企業のインターナルブランディング支援を行う株式会社タンタビーバは2020年10月、「自社への“ファン度合い”に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2019年2月〜2020年3月で、売上高10億円〜1,000億円の企業に勤務する会社員および会社役員1,000名から回答を得た。これにより、役職別の自社に対する愛着の実態や、愛着を高めるための指標などが明らかになった。なお、本調査は法政大学大学院 政策創造研究科 教授 石山 恒貴氏の監修のもと実施された。

一般社員と役員・部長職では自社への愛着に顕著な差が

働き方が多様化し人材の流動化が進むなか、企業は社員のエンゲージメントを高める必要に迫られている。それでは、社員は所属する会社にどのような意識を持っているのだろうか。

まず「自分の会社が好きか」という質問で、「あてはまる」との回答を役職別に見ると、役員は64.1%、部長は45.4%、課長は36.5%、一般社員では26.9%となった。役員は6割以上の人がポジティブな回答だが、一般職員では3割にも満たない結果だ。

また、「会社に行けると思うとワクワクするか」との質問で、「あてはまらない」が役員では27.4%にとどまる一方で、一般社員は63.1%と高い。先述の愛着度の答えを裏付けるような結果となっており、一般社員のエンゲージメントの低さが顕著に表れた形だ。

会社への“ファン度”を構成する要素と影響因子とは?

次に、タンタビーバが導き出した独自指標の「会社ファン度」(社員が会社のことをどれくらい好きか数値化したもの)の測定結果を見てみよう。測定方法は、1)会社に関わる10の設問に対する社員の回答を因子分析し、「会社を好きかどうか」を構成する要素を調べ、2)重回帰分析を用い、その要素を高める項目を洗い出す、というものだ。

まずは因子分析の結果、「会社ファン度を構成する要素」として「会社への誇りと満足」と、「仲間との協働による、お客様の喜びの実現」が重要な役割を担っていることが判明した。

続いて、ひとつ目の要素である「会社への誇りと満足」に影響を与える因子を調べると、「成長と多様性の尊重」、「理念浸透の実現」、「助け合い協力の文化」、「心理的安全性」の4つが導き出された。その中でも、「成長と多様性の尊重」および「理念浸透の実現」は、特に重要な要素として上位に挙がっている。
次に、ふたつ目の要素である「仲間との協働による、お客様の喜びの実現」を高める因子を同じように洗い出すと、「助け合いと協力の文化」、「ありのままの自己の受容」、「理念の明文化」、「心理的安全性」の4つの因子が、ポジティブな影響を与えていると判明。特に「助け合いと協力の文化」と「ありのままの自己の受容」は、重要な要素として上位にあがった。
会社への愛着度が増す背景を可視化した本研究によって、企業エンゲージメントの取り組みに重要な気づきを与えたと言えそうだ。愛社意識の醸成には、社員の多様性を尊重する「個人への働きかけ」と、経営理念の浸透といった「組織の舵取り」が両軸で関係していることが窺える。エンゲージメントを課題とする企業は、現在の取り組みを振り返る指標として、本結果を参照してみてはいかがだろうか。