HR総研:人材育成「中堅社員研修・管理職研修」に関するアンケート調査 結果報告〜管理職研修を実施する企業は半数にとどまる、昨年から9ポイント減〜

強い組織、高い成果を上げる組織を作るためには、実務のキーパーソンとなる中堅社員や、マネジメント層の育成が欠かせない。また、これらの層に対する研修は、階層ごとに求められる能力や役割を認識してもらう意味でも、重要な機会となる。
人材育成に関するアンケート調査、第2弾となる本稿では、「中堅社員研修」、「管理職研修」について、研修の内容・実施形式等の実態や運営上の課題について報告する。

<概要>
●中堅社員研修を実施する企業は昨年から減少し、4割にとどまる
●中堅社員研修の目的はリーダーシップ関連の項目が6割で最多
●運営課題は「効果測定ができていないこと」が最多で4割
●効果測定におけるKPI設定は、行わない企業が6割
●中堅社員研修の効果を実感する企業は約半数、効果測定が課題か
●管理職研修、大企業では7割以上が実施も中小企業は4割未満にとどまる
●管理職研修の内容は「マネジメント」が最多、「チームビルディング」は14ポイント増
●中小企業では「研修メニューの構築」が最大の課題
●管理職研修も効果測定におけるKPI設定を行わない企業が6割
●管理職研修の効果を実感している企業は4割にとどまる

中堅社員研修を実施する企業は昨年から減少し、4割にとどまる

まず、中堅社員研修の実態について見ていこう。
「中堅社員研修の実施有無」については、「実施している」が39%と4割にとどまり、「実施していない」が61%と多数派になっている(図表1−1)。昨年と比較すると「実施している」とする企業は6ポイント減となっており、2年連続で減少傾向が見られる(昨年は一昨年より10ポイント減)。
企業規模別で見ると、中堅社員研修を「実施している」とする企業は、1,001名以上の大企業では53%、301名〜1000名の中堅企業では42%、300名以下の中小企業では29%となっている(図表1−2)。企業規模が大きいほど実施率が高い傾向にあるものの、大企業での実施率ですら半数程度にとどまっており、中堅社員研修を重要視する企業はそれほど多くないことがうかがえる。
「中堅社員研修の実施方法」については、「集合研修」が圧倒的に多く88%、次いで「課題・レポート提出」が22%、「オンライン講座」が19%などとなっている(図表1−3)。

【図表1−1】中堅社員研修の実施有無
【図表1−2】企業規模別 中堅社員研修の実施有無
【図表1−3】中堅社員研修の実施方法

中堅社員研修の目的はリーダーシップ関連の項目が6割で最多

「中堅社員研修の目的」については、「リーダーシップ/フォロワーシップスキル習得」が最多で61%、次いで「実務のキーパーソンとしての役割認識」が60%、「職場の問題解決能力向上」が49%などとなっている(図表2−1)。昨年と比較すると、上位3項目の顔ぶれは同様であるが、「リーダーシップ/フォロワーシップスキル習得」が10ポイント増、「実務のキーパーソンとしての役割認識」が7ポイント減となっており、これら2項目の順位が逆転している。中堅社員に対し、実務での成果だけでなく、チームを精神的にけん引する力を求める企業が、より一層増えていることがうかがえる。
企業規模別で見ると、大企業の各項目の順位は全体の順位と同様となっており、「リーダーシップ/フォロワーシップスキル習得」が74%と、他の企業規模と比較して高くなっている。中堅企業については、「実務のキーパーソンとしての役割認識」が最多で63%となっている一方で、「リーダーシップ/フォロワーシップスキル習得」は41%と、他の企業規模に比べて低くなっている(図表2−2)。また、中堅企業では、「リテンション対策」が32%で、他の企業規模と比較して突出して高くなっている。企業規模によって、中堅社員に求める役割にも違いがみられる。

【図表2−1】中堅社員研修の目的
【図表2−2】企業規模別 中堅社員研修の目的

中堅社員研修の運営課題は「効果測定ができていないこと」が最多で4割

次に、「中堅社員研修の運営上の課題」については、「実施効果の測定ができていない」が最多で39%、次いで「受講者の意識」が34%、「人事教育担当のリソース不足」が28%などとなっている(図表3−1)。
企業規模別で見ると、大企業は「人事教育担当のリソース不足」が33%と他の企業に比べてやや高くなっている。中小企業については、9つの項目で全体よりも高い割合を示しており、多くの課題を抱えていることが分かる。その中でも特に、「受講者の意識」(34%)、「予算不足」(31%)、「研修の効果が出ていない」(20%)といった課題を抱えている企業が多いようで、効果を出すためのブラッシュアップを図りたくとも予算や人的リソースの不足により難しいという人事担当者のジレンマが想像される(図表3−2)。
効果測定をできていないことを課題に挙げる企業が多い中、効果測定をできている企業では、どのような方法で行っているのだろうか。

