HR総研:2025年&2026年新卒採用動向調査(12月)結果レポート内定充足率90%以上は大企業で7割近く、内定充足率が高い企業の特徴とは?
2025年も3月に入るこの時期、2025卒採用では4月の入社に向けた内定者フォローを継続するとともに、2026卒採用ではインターンシップや会社説明会、ダイレクトリクルーティングなどで、ターゲット層となる学生の確保に力を入れている企業も少なくないのではないだろうか。
そこでHR総研では、2025年と2026年新卒採用の実態についてアンケートを実施した。内定充足率の高い企業の特徴なども含め、調査結果を以下に報告する。
内定充足率「90%以上」は大企業で7割近く、中堅・中小企業では4割未満
まず、2025年新卒採用(25卒採用、以下同じ)の振り返り結果から、今後の新卒採用に活かせるポイントを探っていく。
2024年12月時点での2025年4月入社の採用計画に対する内定者充足率について見てみると、従業員数1,001名以上の大企業では「100%以上」が最多で36%、次いで「90~100%未満」が32%で、これらを合計した「90%以上」(以下同じ)の割合は68%と7割近くに上る。301~1,000名の中堅企業では「90~100%未満」が最多で22%、「90%以上」は36%で大企業より32ポイントも低い状態となっている。一方、「50%未満」(「0%」~「30~50%未満」の合計、以下同じ)は27%と3割近くに上る。300名以下の中小企業では「90%以上」は31%で大企業より37ポイント低く、中堅企業よりも5ポイント低い。中小企業で最も多いのは内定充足率「0%」で23%、「50%未満」は31%と3割に上る(図表1-1)。
大企業の方が内定出しのタイミングが早い傾向ではあるものの、25卒学生の入社まで4ヶ月を切る12月時点で内定充足率が5割に満たない状況に、焦りを募らせている中堅・中小企業の人事担当者も少なくないことがうかがえる。
【図表1-1】企業規模別 2025年4月入社の採用計画に対する内定者充足率(2024年12月時点)
内定者が1名以上いる企業において、内定者のうち当初設定していたターゲット層の占める割合を見てみると、大企業では「80~100%未満」が圧倒的に多く52%と半数を超えている。次いで「50~80%未満」が30%などとなっている。大企業では内定数も多いこともあるためか「100%」は11%と1割にとどまっており、「80%以上」(「80~100%未満」と「100%」の合計、以下同じ)の割合は63%と6割に上っている。中堅企業を見てみると、「50~80%未満」が最多で29%と3割に上る一方、「100%」と「80~100%未満」がともに26%、したがって「80%以上」の割合は52%で、半数程度の企業が内定者のうち8割以上はターゲット層の学生を獲得できている。ただ、残りの半数程度の企業ではターゲット層ではない内定者が2割以上含まれており、中堅企業で新卒採用に苦戦していることが分かる。中小企業の状況については、「80~100%未満」が最多で32%、次いで「100%」が29%、したがって大企業と同様に6割程度の企業が内定者のうちターゲット層の学生が8割以上含まれており、内定者自体は少ないものの、ターゲット層獲得の精度は高く採用できている傾向にあることがうかがえる(図表1-2)。
【図表1-2】企業規模別 内定者のうち当初設定していたターゲット層の占める割合
大企業の半数は「入社後に配属先通知」、内定充足率が高い企業の「入社後キャリアイメージの説明機会」は?
