主体性の有無が評価を分ける
ところで、面接において回答企業が考える学生の評価の分かれ目は、どんなところにあるのでしょうか。面接の際の学生の態度や回答内容を踏まえた、「高い評価となる学生」と「低い評価となる学生」についてのフリーコメントから、一部を抜粋して紹介します。まずは「高い評価となる学生」です。しっかりとした「自分の軸」を持っていることのほか、主体性や他者を巻き込む力、コミュニケーションの能力の高さなどを挙げる声が多いようです(カッコ内は回答企業の規模、業種)。
・自分で判断、決断して行動してきた学生(300名以下、IT・通信)
・自分のやりたいことをしっかりと熱意を持って話せる学生(1001名以上、サービス)
・自分をしっかり説明できる学生(1001名以上、メーカー)
・自身の経験を掘り下げて説明できる学生(300名以下、メーカー)
・過去に自主的な活動をどれだけやってきたかを伝えられる学生(301~1000名、商社・流通)
・経験や考えを自分の言葉で端的に自信を持って語れる学生(300名以下、メーカー)
・自分の取った行動とその結果、反省を結び付けて答えられる学生(300名以下、IT・通信)
・挫折を乗り越え自発的に行動を起こし、他者を巻き込む経験がある学生(300名以下、マスコミ・コンサル)
・自律的に考え行動し、挑戦してきた経験がある学生(301~1000名、IT・通信)
・自身の考えを論理的に、根拠を示してプレゼンできる学生(1001名以上、サービス)
・人当たりの良さのみならず、自分の言葉で説明できる学生(1001名以上、IT・通信)
・自責型人材(1001名以上、メーカー)
・周囲を巻き込んで行動した経験のある学生(300名以下、商社・流通)
・実績と発言内容が一致し、成長が感じられる学生(1001名以上、メーカー)
・ストレス耐性が見込める過去の経験談や思考パターンを確認できた学生(301~1000名、メーカー)
・ハキハキと自分の考えを簡潔に話せる学生(300名以下、IT・通信)
・コミュニケーション能力が高い学生(300名以下、メーカー)
・質問に対して的確に、簡潔かつ論理的に答えるとともに、相手の話をよく聞き、適切なリアクションができる学生(300名以下、メーカー)
・傾聴の姿勢のある学生(300名以下、サービス)
・自立心・意欲のある学生(1001名以上、メーカー)
・主体性やコミュニケーション能力を感じられる学生(301~1000名、メーカー)
・リーダーシップが強く、チーム内のタスク管理を実施した経験がある学生(300名以下、IT・通信)
一方、「低い評価となる学生」では、コミュケーション能力や積極性・主体性の低さ、型どおりの回答しかできないことなどを挙げる声が多くなっています。
・何を言っているか分からない、伝える力がない学生(300名以下、メーカー)
・準備してきたことをそのまま読み上げている学生(300名以下、サービス)
・質問の内容とは的外れな回答をする学生(1001名以上、メーカー)
・話す内容がちぐはぐで、落ち着きのない学生(1001名以上、IT・通信)
・自律性や意思がなく、伝える能力も乏しい学生(300名以下、商社・流通)
・自分の考え方をしっかりと伝えられない学生(1001名以上、サービス)
・話をしっかり聞かない(聞けない)、自分の考えを持とうとしない学生(301~1000名、IT・通信)
・就職に対する能動的な姿勢が見えない学生(1001名以上、メーカー)
・自信を持っていない学生(1001名以上、IT・通信)
・無関心、興味薄、好奇心薄な態度の学生(301~1000名、メーカー)
・無表情、声が小さい。積極性がない。質問に対しての回答がまとまっていない学生(300名以下、商社・流通)
・エントリーシートどおりの話しかできない学生(300名以下、メーカー)
・自発的に行動を起こした経験や、他者を巻き込んだ経験がない学生(301~1000名、サービス)
・業界不問で、ただ語学を活用したいだけの学生(300名以下、マスコミ・コンサル)
・他責型人材(1001名以上、メーカー)
・受け身な姿勢が多い学生やネガティブな発言が多い学生(300名以下、メーカー)
「親と相談します」と即答する学生も
続いて、良くも悪くも面接で印象に残っている学生の回答・エピソードについて、フリーコメントで回答してもらいましたので、その一部を抜粋して紹介します。いろいろなタイプの学生がいるものですね。・自分の得意技をその場で実演して見せてくれた(1001名以上、IT・通信)
・選考を受けるに当たり、事前に自社と契約をしてくれた(1001名以上、サービス)
・自分の推し活について、何が素晴らしいのか、熱心に説明しようとしてくれた。環境も考え方も志向も異なる相手に、何とかその良さを伝えようと必死になっている姿に、少し感動を覚えた(301~1000名、IT・通信)
・「将来、社長になりたい」と宣言した(301~1000名、メーカー)
・新幹線で乗り過ごして、遅刻してきた(300名以下、メーカー)
・失敗した経験の有無とそのリカバリーを質問したところ、「今まで生きてきた中で失敗した経験はありません!」と言い切った(300名以下、IT・通信)
・当社に入社するために努力した点を、インターンシップでの経験を交えてストーリー仕立てで話してくれた(300名以下、マスコミ・コンサル)
・某国立大学理学部生物学系の学生で、動物、特に馬が好きなので、第一志望はJRAだと明言した(300名以下、IT・通信)
・「私の強みは“おばあちゃん力”です」と言った学生。「私は人の話をじっくり聞き、相手が何を求めているかを察するのが得意です。友人からは“おばあちゃんみたいに落ち着いている”と言われます。そのおかげで、ゼミやアルバイトでも相談役として信頼されてきました」と、ユーモアを交えつつ、共感力や傾聴力というビジネスでも重要なスキルをアピールしているし、その後も受け答えがスムーズで話が盛り上がって、アピールに説得力があった(300名以下、メーカー)
・「他社からも内定が出たらどうするか?」の問いに、「親と相談します」と即答した(301~1000名、メーカー)
・遊園地を作りたいと言った学生がいた(1001名以上、サービス)
