第71回 良い成績さえ上げていれば、会社の規則やルールは多少違反しても許される。(そう思わない と答えた割合)

たくましい新人育成を目指せ

「良い成績さえ上げていれば、会社の規則やルールは多少違反しても許される」という設問の回答傾向は、下記のようになっています。
そう思う   2.3%
わからない  4.2%
そう思わない 93.5%
「そう思わない」という回答は、この17年約92〜94%の間にあり、あまり大きく変動しません。
ルール遵守の思考は、多くの新入社員に理解されているようです。
ただし、「ルール順守の仕方」が微妙に変わってきているように思われます。
極端に言えば、「遅刻は絶対しない」という意識ではなく、「できるだけ、遅刻しないように努力する。年に1、2回の遅刻なら、構わない」、「10分遅れるのはダメだが、3分なら大丈夫」という意識になっているように思えるのです。どうも「これくらいなら、ルールのうち」という枠が非常に緩く、また、新入社員の段階で、その枠を試すような行為が多数、実践されてはいませんか?

新入社員研修の段階で報告されていることでは、下記のような行動があります。
・マンガ雑誌を広げて読んでいたので注意をしたら、今度はスマホでマンガを読んでいた。再度注意をすると、今度は小説を読み始めた。
・基本動作のテストでは、練習不足が目立った。「この程度で合格する」と考え、あまり自分に厳しくしない。
・おそらく、「失敗した際の言い訳」のために、100%の努力をしてこない。逃げが感じられる。
・集合時間に遅れることはないが、ぎりぎりに来る新入社員が増えた。
・エレベーターの混雑を言い訳に、遅刻してきた。毎日のことなのに。

新入社員研修が終わって、配属されると、
・黒髪をいきなり、金髪にしてきた。注意すると、茶髪に。何を試しているのか。
・仕事の説明をして「わかりました」と返事をした、その1分後に質問に来る。一時間以内に5、6回、質問、確認に来るので、再度、最初から説明したが、やはり「ここまでできましたが、次はどうすればいいですか?」と聞きに来る。どうやら、「わからない」というより、「失敗したくないので、とにかく聞いたままやっておきたい」という意識のようだった。
・出社時、タイムカードを押す直前までスマホでゲームをやっていた。注意すると、フロアのエレベーターを降りるところで、やめるようになった。

このように、ルールや規則、規律に対する意識は緩くなってきているように思われます。

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弊社の新入社員研修では、「規則と規律」に関わるレクチャーをすることになっています。規律とは、「規則を守るための守り方まで含めたもの」と教えています。その守り方は、所属する組織によって微妙に変わりますし、その守り方が出来上がった背景には、組織を円滑に動かすための理屈があるはずであることを伝えます。
会社では、組織で仕事をする以上、その組織を円滑に動かすための規律は重要で、それを逸脱するようであれば、組織がうまく回らず、業績が上がらないことは、新入社員にもわかります。「自分を中心に世の中は回っている」と思っているわけではないでしょうし、社会には、規律があることは理解しています。

それでも、組織の規律がどういうものなのかわからず、試してくるのはなぜか。

第一に、規律は書き出された規則ではないので、説明しづらいことがあります。周りを見て、同じように行動する、同調圧力の結果、習得できるものでもあり、自分らしく行動し、何でも許されてきた環境にいた場合は、その同調圧力すら感じられないかもしれません。結果として、組織がどう動いているのかわからず、その協調を乱すかたちで、規律違反をしてしまうのではないかと思います。違反しても、本人はわからないはず。

第二に、もし、新人が規律をいつまでも守れていないとすれば、その組織そのものが「仲良しクラブ」的になっていることがあります。誤った行動を指摘する人が少ないと、新人が犯す規律違反に近いことを目立たないところで先輩諸氏の誰かがやっている可能性があります。「先輩があれでいいのなら、これも大丈夫じゃないか?」という気持ちで試しにくるのです。

「規律を守る」とは、組織の進んでいる方向に対して、それを促進する行動を自らの判断で取ることなのだと思います。規則はあくまで最低限の決め事であり、それだけではうまく組織は回りません。刻一刻と変化する状況に合わせて、各自が協調できることが必要なのだと思います。その各自が協調できている状態が、「規律が守られている」状態なのだと思います。
ここで重要なのは、「自ら判断できること」です。個々人が自立していないと、じつは、規律も乱れてしまうのです。そういう意味では、新入社員は組織の中で自立していない存在ですから、規律を乱すことがある、という前提で、あきらめずに指摘し続けることが私たち先輩社員の仕事です。
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著者プロフィール

株式会社ジェック 意識調査分析担当 岡田 一寿

1963年兵庫県生まれ。横浜市立大学卒業後、1987年(株)ブリストルマイヤーズ(現ブリストルマイヤーズスクイブ)入社。1988年ジェック入社。以後、営業一筋。顧客接点変革をテーマに、主に交通系企業、流通企業の変革の取り組みやメーカーでの階層別人財育成体系等を担当。幅広い見識と磨きぬかれた分析能力による、人間の意識傾向・行動特性の把握、人財育成体系つくりで、多彩な人財創出の支援を行っている。

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