獲得競争が激しい理系学生の内定出しが先行

次は、内定出し開始時期を文系と理系に分けて見てみましょう。まず、文系学生に対する内定出しの開始時期については、大企業と中小企業では「2025年3月」がピークで、それぞれ29%、25%と3割近くになっています[図表3]
[図表3] 企業規模別 2026年卒採用の文系学生の内定出し開始時期(予定含む)
一方、中堅企業では「2024年5月以前」がピークで、面接開始時期と同じく18%と2割近くにも達しており、大企業、中小企業とは対照的に「2025年3月」は14%にとどまります。

また、「2025年2月」までに内定出しを開始した割合では、大企業では56%と6割近くに上り、前年の2025年卒採用時より早いペースで進行していることがうかがえます。中堅企業では、ピークは早かったものの、「2025年2月」までに開始した割合は46%と大企業を下回ります。一方、中小企業で「2025年2月」までに開始した割合は26%にとどまる反面、ピークの「2025年3月」以降に開始した割合が57%と6割近くに達しており、2月までに開始した割合を大きく上回る結果となっています。

理系学生に対する内定出し開始時期については、「2025年2月」までに開始した割合は、大企業では62%と6割以上に上り、文系学生より6ポイント高くなっています[図表4]
[図表4] 企業規模別 2026年卒採用の理系学生の内定出し開始時期(予定含む)
理系学生に対する採用ニーズは引き続き高い状態にあるため、文系学生より早めに獲得に動く企業が多い傾向にあると考えられます。中堅企業では「2025年2月」までに61%と6割以上が内定出しを開始し、大企業と同等のペースとなっています。中でも「2024年11月」(14%)と「2024年12月」(18%)に集中しており、合わせて32%と3割以上が開始しています。一方、中小企業では「2025年3月」が25%でピークとなっており、「2025年2月」までに開始した割合は28%と3割未満にとどまります。

内定者充足率が低い企業群では「全員辞退」が4分の1に
既に内定出しを開始している企業について、2025年6月時点における内定辞退率を確認してみます。まず、企業規模別の内定辞退率の状況を見てみると、特に目立っているのは、中小企業における「0%(辞退者ゼロ)」の割合が、48%と半数近くに上っている点です[図表5]
[図表5] 企業規模別 2025年6月時点での内定辞退率
中小企業は採用規模が小さく、少し辞退者が出ただけで内定辞退率が跳ね上がるリスクを抱えていますが、効率よく採用できている企業が多い傾向がうかがえます。

一方、大企業では「0%(辞退者ゼロ)」の割合は12%と1割程度にとどまっています。ただし、採用規模自体が大きいため、辞退者が複数人出ることは想定内であるといえるでしょう。また、大企業では「20%未満」が35%で、これらを合わせると“0~20%未満”の割合は47%と半数近くに上っています。

これに対して、中堅企業では「0%(辞退者ゼロ)」が26%と大企業より多く、“0~20%未満”で見ても45%で大企業と大きな違いは見られません。ただし、中堅・中小企業では「100%(全員辞退)」の割合が11%や9%と1割程度あり、これらの企業では、内定を出しても断られてしまう原因を追究して次回に適切に生かす必要があります。

次に、内定者充足率別に内定辞退率の状況を確認します。「内定者充足率80%以上」の企業群では“0~20%未満”の割合が74%と7割以上にも達します[図表6]
[図表6] 内定者充足率別 2025年6月時点での内定辞退率
一方、「内定者充足率20%未満」の企業群に注目すると、「0%(辞退者ゼロ)」が46%と半数近くであるものの、「100%(全員辞退)」の割合も他の企業群比で顕著に高く、25%と4分の1に上っています。この結果から、内定者充足率が低い背景として、「そもそもの応募が足りず内定出しまで至っていないこと」と「内定を出しても辞退されることが多い」の両面が見えてきます。

エントリー数にこだわる企業群では重要視されない「映像...

この記事にリアクションをお願いします!