【図表3−1】中堅社員研修の運営上の課題
【図表3−2】企業規模別 中堅社員研修の運営上の課題

効果測定におけるKPI設定は、行わない企業が6割

「中堅社員研修の効果測定の方法」については、「受講時アンケ―ト」が圧倒的に多く60%、次いで「研修内で実施した課題等のフォロー」が27%、「レポート」が26%などとなっている(図表4−1)。「効果検証はしない」は17%にとどまり、8割以上の企業がなんらかの効果測定を実施していることが分かる。この結果から、前述した「実施効果の測定ができていない」を課題とする企業(33%)の一部は、効果測定自体はしているが「効果を上手く測定できていない」という状況にあることが推測される。では、効果測定において本質的な効果の見える化に繋げるためのKPIを設定し、定量的に測定している企業はどの程度あるのだろうか。「中堅社員研修における効果測定のためのKPI設定」については、「KPIは特に設定していない」が最多で61%、次いで「参加者満足度等研修自体への評価に関するKPI」が30%、「受講者の意識・行動変容に関するKPI」が8%などとなっている(図表4−2)。KPIを設定し、定量的に効果測定をしている企業は未だ少数派であることが分かる。
企業規模別に見ると、大企業では「参加者満足度等研修自体への評価に関するKPI」が53%と他の企業規模より高くなっており、「KPIは特に設定していない」は41%となっている。一方、中小企業では「KPIは特に設定していない」が89%と、9割近くに上っており、KPIを設定しての定量的な効果測定はほとんど行われていないことが分かる(図表4−3)。受講直後における「受講時アンケート」を形式的に実施するだけでは、その回答結果により本質的な効果の見える化や次回の改善策に繋げるのは容易ではないだろう。

【図表4−1】中堅社員研修の効果測定の方法
【図表4−2】中堅社員研修における効果測定のためのKPI設定
【図表4−3】企業規模別 中堅社員研修における効果測定のためのKPI設定

中堅社員研修の効果を実感する企業は約半数、効果測定が課題か

次に、「中堅社員研修の効果」については、「大変出ている」(4%)と、「まあまあ出ている」(45%)をあわせると49%となっているのに対し、「あまり出ていない」(5%)と、「まったく出ていない」(2%)は、あわせて7%にとどまっており、どちらかといえば効果を実感している企業の方が多いようだ。ただし、「どちらともいえない」も44%となっており、研修効果の有無を判断しかねている企業も多い(図表5)。「中堅社員研修の運営上の課題」でも挙がっていたように、有効な効果測定の方法が確立できていない企業が多いことも大きな原因と考えられる。

【図表5】中堅社員研修の効果

管理職研修、大企業では7割以上が実施も中小企業は4割未満にとどまる

次に、「管理職研修」について見ていこう。
「管理職研修の実施有無」については、「実施している」が53%、「実施していない」が47%となっており、実施している企業は半数程度であることが分かった(図表6−1)。昨年と比較すると、「実施している」企業は9ポイント減となっている。
企業規模別で見ると、大企業では「実施している」が74%、中堅企業では62%、中小企業では36%となっており、こちらも企業規模が大きいほど実施率が高いという傾向が顕著に見られ、中小企業での実施率の低さが浮き彫りとなっている(図表6−2)。企業規模が大きいほど、組織の中で管理職が担うべき役割が明確であり、管理職にはその職責を果たすことを強く求められていることがうかがえる。
「管理職研修の実施方法」については、「集合研修」が圧倒的に多く92%、次いで「課題・レポート提出」、「オンライン講座」がともに21%などとなっている。「eラーニング」も18%となっており、他の研修同様、オンライン形式での実施はまだ多数派にはなっていないようだ(図表6−3)。

【図表6−1】管理職研修の実施有無
【図表6−2】企業規模別 管理職研修の実施有無
【図表6−3】管理職研修の実施方法

管理職研修の内容は「マネジメント」が最多、「チームビルディング」は14ポイント増

次に、「管理職研修の内容」については、「マネジメント」が最多で80%、次いで「リーダーシップ」が65%、「チームビルディング」が49%などとなっている(図表7−1)。昨年と比較すると、「チームビルディング」が14ポイント増となっており、「目標管理」(47%)を抜いて3位に浮上している。
企業規模別に見ると、大企業では「コンプライアンス」は51%、「ハラスメント」は46%などとなっており、社会性の高いテーマで、他の企業規模よりも高い割合を示していることが分かる。また、「財務知識」の項目も51%と、大企業でより高い割合を示している(図表7−2)。

【図表7−1】管理職研修の内容
【図表7−2】企業規模別 管理職研修の内容

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:HR総研:人材育成に関するアンケート調査(階層別研修)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年8月21日〜9月6日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、人事育成担当者様
有効回答:246件

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