がありそうです。
![[図表16]文理別 内定承諾の理由TOP15(複数回答)](https://img.hrpro.co.jp/images/tokushu/hr_tokushu_photo_4394_16_0X4C0B.png)
