HR総研では、第1報に続き、人的資本経営における具体的な取り組み効果や企業規模別の推進状況の違い、そして今後の展望について詳細に分析した結果を第2報として報告する。
約7割が人的資本経営を重視。「エンゲージメント向上」が最大の目的
第1報では、人的資本経営を重視する企業(「重要だと認識している」と「やや重要だと認識している」の合計)は、全体の約7割に上っていることを確認した(図表1-1)。
【図表1-1】「人的資本経営」の重視度

次に、「人的資本経営」に取り組む目的については、「従業員エンゲージメントの向上」が最多で68%と7割近くにも上っており、次いで「生産性の向上」が52%と半数程度、「採用力の強化」が46%と半数近くなどとなっている(図表1-2)。
【図表1-2】人的資本経営に取り組む目的

では、各社における従業員エンゲージメントの現状はどのようになっているのだろうか。その結果は、「高い」とする割合は5%で、「やや高い」が29%、これらを合計したエンゲージメントが「高い派」(以下同じ)は34%と3割程度となっている(図表1-3)。約7割が「エンゲージメント向上」を目的に人的資本経営に取り組む中、半数以上は目的を達成できていない現状がうかがえる。
【図表1-3】従業員エンゲージメントの現在の状況

約6割が「離職率の低減・人材定着」を目的に「エンゲージメント向上」に取り組んでいる
このように多くの企業が人的資本経営の目的に「従業員エンゲージメントの向上」を挙げる背景には、どのような期待が込められているのだろうか。
「従業員エンゲージメントの向上」に取り組む目的には、「離職率の低減・人材定着」が58%と最も多く6割に迫っており、次いで、「生産性・業務効率の向上」が54%、「組織内のコミュニケーション活性化」が45%などと続いている。構造的な労働人口の減少により、人手不足が深刻な問題となる中で、過半数の企業が人材定着や生産性向上を重要課題と捉えていることが分かる。
【図表2-1】「従業員エンゲージメント向上」に取り組む目的

実際に、「離職率の低減・人材定着」に対する自社の課題感の有無については、「ある」が18%、「ややある」が30%で、これらを合計した「課題がある派」(以下同じ)は48%と半数近くに上っている。一方、「ない」(11%)と、「あまりない」(16%)を合わせると「課題がない派」(以下同じ)は27%と3割未満にとどまる。「課題がある派」とは21ポイントもの顕著な差異が見られており、「課題感がない派」の企業は少数派であることが分かる(図表2-2)。
したがって、多くの企業は「離職率の低減・人材定着」という自社課題の解決を期待して、エンゲージメントの向上、さらには人的資本経営に取り組んでいるといえるだろう。
【図表2-2】「離職率の低減・人材定着」に対する課題感

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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間: 2025年4月16~30日
調査方法:WEBアンケート
調査対象: 企業の人事責任者・担当者
有効回答:194件
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