若手・中堅社員に聞いた「転職意向実態調査」から分かった、成果を挙げながらも転職を決意する理由とは?

「石の上にも3年」ということわざがある。しかし、厚労省の調査によると新卒で入社した若者の約3割が3年以内に離職しているという。社会人としてスタートを切り、最初の3年を乗り切れるかどうかの分かれ目はいったいどこにあるのだろう。リクルートマネジメントソリューションズの組織行動研究所は、従業員300名以上の企業に新卒入社した25〜32歳の大卒・大学院卒の正社員のうち、「新卒入社4年目以降に転職した412名」と「最終的に転職はしなかったが、入社4年目以降に転職活動で応募先企業の面接を受けたことがある103名」の計515名を対象に、「転職意向実態調査」を実施した。
本調査で興味深いのが、今回の調査では、職場や仕事への適応度別に分析・考察している点。「転職を考える前の仕事や会社に満足していたか・成果を上げていたか」についての9項目を「転職前の適応度」として尺度化し、仕事や会社への満足感や貢献感が低い群を「低適応群」、高い群を「高適応群」に分けている。
最初に聞いているのが『転職を考えた理由』で、下のグラフで適応度別にまとめられている。
仕事や会社への満足感や貢献感が低い“低適応群”では、「会社の将来に不安を感じた」、「会社の経営方針や方向性に疑問を感じた」が多く選択されたのに対し、“高適応群”では、4割強が「仕事の領域を広げたかった」と回答している。
続いて紹介したいデータが転職後の満足度だ。
全体平均は4.99で、転職の満足度は総じて高いことが分かる。また男女別で見ると、男性よりも女性のほうが高い。さらに、転職後の企業のライフサイクルステージ別に見ると、「成長ステージ」の企業に転職した人の満足度は、他のステージの企業に転職した人と比べて満足度が高い傾向が見られた。

ここからは、実際に転職した412名に『転職前の会社や上司からの働きかけで、意味がなかったもの、もしくは逆に転職の意思を強めたもの』を聞き、寄せられた生の声を抜粋して紹介する。

・引き止められたが、人としてではなく単なる労働力の一部としての引き止めだったため、愛想をつかした。(小売/10,000名以上/男)

・上司との面談が複数あり、そのうちの1回で「こんなに良い会社を辞める意味が分からない」旨の言葉を言われたとき、自分とはまるで価値観が違うんだな、と感じ、転職の決意が増しました。(金融・保険/10,000名以上/女)

・配置転換の提案があった。そういうことじゃないと感じた。(機械・電気機器/10,000名以上/女)

・引き止める働きかけがあった。どこに行っても同じようなものだとか、転職すれば今より待遇面で不利になるとの脅し文句にも似たようなことを言われた。(建設・設備/10,000名以上/女)

・上司たちは自分の将来を心配してくれて、これまで会社生活に対しての感謝の気持ちと、会社を去ることに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。会社に残ることも考えたが、自分の信念を貫くためにも転職することに踏み切った。(科学・素材・エネルギー/10,000名以上/男)

転職を思いとどまった103名に『転職を思いとどまったきっかけや出来事』と自由回答をしてもらっており、そこから抜粋した意見が下記となる。

・当時の会社のトップの方にわざわざ時間を作っていただき、引き止められたこと。将来、自分のようになる人物だと上手く言いくるめられ、もう少し頑張る気になった。(その他サービス/1,000〜3,000名未満/女)

・最後にやり切ろうと思ってやるうちに、新たなやりがいを感じ始めたから。(その他サービス/500〜1,000名未満/女)

・周りがたくさんやめるようになったことから転職を考えたが、内定した企業が本当に良いのか吟味した結果だった。将来的にもっと良いところに行きたい。(運輸・物流/300〜500名未満/男)

・面談を通じて、本気で自分の事を必要な戦力であると言ってもらえたこと。不満点に関して改善できるところを改善する努力や姿勢を見せてくれたこと。(金融・保険/1,000〜3,000名未満/男)

・上司が真摯に相談に乗ってくれ、昇格させてくれた。きちんと話をすることが大切だと感じた(金融・保険/10,000名以上/女)

これらの調査結果を受け、同研究所は次のようにコメントしている。

「一般的な離職の要因は、職場や上司との人間関係、賃金や労働時間の問題、仕事の内容の問題、あるいは会社の将来性などである。ただ、離職者数が増えているとしたら、その意味を考える必要がある。転職がしやすくなった社会の変化、あるいは入社した会社でキャリアを積むことにこだわらず、外の世界に自分に合った仕事や働き方をさがしていく若者が増えたという世代の変化、などの要因があるだろう。

しかし、世の中では、人が離脱する組織がある一方で、集まる組織もある。そう考えると、離職が増えているということは、その組織が時代から遅れをとっているシグナルといえる。言い換えれば、離職増加は時代に合わせた働き方、人事制度、あるいは組織の仕組みや風土を考え直す機会であると捉えた方がよさそうである」

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HRプロ編集部

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