自身のキャリアプランを考えながら就職活動を行っている学生にとっては、新入社員として入社した後、どの部署に配属されるのか気になるところだろう。採用活動をする企業としては、どのタイミングで学生に対して入社後の配属先(予定先)を伝えるのかを確認してみると、いずれの企業規模においても「選考途上(内々定前)」が最多で、大企業から順に30%、19%、36%となっている。ただし、大企業では「入社式以降」(「入社式当日」~「新入社員研修終了時」の合計)の割合が52%と過半数に上り、入社してみるまでは配属先がわからないケースが少なくないことがうかがえる。一方、中堅企業では「入社式以降」は39%と4割で、入社前までに配属先が伝えられている企業の方が多数派であることが分かる。中小企業は「入社式以降」は34%と3割程度で、中堅企業と同様に入社前までに伝える企業の方が多数派となっている(図表2-1)。大企業では内定者数も配属候補先も多く、様々な条件によりギリギリまで決定しづらい状況にあることも、配属先通知のタイミングが遅くなる要因の一つだろう。このような状況の中、できるだけ職種や配属先が明確になった採用をしてもらいやすいジョブ型採用は、キャリアプランが明確な学生にとって安心感が高く魅力的な採用手法なのだろう。
【図表2-1】企業規模別 入社後の配属先(予定先)を伝えるタイミング
25卒採用活動として、入社後の育成やキャリアマップのイメージに関する説明の機会をどのタイミングで設けたかについては、内定充足率別に3つの企業群に分けて、違いを見てみる。
まず「内定充足率90%以上」の企業では、「セミナー・会社説明会で説明している」が最多(56%)でありつつ、それ以外に「採用HPに記載している」(38%)、「インターンシップで説明している」(27%)など、採用選考への応募前から学生が情報を入手しやすい多様な形で発信していることがうかがえる。「内定充足率70~90%未満」の企業の傾向も「内定充足率90%以上」の企業と似ているが、「インターンシップで説明している」の割合の差が顕著で、「内定充足率90%以上」の企業より17ポイントも低い10%にとどまっている。一方、「内定充足率50%未満」の企業では、「セミナー・会社説明会で説明している」(46%)と「採用選考面接で説明している」(34%)の割合が多く、採用選考への応募者もしくは応募意思が強い学生にのみ届ける形で発信する傾向にある。
これらの結果から、自社の仕事に対して興味を持った学生が集まっているインターンシップなどを活用して、潜在的な応募者に向けて入社後のキャリアイメージ(成長イメージ)を積極的に発信することで、自社への関心を高め応募数を増やし、内定充足率を高めることにも繋がるといえるだろう。そのためには、積極的に発信できるだけの自社内でのキャリアマップやキャリアパス、育成体系等を構築しておく必要もあるだろう(図表2-2)。
【図表2-2】25卒採用の内定充足率別 入社後の育成やキャリアマップのイメージに関する説明の機会
採用計画数に対する内定数、大企業では「1.2倍程度」が最多
ここからは、2026年新卒採用(26卒採用、以下同じ)の動向について見てみる。
2026年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数については、いずれの企業規模でも「前年並み」が最多で、大企業では69%で7割、中堅企業では52%で半数程度、中小企業では34%で3割程度となっている。「増やす」と「減らす/採用なし」の割合を比較すると、大企業では8ポイント差で「増やす」が高く19%、中堅企業ではともに19%、中小企業では「採用なし」が30%で顕著に高くなっている(図表3-1)。
【図表3-1】企業規模別 2026年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数
内定を受けた学生から辞退される可能性を考慮して、採用計画数よりどの程度多く内定を出すこととしているかについては、大企業では「1.2倍程度」が最多で39%、次いで「1.0倍」が29%で、これらを合計した「1.2倍以内」が68%と7割近くとなっている。中堅企業では「1.5倍程度」が最多で39%、「1.2倍以内」の割合は50%とちょうど半数となっている。中小企業では「1.0倍」が56%で圧倒的で、「1.2倍以内」は64%となっている。大企業と中堅企業では少なくとも採用計画数より多く内定を出す企業が7割以上で、とはいえ大企業では2割増し程度に抑える企業が多数派で、中堅企業では5割増し以上の企業が半数に上るという違いが見られている(図表3-2)。この結果からも、中堅企業では内定者が大企業に流れてしまうことも想定しながらより多くの内定を出す必要があるなど、苦戦が強いられている状況が推測される。
【図表3-2】内定辞退の考慮による、採用計画数に対する内定数の増加幅
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】2025年&2026年新卒採用動向調査(12月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2024年11月29日~12月6日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2025年卒採用活動を実施された企業の人事責任者、新卒採用担当者様
