これまで日本人に閉じていた採用対象を外国人に拡げることも、採用難の時代の一つの解決策になりえます。以下のデータをご覧ください。
第3回 労働開国元年。外国人雇用のいま
これは、就業人口に占める外国人の割合について、日本と諸外国を比較した資料です。諸外国に比べると、就業人口における外国人比率がまだまだ低いのが日本の現状です。移民受入れに対する考えや文化相違の問題など、外国人の受け入れは、多くの議論がなされる過程ではありますが、国が、ビザの発給緩和や技能実習制度の期間延長などを展開し「外国人ワーカー」の増加に追い風がふいていることは「事実」でもあります。加えて、そうした近未来的な動向によらずとも、既に日本国内に在住し労働可能なビザを持ちつつも働いていない未就業者・潜在ワーカーに注目されることを提案します。
2014年時点で、在留外国人数は、206万人。一方で、就業中の方は、その3分の1程度の72万人といわれています。(下図)この未就業の方々は配偶者なども多く、「話す・聞く・書く・読む」と言われる言語4能力のうち日常会話レベルは「話したり、聞けるのに」日本語の求人情報が「読めず」日本語の履歴書が「書けず」に応募できない方も多いのです。求人側の歩み寄りや受け入れの工夫で大きな戦力となり得るのです。
第3回 労働開国元年。外国人雇用のいま

インバウンドニーズへの対応とその先にある未来

また、増え続ける国内のインバウンド(訪日外国人観光客)ニーズへの対応でも、外国人スタッフの雇用は注目に値します。訪日外国人は年間2,000万人越えが確実であり、その国内消費額は4兆円を超える勢いです。お客様である外国人観光客の方々と言語や文化の壁のない外国人スタッフを雇用し、インバウンドニーズにも対応をすることで、結果として業績の拡大を実現する企業が増えています。

また、国内のインバウンドニーズへの対応を目的としただけでなく、将来的な海外進出にあたっての現地マネジメント層育成・確保の観点で、アルバイト・パートスタッフとして外国人雇用に注目をする企業事例も増えてきました。

前述(※連載第1回参照)のARM(顧客がアルバイトスタッフに、アルバイトスタッフが社員へ、といったシームレスな流れ)を外国人雇用に展開した事例といえます。
人材の確保は、労働環境の改善に繋がるだけでなく、将来的な経営資源の獲得や選択肢の増加にも大きな影響をもたらしていきます。
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