3年前、人事制度を刷新したオリックス生命。「想いを、心に響くカタチに。」を理念に、プロフェッショナルとして現状に満足せず、質の高いサービスを提供する体制を構築中です。能力・スキルの可視化、人材データの蓄積・活用、組織風土改革、各種サーベイなど、多様な人事施策を運用されています。これらの施策を運用する中で、最も重要視しているのがマネジメント人材の強化と輩出です。

今回は、オリックス生命保険株式会社 執行役員 人事・総務本部管掌 兼 コンプライアンス部管掌 石田 雅彦氏、リーダー育成と組織開発を軸にしたコンサルティングサービスを提供する株式会社リードクリエイト 常務取締役 吉田 卓氏が対談。オリックス生命の新たな人事制度に込めたマネジメント職育成への想いや具体的施策について伺いました。(以下敬称略)


プロフィール


  • 石田 雅彦氏

    石田 雅彦氏
    オリックス生命保険会社
    執行役員 人事・総務本部管掌 兼 コンプライアンス部管掌

    東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)に入行。その後、ウォーバーグ・ディロン・リード証券(現・UBS証券)、日本興業銀行/みずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)、GEエジソン生命保険/AIGエジソン生命保険(現・ジブラルタ生命保険)、アメリカン・インシュアランス・カンパニー/メットライフ生命保険、みずほ証券を経て通算約27年人事業務全般を経験。銀行では融資、不動産証券化、M&Aなどの営業も通算約7年経験。エジソン生命で執行役員 経営企画本部長兼人事部長、メットライフで執行役員人事担当。みずほ証券で業務監査部長、グローバル人事副ヘッド等を歴任。2021年1月より現職。2022年4月、兼 コンプライアンス部管掌。

  • 吉田 卓氏

    吉田 卓氏
    株式会社リードクリエイト
    常務取締役

    大学卒業後、大手金融機関に入社。企画部門を経て、人事部で育成・評価・異動業務に従事。2005年リードクリエイトに入社。リーダーの選抜・育成を軸に人材開発支援を担当し、これまでソリューションに携わった企業は500社以上。一般論に留まらない「実践知」をベースにしたセミナーも多数開催。2021年より現職。

オリックス生命保険石田氏、リードクリエイト吉田氏

「お客さまの期待を超える」プロフェッショナル集団で企業価値向上を目指す

オリックス生命保険石田氏
吉田:石田さんが現職に就かれてから数々の人事施策を実行されているとお聞きしておりますが、その背景と施策の概要を教えていただけますか。

石田:我々は、厳しい経営環境に直面しています。今後人口が減少してマーケットが縮小する中で持続的な成長を遂げていくためには、社員一人ひとりがプロフェッショナリズムを発揮し、お客さまから選ばれ続ける会社にならなければなりません。そのための施策として、2021年4月、人事制度を刷新しました。

弊社における「プロフェッショナリズム」とは、「お客さまの期待を超える結果を出すこと」と定義しています。つまりそれは、オリックス生命理念を体現し、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)を実践することそのものです。

吉田:そのようなプロフェッショナルを輩出し活かすために注力していることは何でしょうか?

石田:いかに「適材適所」を実現できるかが重要であり、経営戦略を実現するための戦略的人材ポートフォリオをつくることが鍵だと考えています。As-Is(現状)とTo-Be(目指す姿)のギャップが明確になるよう、御社のアセスメントを活用したり、各種サーベイを実施したりして課題の具体化に注力しています。

マネジメントの柱は部下育成。覚悟をもってマネジメント職に臨んでもらう

吉田:組織発展の鍵を握るのは、リーダーの存在です。マネジメント層の強化は、どのようにされていらっしゃいますか。

石田:おっしゃる通りで、エンゲージメントが高い組織風土をつくっていけるかどうかは、マネジメント職が部下の成長支援にいかにコミットできるかで決まると確信しています。現在の人事制度導入以降、マネジメント職登用時に、部下育成がマネジメント業務の重要な柱であることを明記した確認書にサインしてもらっています。

吉田:日本の会社で昇格にあたって契約を結ぶというお話を伺ったのは初めてです。

石田:マネジメント職には、自分の取り組み次第で組織成果が大きく変わるので、覚悟をもって臨んでもらいたいというメッセージを伝えているつもりです。新人事制度の一つの柱としている「Pay for Job、Pay for Performanceの徹底」の一環として、マネジメント職についても、それぞれのポジションの職責と貢献の大きさに応じた報酬を提供する仕組みに変えています。また、傾聴力を高め、効果的なフィードバックを行ってもらうための研修を実施したほか、従来人事部が占有していた部下社員の報酬データ等、マネジメントの役割を果たしてもらうための情報共有も行いました。

部下を日常的に観察、指導、支援するほか、期初、期中、期末に部下との面談をきちんと実施して、目標設定、目標達成に向けた支援、結果の振り返りと今後の成長に向けたアドバイスをしてもらいます。面談後、上司が効果的な面談をしてくれたかどうかを部下社員に確認するアンケートを実施し、アンケート結果によっては、管掌役員がマネジメント職に指導を行っています。

吉田:マネジメント層の意識面の強化や責任・権限の明確化をして、部下育成を徹底されているのですね。マネジメント層を強化する施策の効果は出ていますか。

石田:直近3年のモラルサーベイの結果からは、一定の効果が出ているように思います。たとえば、「能力開発・教育訓練の機会」「上司のコミュニケーション」「評価に対するフィードバック」などの育成や上司の支援に関するスコアや、「目指すキャリアにつながる仕事がある」「成長実感」などのキャリア形成に関するスコアは向上しています。

一方で、「新しいことに挑戦する雰囲気」「安心して働くことができる環境」「心身の充実感」といった項目のスコアはまだまだです。昨年まではコロナ禍により、職場環境や働き方も特殊な状況にあった影響もあるかもしれませんが、これらのスコアも全体的に向上させていくことが今後の課題です。

マネジメント層のリーダーシップスタイルと業績との相関関係

吉田:オリックス生命様で実際に活躍しているマネジメント職に傾向はあるのでしょうか?
リードクリエイト吉田氏
石田:弊社ではリーダーシップスタイルと組織風土のサーベイを行っています。これらの結果を分析することで、どのようなリーダーが高業績組織をつくっているのかという傾向がわかってきました。

たとえば営業組織の場合・・・

協力:株式会社リードクリエイト



この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

●サーベイから見えてきた、活躍するマネジメント人材の傾向
●人材アセスメントを能力開発に活用する価値
●これからの「マネジメント職育成」に求められること
●マネジメント職に求められる能力の見極め~人事において不可欠な視点
●石田氏が語る、人材アセスメントに対する考え

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