企業を倒産へと追い込む可能性をはらむ“連鎖退職”。その構造と予防策・対応策とは?

HRプロ編集部スペシャルインタビュー

離職・定着研究の第一人者である青山学院大学経営学部・山本寛教授が、2019年春、『連鎖退職』(日本経済新聞社)と題する著書を上梓した。一人の退職をきっかけに次から次へと人が辞めていくというこの“連鎖退職”の実情について、山本教授に話をうかがった。

ゲスト

  • 山本寛 氏

    山本寛 氏

    青山学院大学経営学部・大学院経営学研究科教授

    博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。専門は人的資源管理論、キャリアデザイン論など。経営科学文献賞など受賞歴も多く、著書には、個人のキャリア発達と組織によるマネジメントの問題を体系化した『人材定着のマネジメント−経営組織のリテンション研究』(中央経済社)や、『転職とキャリアの研究−組織間キャリア発達の観点から』(創成社)、『なぜ、御社は若手が辞めるのか』・『連鎖退職』(ともに日経プレミアシリーズ)などがある

退職が退職を呼ぶ。その流れの裏側にあるもの

――まず“連鎖退職”とはどのようなものか、簡単に教えていただけますか?

山本教授(以下、山本) 転職が特別なものではなくなった現代、ぽつぽつと人が辞めていくことは普通に起こります。また、たとえばボーナスの支給後など、比較的退職者が増える時期というものも以前から存在していました。それらとは別に、誰かの退職が周囲に影響を与えて社員が次々と辞めていく、退職が退職を呼ぶ、という状況があり、これを“連鎖退職”と表現しています。最悪の場合は、人手不足によって倒産に陥る事象だと言えます。

――“連鎖退職”に注目されるようになったきっかけは何でしょうか?

山本 キャリアデザインという考え方が浸透したことで「自身の職業人生設計に基づいて転職・独立する」といった行動が一般的になりました。「転職とは、そういうものでなければならない」という空気すら感じられるほどです。ですが退職・転職について調査・研究を続ける中で、実際には「周囲の影響を受けて退職・転職に至る」というケースも多いことが肌感覚で分かってきたのです。

ところが“退職理由”のアンケートを取ったところ、「専門領域を深めたい・広めたい」といったポジティブなものから、「いまの会社ではワークライフバランスが悪い」といったネガティブなものまで、いろいろと出てくるのですが、「周囲の影響」という言葉は出てきません。影響の程度が強くないということもあるのかもしれませんが、それでも、誰かが退職したことで別の誰かが退職するという流れは否定できないと思えたのです。
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山本寛研究室

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