企業の枠を越えて新ビジネスを。大企業の有志が仕掛ける異業種交流ワークショップ『ボトムアップフェス』が目指すものとは

特別読み切り

企業や組織を越えて交流し、チームを形成して新しいアイデアを創出しよう ── 去る8月26日、ソニーシティ大崎にて、大企業の有志ボランティアが主催するワークショップ『ボトムアップフェス』が開催された。参加者たちは「新規事業創出」や「社会貢献」といったテーマごとに分かれて新規ビジネスを想定した話し合いを行い、会場は大いに盛り上がった。この会を運営するのは、ソニーグループ、大鵬薬品工業、永谷園、キリンビバレッジ、電通、TBSテレビ、ベネッセコーポレーションの各社から集結した社員たち。高い志を持ったメンバーが周囲を巻き込んでいく、“ボトムアップ”を体現した一夜となった。

有志による活動が実現できたのは「上司やまわりの人たちの支えがあったから」

今回行われた『ボトムアップフェス』を語るには、まず『ベースキャンプ』という取り組みについて触れる必要がある。

『ベースキャンプ』とは、「同じ課題にチャレンジする仲間を作ること」を目的として展開している自主的な取り組みだ。運営しているのは、発起人であるソニーグループの上里献一(うえざと・けんいち)氏を中心とした、グループ会社の有志メンバーとなる。

その内容は月に1度、ワークショップや講演会などを行うというもので、テーマは『5年後の対話型エージェント(AI)を考える』、『データサイエンティストになろう』、『トレンドを作るマーケティング』、『2019年からはじめる新しい働き方』など多岐に渡る。しかし、根底にあるのは「新規ビジネスの創出」や「自分自身の成長」を目指すことを“登山”になぞらえ、そうした志を持つ人たちが集う場(=ベースキャンプ)であるということだ。

『ベースキャンプ』は自主活動のため、すべて業務時間外に行われる。ゆえに実施には苦労も多かったようで「例えば会場ひとつとっても、社内の設備を使う以上は申請が必要ですし、承認までの道のりは長かった。だけど、その度に総務や人事と話をするなどして、一つひとつクリアしてきました」と上里氏は話す。

2018年3月のスタート時はソニーグループの社員のみが参加対象だったが、社員が知り合いを呼び、さらにその知り合いへ……と輪はどんどん広がり、開始時は30人だった参加人数が、多いときには600人にまで膨れ上がったという。

会社非公認の『ベースキャンプ』が、ここまで大きく成長した理由を上里氏は「活動を応援してくれる上司や、まわりの人たちの支えがあったから」と語る。上司が若手の芽を摘まず、長い目で応援したからこそ、こうして「形」となっているのだ。これは部下を抱えている人にとって、大きなヒントとなるのではないだろうか。

この『ベースキャンプ』のワークショップとして開かれたのが、今回取材した『ボトムアップフェス』である。冒頭でも述べた通り、目的は「社内外のさまざまなメンバーと交流し、それぞれが技術や長所を持ち寄って新しいアイデアを創出すること」だ。

『ボトムアップフェス』は、上里氏が社外の勉強会で異業種企業7社(大鵬薬品、永谷園、キリン、電通、TBS、ベネッセ)の社員たちと出会ったことで実現したという。「勉強会には熱量がある人たちが集まっていて、この企画を提案するとみんな賛同してくれた」そうで、7社の社員たちは全員が社外活動としてボランティアで参加している。

有志発の異業種交流である『ボトムアップフェス』だが、単なる祭りで終わっては意味がない。上里氏はその思いを強く持っており「企業を横断した新しいプロジェクトが動き出す第一歩になれば」と語ってくれた。前置きが長くなったが、そんな異業種のメンバーをつなぐ『ボトムアップフェス』でどんなことが行われていたのか、レポートしよう。

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HRプロ編集部

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