有効回答:161件
※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当調査のURL記載、またはリンク設定
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※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
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著者:
HR総研
HR総研は働き方・採用・人材育成・マネジメントなどの領域で広く調査を実施し、 その結果を広く社会に共有する調査機関です。
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2026年新卒採用における課題について、企業規模別に見てみると、大企業では「ターゲット層の応募者を集めたい」が最多で50%、次いで「内定辞退者を減らしたい」が32%などと、母集団形成後もしくは内定を出した後の課題を感じる企業が多いことがうかがえる。一方、中堅企業では「応募者の数を集めたい」が最多で44%、次いで「ターゲット層の応募者を集めたい」が42%などとなっており、まずは母集団形成から課題としている企業が少なくないことが分かる。中小企業では「ターゲット層の応募者を集めたい」が最多で54%、次いで「応募者の数を集めたい」が33%となっており、採用計画数自体が少ない中、できる限り精度高くターゲット層を獲得したい意図がうかがえる(図表4-1)。【図表4-1】企業規模別 2026年新卒採用における課題次に、25卒採用の内定充足率別に2026年新卒採用における課題を見てみると、内定充足率状況によって課題感が全く異なることが分かる。「内定充足率90%以上」の企業では、「ターゲット層を集めたい」が最多で50%、次いで「内定辞退者を減らしたい」が31%、「採用数の根拠を明確にしたい」が29%などと、効果的かつ効率的な採用活動の精度を高めたい意図がうかがえる。一方、「内定充足率50%未満」の企業では「応募者の数を集めたい」が最多で53%、「内定充足率90%以上」の21%より32ポイントも高くなっており、充足率が低い企業ではまず母集団形成に課題を持つ企業が顕著に高く、採用段階の差が明確となっている(図表4-2)。【図表4-2】25卒採用の内定充足率別 2026年新卒採用における課題続いてインターンシップの開催動向について見てみる。まず、対面形式のインターンシップの実施(予定)月については、いずれの企業規模でも「2024年8月」がピークで、大企業では39%と4割が実施している。その後、「10月」から「11月」は13%で、学生の夏期休暇期間から通常授業期間に移ると1割程度に低下し、再び「12月」で実施率は少し上昇して26%と4分の1程度になり、冬期のピークが見られている。「2025年1月」以降では再び1割程度以下に低下している。中堅企業でも「8月」が夏期のピーク(50%)で「12月」が冬期のピーク(43%)となる流れは同じだが、冬期の実施率が大企業より顕著に高く4割以上にも上り、「2025年1月」でも3割以上が実施することとしている。中小企業でも「8月」がピーク(48%)で中堅企業と同様に半数近くに上り、「10月」には1割未満に落ち込むものの、冬期ピークとなる「2025年1月」の実施率26%に向けて徐々に増加する傾向が見られる(図表5-1)。26卒学生向けの対面型インターンシップでは、これまでと同様に学生の休暇期間である8月と12~1月に実施する企業が顕著に増加する傾向が見られる。ただし、冬期の実施率はいずれの企業規模でも夏期のピーク時より低くなっており、対面型に学生が参加しやすいように8月の長期休暇中に実施したい企業が多いことがうかがえる。【図表5-1】企業規模別 インターンシップの実施(予定)月(対面形式)オンライン形式のインターンシップの実施(予定)月については、いずれの企業規模でも対面形式より全体的に実施率が高い傾向が見られている。中でも、大企業では「2024年6月以前」から4割近くが実施しており、「8月」がピークで44%に上っている。ここに対面形式の場合と顕著な違いが出ており、より気軽に参加しやすいオンライン形式で早期に学生を集め、自社に興味を持ってもらいたい意向がうかがえる。対面形式では10~11月の秋期に実施する企業は1割程度に落ち込む一方、オンライン形式では夏期ほどではなくとも22%と2割以上が実施しており、学生の参加しやすさや企業の開催しやすさといったオンライン形式ならではの特徴が表れている。冬期ピークの「12月」の実施率は対面形式と同じで26%と4分の1程度で、「2025年1月」以降では1割未満に低下する。大企業ではほとんどの企業が年内にインターンシップを終了する意向がうかがえ、例年より早期に終了する傾向が見られている。中堅企業では「8月」と「9月」がピークで37%と4割近くに上り、その後、「10月」以降も3割以上を維持したまま「12月」では再び37%と4割近くで実施される傾向で、「8月」から「12月」まで継続して3割程度以上が実施している。中小企業では、「8月」と「9月」がピークで32%、秋期は1割まで低下し、「12月」に19%と冬期のピークが見られる。