企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化し続ける中、人事部門の担う役割にもより一層の変化が求められ、それに伴い必要な能力やスキル、さらには人事としてのキャリアプランにも少なからず影響が出ているだろう。当事者である人事担当者たちは、現状をどのように捉え、今後は自身を含めた人事部門が担うべき役割をどのように捉えているのだろうか。
HR総研では、毎年実施している「人事の課題とキャリアに関する調査」を今年も実施した。今回のレポートでは、「人事のキャリア編」としてフリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●人事や管理部門のみのキャリアパスとなる割合、中小企業で7割
●人事部門での知識・スキルアップ支援、「社外セミナーや研修参加」が最多
●すべての企業規模において「他の部門を経て人事部門」が最多
●7割がモチベーション高く、やりがいを感じる業務には企業規模による違いあり
●人事担当者の8割以上が、人事部門でのキャリア形成に前向き
●8割近くが能力向上に努めるも、「企画・戦略立案力」や「経営感覚」は実践に至らず
●人事担当者の8割以上が、HRプロなど「人事系サイト」から情報収集
●社外の人事関係者との人脈・ネットワーク構築に「セミナー・勉強会」を活用

人事や管理部門のみのキャリアパスとなる割合、中小企業で7割

人事担当者が考える、人事部門における望ましいキャリアパスについて見てみると、「最初は現場に配属し、その後管理部門での経験を積むべき」が最多で63%と6割を超えており、次いで「人事の専門家としてずっと管理部門での経験を積むべき」と「ローテーションの一環であって人事の専門家でなくてもよい」は、ともに16%となっている(図表1-1)。
自社の事業やビジネスを理解した上で、人事等の管理部門の業務を行うことが望ましいという考え方が主流となっていることがうかがえる。

【図表1-1】人事部門のキャリアパスへの考え方
実際に最も多い異動パターンについては、従業員数1,001名以上の大企業と301〜1,000名の中堅企業では「現場を経験してから人事へ異動」が最も多く、それぞれ27%、28%で、望ましいキャリアパスに沿った異動パターンとなっている。一方、300名以下の中小企業では、「総務や経理など管理部門の中で異動」が最多で32%となっている。また、「総務や経理など管理部門の中で異動」、「人事としてずっと異動せず、特定の領域に取り組む/担当領域を変更していく」を合計した割合は、大企業では53%、中堅企業で49%、中小企業で71%となっており、現場での自社事業の理解を深める経験を積むことなく、人事や管理部門のみのキャリアパスとなる企業の割合は、大企業・中堅企業で半数程度、中小企業では7割以上に上っている(図表1-2)。


【図表1-2】人事部門で最も多い異動パターン

人事部門での知識・スキルアップ支援、「社外セミナーや研修参加」が最多

回答者の人事業務の経験年数については、「5〜10年未満」が最も多く23%、次いで「20年以上」が19%、「10〜15年未満」が17%などとなっている。「10年以上」の割合は53%で過半数を超えている(図表2-1)。

【図表2-1】人事業務の経験年数(通算/前職を含む)
人事部門での業務遂行に必要な、人事部門のスキルアップや情報収集に関する支援については、「社外セミナーや研修参加」が最も多く61%、次いで「関連書籍購入」が34%、「同業界の人事担当者との交流会参加」が28%などとなっている(図表2-2)。
「社外セミナーや研修参加」はスキルアップや情報収集に直接的な効果があるだけでなく、自身と同じ人事担当者同士のネットワーク構築にも繋がるものであり、効果的な支援となっていることがうかがえる。

【図表2-2】今の会社で人事部門のスキルアップや情報収集に関する支援

すべての企業規模において「他の部門を経て人事部門」が最多

次に、人事職としての転職経験を見てみると、大企業では「ない」が71%で多数派、中堅・中小企業では「ある」がそれぞれ50%、46%と半数程度となっており、大企業より中堅・中小企業の人事担当者の方が転職経験者の割合が多いことが分かる(図表3-1)。
今の会社で人事部門に配属された経緯としては、すべての企業規模において「他の部門を経て人事部門」が最も多く、特に大企業では64%と6割以上を占めており、中堅・中小企業ではそれぞれ42%、41%と4割程度となっている(図表3-2)。「入社から一貫して人事部門」は大企業で13%、中堅企業で25%、中小企業で34%と、企業規模が小さいほど多くなっている。

【図表3-1】人事職としての転職経験
【図表3-2】今の会社で人事部門に配属された経緯

7割がモチベーション高く、やりがいを感じる業務には企業規模による違いあり

人事部門の業務に対する自身のモチベーションややりがいを感じる業務について見てみる。
まず、「自身のモチベーション」については、「どちらかといえば高い」が46%で最多、次いで「非常に高い」が25%、「どちらともいえない」が23%となっている。「どちらかといえば高い」と「非常に高い」を合計した「高い派」は71%であるのに対し、「どちらかといえば低い」(3%)と「非常に低い」(3%)を合計した「低い派」は僅か6%で、モチベーションが高い人事担当者の割合が圧倒的に多いことが分かる(図表4-1)。

【図表4-1】人事部門の業務に対する自身のモチベーション
モチベーションに少なからず影響を与える「やりがいを感じる人事業務」について、各業務の経験者数に対するやりがいを感じる人数の割合を見たところ、大企業と中堅企業では「人事企画業務」が最多で、大企業では76%、中堅企業では100%となり、中小企業では「グローバル人事」が最多で67%となっている。ただし、中小企業でのグローバル人事の経験者数は9件と僅かであるため、これを除くと、中小企業では「採用業務」が最多で60%となっている(図表4-2)。企業規模に応じて各業務の特徴が異なることで、やりがいを感じやすいポイントも異なる傾向が推測される。
また、「やりがいは感じない」の割合は、すべての企業規模で1割未満となり中堅企業では0%となるなど、業務へのやりがいはモチベーションの高さに反映されていることがうかがえる。

【図表4-2】やりがいを感じる人事業務

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】人事の課題とキャリアに関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年7月26日〜8月1日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:166件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。