8割弱が間もなく施行の「パワハラ防止法」を認知。企業は具体的にどのような対策を取っているのか

エン・ジャパン株式会社は2020年3月、企業における「パワハラ対策」についてのアンケート結果を発表した。調査期間は2020年1月15日〜2月11日。同社が運営する人事向け総合サイト「人事のミカタ」を利用する533社の人事担当者より回答が得られた。これにより、パワハラ防止法の認知度や企業の対策の実態が明らかになった。

大企業では今年6月から、中小企業では2022年4月から「パワハラ防止法」が施行

大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」の施行が決定しているが、どの程度の企業が認知しているのだろうか。まず、「パワハラ防止法を知っているか」を尋ねた。その結果、「内容を含めて知っている」が18%、「概要だけ知っている」が59%となり、合計77%にのぼる多くの企業が認知していることがわかった。

パワハラ対策を実施している企業は6割。大企業ほど多い傾向

次に、「パワハラ対策を実施しているか」と聞くと、60%の企業で「実施している」と回答。大企業への法施行が迫っていることもあり、従業員数の多い企業ほど対策実施率が高い傾向だ。

具体的な対策として「相談窓口の設置」や「罰則規定」を実施

さらに、対策を講じている企業に対し、その具体的な内容を聞くと、最多の回答が「社内の相談窓口設置」で72%、次いで「就業規則の罰則規定新設」が57%、「管理者向けの研修や講習会実施」が57%となった。

パワハラに対する理解の低さが課題に

続いて、パワハラ対策を講じる上での課題について聞いた。その結果、最も多い回答は「管理職の理解度の低さ」で55%だった。また「パワハラの基準や境界の曖昧さ」が47%、「経営層の理解の低さ」が39%となり、パワハラの定義を正確に理解できていないことが、対策の難しさにつながっているようだ。

5割強が「社内のパワハラを把握」。企業の規模によって把握率に差

さらに、現在社内で起きているパワハラをどの程度把握しているのか聞いたところ、全体平均では「把握している」が8%、「大体把握している」が49%と、把握している割合は合わせて57%となった。また企業の規模別に見ると、従業員数が1〜49名の企業では47%、50〜99名では58%、100〜299名で61%など、従業員数の増加にともない把握率も上昇する傾向にある。しかし、従業員が1,000人を超えると59%となり、逆に把握率が低下する結果となった。

本人や周囲からの相談でパワハラを把握

上記で「パワハラを把握している」と回答した企業に、どのように把握したのかを聞いた。その結果、最も多かったのが「本人の上長や同僚からの相談」で53%、次いで「本人からの相談」が51%だった。企業は当事者または周囲からの相談により、パワハラを把握しているようだ。

パワハラ発生の要因は「上司と部下のコミュニケーション不足」も関係している

さらに、「パワハラが起きる部署や特徴の傾向」についても掘り下げて聞いたところ、「上司と部下のコミュニケーションが少ない」が45%と最も多かった。また、「失敗が許されない」や「残業が多い」がそれぞれ20%、「さまざまな年代の従業員がいる」が17%と続く。パワハラが起きやすい職場には、一定の傾向がある可能性も示唆された。
パワハラ防止法施行に向け、対策が進んでいる企業が一定数ある一方、管理職の理解不足など根本的な課題も見える。適切なパワハラ対策に加え、従業員同士のコミュニケーション向上を図ること、研修を実施することなども効果を表しそうだ。

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HRプロ編集部

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