より優秀な人材を惹きつけるため、ジョブ型採用(職種別採用)を取り入れる企業が増えつつあります。企業としての方向性=パーパスを明確に打ち出し、その実現のため、ジョブ型人事制度の導入など全社的な組織変革を推し進めている富士通株式会社も、その1つ。

今回は同社の人材採用センター センター長の渡辺大介氏、同マネージャーの鈴木淑子氏と、ダイレクトリクルーティングサービス『キミスカ』など多彩な新卒採用事業を展開する株式会社グローアップの新卒事業部 事業部長の加藤佑基氏による対談を実施。富士通が進める“採用革新”の狙いについて解き明かします。(以下:敬称略)


プロフィール


  • 渡辺 大介 氏

    富士通株式会社 Employee Success本部
    人材採用センター センター長 渡辺 大介 氏

    1991年新卒として富士通に入社。以降約30年間、人事業務を担当。本社での制度企画、プロダクト部門・サービス(SE)部門のBusiness Partner人事、グループ会社人事などを経験。2019年より現職。新卒採用やキャリア採用といった採用業務および人材流動化推進を担当。

  • 鈴木  淑子 氏

    富士通株式会社 Employee Success本部
    人材採用センター マネージャー 鈴木 淑子 氏

    2007年に富士通グループ企業に入社。以降、数年人事業務を担当し、その後、再編で新たに誕生したグループ企業で採用活動の立ち上げを経験。2016年より現職。インターンシップや新卒採用全般を担当。

  • 加藤 佑基 氏

    株式会社グローアップ
    新卒事業部 事業部長 加藤 佑基 氏

    2015年グローアップに入社。中途人材領域での営業経験後、2016年より経営企画室を立ち上げ。その後、全社のマーケティング及びサービス開発に携わり、『キミスカ』のマーケティング統括として、年間15万人の就活生が使うサービスへと成長させ、現職。自社の採用担当者として、採用全体の設計からインターンシップなどのコンテンツ作成も行ってきた。キミスカのコンセプトでもある『ありのまま』の採用・就活の実現に向けて日々活動をしている。

渡辺様・鈴木様・加藤様

人材マネジメントの手法を大刷新。“適所適材”で企業パーパスの実現を目指す

加藤 弊社が提供しているダイレクトリクルーティングサービス『キミスカ』は、学生登録者数が18万人に達する見込みとなるなど順調に成長し、大手の企業様にもご利用いただけるようになってきました。そこで今回は新卒採用における大手ならではの課題感について、御社に伺いたいと考えています。

御社は近年、ジョブ型の人事制度を取り入れるなど人事全般の仕組みを変えられてきました。いま現在、どのような方針で新卒採用に取り組んでおられるのでしょうか。
渡辺様
渡辺 以前の採用活動は“人員の補充”が中心でしたが、2020年に「富士通の存在意義とは何か?」と考え、会社としてのパーパスを作成したことが、人材について改めて考える大きな契機となりました。

そのパーパスとは「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というものです。さらにこのパーパス実現のため、HR VISIONとして「社内外の多彩な人材が俊敏に集い、社会のいたるところでイノベーションを創出する企業へ」を掲げました。

そして、このパーパス/ビジョンの実現に向けて人事として何をすべきか。現状から未来を考えるのではなく、未来のあるべき姿に近づくためにいまどうすべきなのかという視点で人材マネジメントのフルモデルチェンジに取り組んだのです。

目指すのは社員一人ひとりの成長を支え、持てる力の最大限の発揮を支える仕組みの創出。「事業戦略に基づく人材戦略と人員計画」、「主体的な挑戦を促すマネジメント」などを推進しています。

採用において必要だったのは、「多彩な人材が俊敏に集う」を実現すること。同質の人材をたくさん採るのではなく、さまざまな強みを持った人に来てもらうこと。
現在の採用方針は「人事が採用して各現場に配属する」のではなく、現場が起点。各事業部門が今後どのようなビジネスを展開していくのか、そのためにはどういう人材・職種が何人必要なのか。事業戦略をベースにして人員計画・採用計画を決めていくことです。

加藤 最近は学生側も「どういうスキルがあれば、どんな職種に就けて、年収はいくらくらいになるのか。どんなキャリアを歩めるのか」など、具体的な情報を求めている人が増えています。そうしたニーズに応える手法として、ジョブ型の人事制度は学生にも響きやすいでしょうね。
鈴木様
鈴木 事業部門起点で考えると、人員計画というのは、最初に新卒、キャリアの数を考えるべきではないと思います。あくまで事業戦略に基づく人材戦略がベースです。その戦略にマッチする人材を獲得するための手段が、新卒採用なのか、キャリア採用なのかということです。

そして、ポスティングもその1つです。現在、富士通では、社内で求められているポジションが社員に公開され、自分の意思で応募できるポスティング制度が多くの社員に活用されるようになってきました。

ポジションは富士通グループ全体で公開され、会社を超えた異動も可能です。「ものづくり現場を変えたい」「医療の変革に取り組みたい」など、自分自身の将来的なビジョンを描いている人が、その思いに従って現在とは異なる仕事にもチャレンジできる、そんな環境を実現しています。

渡辺 つまり、まず事業戦略の実現に必要なジョブを明確にし、様々な強みを持った人材にポスティングでチャレンジしてもらうことによって、よりジョブにマッチする人材をアサインすることができます。「その人に何をやってもらうか」ではなく「そのポジションやジョブには誰がふさわしいか」という視点。“適材適所”というより“適所適材”の考え方が人材マネジメントの基本となっているわけです。




この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。
●ジョブ型を含めた4つの採用コースと、選考時に重視する要素
●“ガクチカ”不足の学生に対するポテンシャルの見極め方法
●富士通のダイレクトリクルーティング活用ケース
●内定辞退や企業イメージにおいて富士通が感じる課題

  • 1

この記事にリアクションをお願いします!