就業規則の「電子申請」を利用している企業は1割。総務省運営「e-Gov(イーガブ)」活用に向けた課題とは

株式会社Works Human Intelligence(以下、ワークスHI)は2020年11月、「就業規則や労使協定の電子化」について、企業の対応状況を調査した結果を発表した。調査は2020年9月18日〜10月16日に同社のユーザーを対象に実施され、国内大手法人41社から回答を得た。これにより、総務省が運営する「e-Gov(イーガブ)ポータル(以下、e-Gov)」の「電子申請」の利用状況と、活用に向けた課題などが明らかとなった。

電子申請はほとんど活用されていない実態が明らかに

就業時間や賃金などの労働条件や、職場の服務規律を定めた「就業規則」は、10人以上を雇用する企業は必ず作成し、変更時なども労働基準監督署に届出ることが義務付けられている。大手法人では規程数が数百を超え、変更や届出の負担も大きい。政府はe-Govを利用した「電子申請」への移行を推進中だが、厚生労働省の公表によると、2019年の電子申請での提出率はわずか2.48%にとどまっている。そこで、ワークスHIは、その実態を調査した。

はじめに「就業規則変更届の提出に電子申請(e-Gov)を利用しているか」と尋ねると、「利用している」は10%で、9割の企業では電子申請を行っていない実態が明らかとなった。利用している企業からは「担当者の業務工数削減」、「郵送・印刷費用の節約」、「公文書を電子データで受領できる」など、メリットを実感する声があがった。
「就業規則・労使協定電子化に関する対応状況調査」の図表1

企業の行政手続きで「電子申請」が取り入れられていない背景は?

続いて、電子申請を利用していない37社にその理由を尋ねた。結果、「電子申請ができることを知らない、やり方が分からない」が8社で最も多く、認知が広がっていないことが判明した。また、「電子申請を行うための社内環境が整っていない」(6社)や「捺印済みの就業規則がその他業務に必要」(6社)など、会社全体の業務でデジタル化が遅れている現状もうかがえた。
「就業規則・労使協定電子化に関する対応状況調査」の図表2

活用中の企業との交流会後、75%が「今後進める」という意向を示す

本調査後、同社はユーザー企業19社28名を対象に「分科会」を開いた。そこで意見交換された内容とアンケート結果についても発表している。

電子申請を既に利用している企業からは、業務工数の削減や郵送・印刷費用の削減といったメリットがあり、「おすすめしたい」などの意見が出た。

その一方で、e-Govの使用感や機能について次のような改善要望もあがったという。

・本社一括申請で種類の異なる就業規則も同時に提出できるようにしてほしい
・添付する意見書について、原本スキャンではなく電子的に作成したものを利用できるようにしてほしい
・届け出たものを他の申請(各種認定または各種助成金)でも利用できるようにしてほしい
・不備による再提出時も、受領印日付を初回提出日付にしてほしい

また、「今後、就業規則変更届提出時の電子申請(e-Gov)を利用したいか」を尋ねると、「すぐに利用したい」が30%、「利用する前提で検討する」が45%と、7割を超える企業が電子申請の導入に前向きな姿勢を示したという。
「就業規則・労使協定電子化に関する対応状況調査」の図表3
コロナ禍に対応した、業務のペーパーレス化/デジタル化は、企業が積極的に推進したい課題のひとつだ。また、申請や届出などの手続きを効率化してきたい考えは各行政機関も同様で、「e-Gov」は2020年11月、スマートフォンに対応した大幅リニューアルが実施された。電子申請未対応の企業では、今後の利用を念頭に置いてみてはいかがだろうか。