エントリー数にこだわる企業群では重要視されない「映像制作」

ここからは、2027年新卒採用の予測について見ていきます。2027年卒採用で重視する施策(複数回答)について、企業規模別に見ると、大企業では「採用ホームページ」が最多で50%、次いで「就職ナビ」が32%、「対面型セミナー・説明会」が29%などとなっており、これら上位3項目は2026年卒採用時と同様の傾向です[図表7]
[図表7] 企業規模別 2027年卒採用で重要になると思う施策(複数回答)
中堅企業では「対面型インターンシップ」が最多で31%、次いで「就職ナビ」と「対面型セミナー・説明会」がともに28%と3割近くに上っています。また、「リファラル採用」は24%で、大企業(9%)や中小企業(6%)と比べ顕著に高くなっており、これらの施策により自社にマッチした学生を効率よく獲得したいという狙いがうかがえます。

一方、中小企業では「採用ホームページ」が最多で41%、次いで「就職ナビ」が35%と大企業と同様の傾向を見せているものの、3位は「対面型インターンシップ」(22%)で、大企業で3位の「対面型セミナー・説明会」はわずか8%にとどまるなど、その他の施策の順位は大きく異なります。大企業と中堅企業でそれぞれ26%、24%で上位だった「内定者フォロー」は中小企業ではわずか4%にとどまり、同じく15%、14%だった「映像制作」に至ってはわずか2%という状況です。

次に、内定者充足率別の回答でも比較してみましょう。「内定者充足率80%以上」の企業群では、「採用ホームページ」が44%で最も多く、次いで「対面型インターンシップ」(36%)、「就職ナビ」「対面型セミナー・説明会」「キャリアセンターとの関係強化」「映像制作」(いずれも24%)で続きます[図表8]
[図表8] 2026年卒の内定者充足率別  2027年卒採用で重要になると思う施策(複数回答)
一方、「内定者充足率20%未満」の企業群では、「就職ナビ」が38%で最多となっており、「採用ホームページ」(24%)、「対面型インターンシップ」(16%)が続きます。上位3項目は同じでも、その重要度の考え方は大きく異なっています。「内定者充足率80%以上」の企業群では、単にエントリー数を追い求めているのではなく、「採用ホームページ」や「映像制作」などにより、より深い情報を学生に届けることで、自社が求める人材像とのマッチ度の高い学生を誘引しようとしているのに対し、「内定者充足率20%未満」の企業群では「映像制作」が0ポイントとなるなど、人材のマッチ度以前に、エントリー数にこだわっている様子がうかがえます。

内定者充足率の低い企業ほど選考時期を早める傾向

この記事にリアクションをお願いします!