第73回 会社の仲間と仲良くやっていくためには、多少いやな付き合いも我慢して付き合う必要がある

たくましい新人育成を目指せ

お客様から聞く新入社員の言動で、問題のある傾向の一つとして、次のようなものがあります。

・歓迎会に、プライベートを理由に参加しない新人がいる
・研修所内では、すれ違い時に挨拶をするが、朝、同じバスに乗ってきても完全に無視する
・他の社員と昼食に行くとか、飲み会にいくとかしない
このようになる背景心理としては、「仕事と私生活を明確に分ける」というものがあると考えています。
今の若者は、「社会人になったら、仕事一辺倒の生活になる」というイメージをもっておらず、仕事も自分の生活の一部分という思考なのです。そこで、「他の部分(プライベート様々なところ)」と「仕事(お給料をもらうところ)」の間に一線を引くのです。これまでも、「広く、様々な集団に所属する」傾向をもち、学校やサークル、ネット上の付き合い等、複数の集団に所属してきました。会社も、その一つでかないという発想です。そのため、「通勤中はプライベートですから、会社の人と会ってもあいさつしない」という論理が成り立つのです。

そんな彼らですから、「会社の仲間と仲良くやっていくためには、多少いやな付き合いも我慢して付き合う必要がある」という意識調査の設問に、「そう思わない」と答える人がほとんどなのか?というと、そこまでには至っていません。

2017年の新卒では、次のような回答傾向でした。
そう思う   81.7%
分からない  10.7%
そう思わない  7.5%

ただし、「そう思う=嫌な付き合いも我慢する」という回答傾向は、2014年の85.9%をピークに下がり続けています。おそらく、上記のような理由から、今後も下がっていくと予測できます。


元々、「会社の仲間と仲良くやっていくためには、多少いやな付き合いも我慢して付き合う必要がある」という設問のもつメッセージは、「多くの先輩や上司、仲間と付き合っていくことで、自分の幅も広がり、その結果として自分のやりたいことができるようになる」ということです。学生の間は、「いやな人とは付き合わない」ということが成立し、場合によっては、「嫌いな授業は受けない、選ばない」、「バイトはいやになったらすぐに辞める」ということをやってきても、何ら問題はなかったわけです。問題がなかったどころか、そのように好きなものを選択することで楽しい生活を送ることができたはずです。

しかしながら、企業に入って「あの上司が嫌いなので、出社しません」、「指示された業務は苦手なので、やりません」、「あの得意先とは、相性が合わないので、担当交替させてください」というわけにはいきません。そこを乗り越えて仕事をやっていくことが求められます。実際に新入社員を指導する先輩社員を決めて指導している企業で「指導員を変えて欲しい」と言ってくる新入社員が数年前に現れ、その人数が、年を追うごとに増えているというお話を聞いたこともあります。
幸いにして、未だ8割以上の新入社員は、「多少はいやな付き合い」もしていった方が良いと考えています。その「多少」の範囲も、徐々に我々企業人30年選手と違って、狭くなっているようではありますが。過去のように、毎日のように飲みに行く関係であるとか、オフの日に一緒に遊びに行く等、そのようなことは、あまり期待できません。

間違えてはいけないのは、「会社は、成果を上げることが第一に求められる」ということで、そのための人間関係を形成することが重要であるということです。私が持つ社内の人間関係の判断基準は、最低限「問題なく、仕事が進められる」ための付き合いをすること、可能であれば、「こちらの状況を鑑み、多少の難があっても話を聞いてくれる関係」を作れるように付き合うことです。時々これを「要領よくやっている」というやっかみ感のある感想で批判されることもありますが、仕事をうまく回して成果を出すことが第一ですから、「要領よくやれる」ことは大変重要です。
社内の付き合いが広がれば、相手の状況もつかめ、こちらの状況も把握してもらい、そこから「要領よく」仕事がスムーズに動くことにつながるということをベースに、伝えていくことが肝要です。
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著者プロフィール

株式会社ジェック 意識調査分析担当 岡田 一寿

1963年兵庫県生まれ。横浜市立大学卒業後、1987年(株)ブリストルマイヤーズ(現ブリストルマイヤーズスクイブ)入社。1988年ジェック入社。以後、営業一筋。顧客接点変革をテーマに、主に交通系企業、流通企業の変革の取り組みやメーカーでの階層別人財育成体系等を担当。幅広い見識と磨きぬかれた分析能力による、人間の意識傾向・行動特性の把握、人財育成体系つくりで、多彩な人財創出の支援を行っている。

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