小規模企業は、ストレスの「原因」と「結果」は良好だが、「周囲のサポート」は注意が必要な企業が多い。

現行のストレスチェック制度は2015年に施行され、従業員50名以上の企業は、働く人のストレス状態を調べるストレスチェックを年1回実施することと、その事後措置が義務づけられている。制度施行から10年が経ち、先月、実施対象を従業員50名未満の小規模な企業にも広げる改正案が閣議決定され、2028年までの義務化が見込まれている。

ストレスチェックは、その結果にもとづき職場環境の改善等を行い、従業員の心身の不調を未然に防ぐことが主旨である。小規模企業での実施義務化に先立ち、小規模な企業のストレス状態にはどのような傾向があるのか?を把握するべく、現制度で義務化されている企業のなかで従業員の少ない企業群=従業員50名以上100名未満の企業について分析をおこなった。従業員の人数に因らず各社の傾向を確認するため、①各々の企業の従業員の平均値を出し、②その平均値が「良好」「普通」「注意」のどの水準に該当するか※を示したのが、図①となる。

小規模企業は、全体に比べ、「ストレスの原因(ストレッサー)」「ストレスによって起こる心身の反応(ストレス反応)」が良好な企業が多い一方、「周囲のサポート(ソーシャルサポート)」については注意が必要な企業が多く、約2割(19.2%)が「注意」の水準に該当している。「周囲のサポート(ソーシャルサポート)」は、「ストレスによって起こる心身の反応(ストレス反応)」に影響するものであり、これが不足していると、今後、心身の不調につながる恐れがある。

※1~5の結果のうち、注意:1≦x≦2.5 普通:2.5<x<3.5 良好:3.5≦x≦5(xは平均値を示す)

周囲のサポートのうち、最も注意が必要なのは「同僚からのサポート」。「上司からのサポート」も、やや課題アリか

「周囲のサポート(ソーシャルサポート)」は、「上司からのサポート」「同僚からのサポート」「家族・友人からのサポート」にて構成されている。これらについても同様に比較したところ(図②)、小規模な企業は「上司からのサポート」「同僚からのサポート」について注意が必要な企業が全体に比べて多く、特に「同僚からのサポート」は、3割を超える企業(32.3%)が「注意」の水準であることがわかった。


弊社の考察―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
50名未満の企業でもストレスチェックが義務化される見通しのなか、小規模企業の傾向と対策を考える参考になればと、現制度で義務化されている企業のうち従業員数の少ない企業群のストレスチェック結果を分析しました。

今回の分析から、小規模な企業は「周囲のサポート(ソーシャルサポート)」、なかでも「同僚からのサポート」において注意が必要な企業が多いことがわかりました。ストレスチェックの「同僚からのサポート」とは、職場の同僚とどのくらい気軽に話ができるか/困ったときに頼りになるか/個人的な相談ができるかを測定しています。小規模な企業ほど人間関係が密であり、同僚からのサポートを得やすいのではと予想していたところ、やや意外な結果といえます。

要因として、小規模な企業では、同じ業務をしている人が少ない・いないなど、実務的に助け合える体制になっていない可能性が考えられます。また、人数が少ないために、「Aさんが難しければBさんを頼る」といったことがしづらい点も挙げられます。いずれも小規模な企業ではやむを得ないですが、可能な範囲で業務をシェアし部分的でもサポートし合える状態にする、各々の状況を共有し慰めや励ましといった情緒的なサポートを得られるようにするなど、小さくともできる取り組みはあると思われます。

本文で述べた通り、ストレスチェックは実施することが目的ではなく、現状を把握し、改善し、従業員の方々の心身の不調を未然に防ぐことが主旨となります。従業員50名未満の企業様におかれましては、実務面の負担がご懸念と拝察いたしますが、専門の外部パートナーを活用して、ストレスチェックの結果を役立てていただければ幸いに存じます。

分析対象;
調査時期 2024年実施分(2023年12月~2024年11月)
調査票 ストレスチェック『Co-Labo』 (『職業性ストレス簡易調査票』+独自設問が追加された調査票)
分析対象 550,334名

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【働く人のストレス調査】「小規模な企業は、人間関係が密で、同僚のサポートが得やすい」は、誤り?