株式会社タナベ経営は2021年6月30日、「グループ経営に関する企業アンケート調査」の結果を発表した。調査期間は2021年4月12日~30日で、全国の年商50億円以上のグループ企業の代表者・役員・経営企画担当85名から回答を得た。これにより、今後の経営体制に対する意向や経営課題などが明らかとなった。
年商50億円以上の中堅クラス企業向け調査、半数以上が「今後、ホールディングス体制への移行を目指す」と回答

「ホールディングス体制への移行」を検討する企業は半数にも及ぶ

全国の中堅規模の企業は、今後の経営体制の変化をどう考えているのだろうか。

はじめに、グループ経営体制を取らないまま、「関連会社を有している」または「事業部制を採用している」という企業に対し、「今後のホールディングス体制導入」について尋ねた。すると、「導入を検討している」が22%で最多となった。

また、「導入に向けて情報を収集している」(12.2%)および「導入の実施可否について検討中」(17.1%)と回答した企業と合わせると計51.3%となった。半数以上の企業は、ホールディングス体制の導入を「検討中」または「検討準備」の段階に入っていることが判明した。
年商50億円以上の中堅クラス企業向け調査、半数以上が「今後、ホールディングス体制への移行を目指す」と回答
さらに、グループ経営体制の「導入を検討中」、「導入に向け情報を収集中」とした企業に、「導入予定時期」を尋ねた。その結果、「導入に向けた、プロジェクチームを1年以内に立ち上げ予定」が7.1%、「すでにコンサルティング会社・税理士・会計士等の外部委託会社に支援作業を依頼済」が14.3%となり、全体の21.4%が具体的な導入段階にあることがわかった。

また、現時点で具体的な取り組み段階に至ってない企業でも、「1年以内に導入を実施予定」(21.4%)と「2~3年以内に導入を実施予定」(50%)を合わせると71.4%となり、「3年以内」にグループ体制の導入を予定しているとわかった。
年商50億円以上の中堅クラス企業向け調査、半数以上が「今後、ホールディングス体制への移行を目指す」と回答

現在の運用状況、課題は「グループ全体最適の戦略推進ができていない」が最多回答

続いて、すでにグループ経営体制を導入している企業に対し、「現在のグループ経営体制の運用状況や課題」を尋ねると、最多回答を集めたのは「事業会社それぞれの最適化が優先され、グループ全体最適の戦略推進ができていない」(24.1%)だった。このような状況にある場合、「グループ本社における経営企画機能の強化」、「グループ全体のシナジー発揮による、方針・戦略策定」や「事業会社に対する評価方法の再構築」などが求められる。

次点以降は、「グループ全体で間接業務が重複し、オペレーションコストのムダが生じている」(15.2%)、「予算・業績・人材のマネジメントが各事業会社で完結し、グループ全体のマネジメントシステムになっていない」(13.9%)が続いた。グループ本社と事業会社間の連携について、今一度再確認する必要がありそうだ。
年商50億円以上の中堅クラス企業向け調査、半数以上が「今後、ホールディングス体制への移行を目指す」と回答

障壁は「グループ全体および事業会社を俯瞰して担える人材の不足」。システム面の課題

また、「グループ経営を行う場合の障壁」について聞くと、「グループ経営企画機能(もしくは経営企画人材)の不足」および「事業会社の経営者人材の不足」が同率16.9%で最多だった。各事業会社およびグループ全体を俯瞰し担える人材が不足している、または育成できていないと推測される。

さらに、「各社のマネジメントルール・システムの統一の難しさ」(15.7%)や、「グループ経営の全体戦略設計ができない」(14.5%)も非常に良くある課題と言えそうだ。人材に依存しすぎない、「システムや仕組み」を活かせる体制を模索しているが、グループ内各社におけるマネジメントルールやシステムを統一することに課題があるようだ。このような場合には、ロードマップを描き、全体戦略を再設計していくことが重要になる。
年商50億円以上の中堅クラス企業向け調査、半数以上が「今後、ホールディングス体制への移行を目指す」と回答

今後取り組みたいことは「経営者人材の育成」。「デジタル化への対応」も

最後に、「今後行っていきたいグループ経営におけるテーマ」を尋ねた。その結果、「経営者人材の育成」(16.4%)がトップで、次点が「グループ本社における経営企画機能の強化」(15.7%)となった。グループ全体を見渡しながら経営を担える人材の育成や、組織体制の強化を目指している企業が多いことがうかがえる。

他にも「デジタル化への対応」が15.3%、「グループ本社におけるマネジメント機能の強化」が14.6%となっており、デジタル技術を活用して「経営企画機能」や「マネジメント機能」を強化させたいという意向もありそうだ。
年商50億円以上の中堅クラス企業向け調査、半数以上が「今後、ホールディングス体制への移行を目指す」と回答
今回の調査結果では、「グループ経営を行っていない中堅企業」の多くが、ホールディングス体制への移行を模索していることが判明した。ところが、その先のフェーズの「移行済み企業」も解決すべき課題を抱えているという実態が浮き彫りとなった。ホールディングス体制による効果的なシナジーを発揮するためには、「どのようにして全体最適を実現するか」がポイントになってくるだろう。

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