日原 雪恵 氏
登壇者:

国立大学法人山形大学 人文社会科学部 講師 日原 雪恵 氏

専門は労働法。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了。2019年4月より東京大学大学院法学政治学研究科助教を経て、2022年4月より現職。主な論文に、「諸外国におけるハラスメントへの法的アプローチ―セクシュアル・ハラスメント、『差別的ハラスメント』と『いじめ・精神的ハラスメント』の横断的検討―(1)(2・完)」季刊労働法278号・279号(2022年)、「労働におけるハラスメントの法的規律――セクシュアル・ハラスメント、差別的ハラスメント及び『パワー・ハラスメント』に関する日仏カナダ比較法研究(1)~(3・未完)」法学協会雑誌140巻1号・3号・5号(2023年)等がある。
国立大学法人山形大学 人文社会科学部

諏訪 康雄 氏
登壇者:

法政大学 名誉教授/認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長 諏訪 康雄 氏

1970年に一橋大学法学部卒業後、ボローニャ大学(イタリア政府給費生)、 東京大学大学院博士課程(単位取得退学)、ニュー・サウス・ウェールズ大学客員研究員(豪州)、 ボローニャ大学客員教授、トレント大学客員教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、 厚生労働省・労働政策審議会会長等を経て、2013年から2017年まで中央労働委員会会長。 現在、法政大学名誉教授、認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長。主な著書に『雇用政策とキャリア権』(弘文堂・単著)、 『雇用と法』(放送大学教育振興会・単著)、『労使コミュニケーションと法』(日本労働研究機構・単著)、 『労使紛争の処理』(日本労使関係研究協会・単著)、『外資系企業の人事管理』(日本労働研究機構・共著)、 『キャリア・チェンジ!』(生産性出版・編著)など。

“企業としての哲学”を持ってハラスメント対策に臨む

諏訪氏:ハラスメントに関して、日本では包括的な議論が見られません。何故なのでしょうか。

日原氏:一つには、和製英語が好きでいろいろな言葉が出来てしまったということがあり、言葉が出来て認識されて裁判等で問題になったことを別々の法律に次々立法してきた結果、今のような状況にあるといえるかと思います。

諏訪氏:企業としては、経営哲学を持つことが重要です。個々の法律規定をクリアするだけではなく、「何が根本の原因なのか」、「自社はどう考えたらよいか」を突き詰めることですね。この哲学が、他国と比べてズレている気がします。ハーバード大学のメアリー・C・ブリントン先生も、日本人が従来からの「規範」に縛られ過ぎていて、それがハラスメントを深刻化させる原因の一つだと指摘しています。最後に、企業に何かアドバイスをいただけますか?

日原氏:諏訪先生のおっしゃる通り、哲学や広い視野を持ち、背景にも目を配ることが重要です。法的義務だけにこだわらずに、従業員が働きやすい職場環境をどう作るかを考える必要があります。

諏訪氏:企業としては、単にハラスメントを起こさないだけでなく、「どうしたら気持ち良く働ける職場を作れるか」、「いかに生産性の高い働き方をしていくか」など、まさに働き方改革の次のバージョンを目指していく必要があると思います。日原先生、今日は有益なお話をありがとうございました。

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