大企業と中堅・中小企業で顕著に異なる傾向となっている点としては、「2025年3月以降」でも中堅企業では33%、中小企業では23%と2~3割程度が実施意向を示していることだ。大企業では年明け以降に実施する意向の企業はほとんどないのに対して、中堅・中小企業では大企業より遅い時期まで実施する企業が一定数あることが推測される(図表5-2)。採用活動が本格化するこの時期に開催するインターンシップは企業も学生も双方が採用選考との繋がりを強く意識したものとなるのだろう。【図表5-2】企業規模別 インターンシップの実施(予定)月(オンライン形式)応募の多い26卒対象インターンシップの参加募集方法については、25卒採用の内定充足率別に見ると、充足率に関わらず「就職ナビ」が最多で、4~6割に上っている。充足率によって顕著な違いがあるのは「自社HP」で、「内定充足率90%以上」の企業では33%と3割以上であるのに対して、「内定充足率70~90%未満」と「内定充足率50%未満」の企業では1割程度にとどまっており、採用HPを効果的に活用したインターンシップ参加募集も後々の内定者確保に影響してくることが推測される(図表6-1)。【図表6-1】25卒採用の内定充足率別 応募の多い26卒対象インターンシップの参加募集方法また、26卒対象インターンシップと26卒採用選考を結びつけるかについては、25卒採用の内定充足率が低かった企業ほど、「選考と結びつける」の割合が高く、「内定充足率90%以上」の企業では28%、「内定充足率70~90%未満」の企業では33%であるのに対して、「内定充足率50%未満」の企業では70%にも上っており、圧倒的に高い割合となっている(図表6-2)。自社に感心を持つ学生とインターンシップで出会い、その学生たちにはできる限り採用選考に応募してほしいという企業の切実さが伝わってくる。【図表6-2】25卒採用の内定充足率別 26卒対象インターンシップと26卒採用選考の関係26卒採用の選考面接を開始する予定の月については、大企業では「2025年1月」にピークとなり21%で、年内(「2024年6月以前」~「2024年12月」までの合計)に開始した割合は46%で半数近くとなっている。新卒採用の広報が公的に解禁となる「2025年3月」より早い「2025年2月」までに開始する大企業の割合は75%で4分の3にも上る。中堅企業でも同様に年内までに開始する割合は47%と半数近くで、ピークは「2024年12月」と「2025年1月」で17%、「2025年2月」までに開始するのは75%となっている。また、「2024年6月以前」の割合は17%と多くはないものの大企業の11%より高く、25卒採用時よりさらに早期化の動きが見られており、大企業をライバルとして新卒採用をしている中堅企業の焦りがうかがえる。中小企業ではピークは「2025年3月」で22%、「2025年7月以降」が19%などと大企業や中堅企業よりは遅れたスケジュールで開始する傾向となっている。ただし、年内に開始する割合は29%と3割で、25卒採用に関する同時期調査結果では16%にとどまっていたことと比較すると、中小企業も少なくとも早期化していることが分かる(図表7-1)。【図表7-1】企業規模別 26卒採用の選考面接を開始する予定の月26卒採用の内定出し(内々定出し)を開始する予定の月については、大企業では「2025年2月」がピークで21%、「2025年2月」までに開始している割合は43%と4割以上となっている。中堅企業では「2025年1月」がピークで19%、「2025年2月」までに開始している割合は64%と6割を超えており、大企業よりも顕著に多くなっている。年内開始の割合を見ても、大企業の21%に対して中堅企業では33%で12ポイントも高く、より早くターゲット層の学生を獲得しようと採用選考だけでなく内定出しも早期化し、大企業よりも早い動きとなっている。中小企業では「2025年7月以降」が最も多く29%と3割で、次いで「2025年4月」が22%となっており、「2025年2月」までに開始している割合は25%にとどまっている(図表7-2)。【図表7-2】企業規模別 内定出し(内々定出し)を開始する予定の月最後に、25卒採用の内定充足率別に、26卒採用の内定出し(内々定出し)を開始する予定の月を見ると、「内定充足率90%以上」の企業ではピークは「2025年4月」で23%、「2025年2月」までに開始した割合は35%と4割近くになっており、年内に開始した割合は21%と2割にとどまっている。一方、「2025年2月」までに開始した割合について、「内定充足率70~90%未満」の企業では59%と6割、「内定充足率50%未満」の企業では40%で、いずれも「内定充足率90%以上」の企業より顕著に高い割合で推移していることが分かる。したがって、内定充足率が高い企業ほど内定出し開始時期が他の企業より早いわけではなく、むしろ、充足率が低い企業の方がより早く始めている割合が高い。内定をあまりに早く出しても、その後、1年以上かけて内定者フォローを丁寧にしていかなくては内定辞退されるリスクも高まるので、いたずらに早期化の流れに焦らず、自社の採用戦略のもとに適切なスケジュールを検討する必要があるのだろう(図表7-3)【図表7-3】25卒採用の内定充足率別 内定出し(内々定出し)を開始する予定の月
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