短期間で企業の競争環境が大きく変化する現代において、これらの変化に柔軟に対応し、経営や事業をけん引できる次期経営幹部候補の育成・確保は、企業の持続的成長と競争力強化の鍵となる。「次世代リーダーの育成」は、HR総研が実施している人事の課題に関する調査でも例年トップの項目になるなど、多くの企業において、優先的に取り組むべき事項として認識されている。
HR総研では、選抜型研修や配置を通じての育成等、各企業の次世代リーダー育成への取り組み実態について最新動向を調査した。調査結果をフリーコメントも含めて以下に報告する。

次世代リーダー育成に「取り組んでいる」、大企業で7割、中小企業は3割

まず、次世代リーダー育成に関する企業の重要度の認識や取組み状況について見てみる。なお、本調査では、将来的に経営や事業・職能部門のトップを担う「次期経営幹部候補」のことを「次世代リーダー」と定義している。
まず、「次世代リーダー育成の重要度」については、「重要である」(58%)と「やや重要である」(27%)を合計すると85%となっており、8割以上の企業は次世代リーダーの育成を重要な課題と捉えていることが分かる(図表1-1)。

【図表1-1】次世代リーダー育成の重要度

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次に、「次世代リーダーの育成・確保に関する取組み状況」について、企業規模別に見てみると、従業員数1,001名以上の大企業では「安定的に取組みを継続中」(47%)と、「取組みを開始した段階」(25%)とを合計した「既に取り組んでいる企業」(以下同じ)が72%と7割を超えているのに対し、301~1,000名の中堅企業では「既に取り組んでいる企業」は48%と5割を下回っている。300名以下の中小企業では「既に取り組んでいる企業」はさらに少なく33%にとどまっており、企業規模が大きいほど、次世代リーダーの育成・確保の取り組みが実施されていることがうかがえる(図表1-2)。

【図表1-2】次世代リーダー育成・確保に関する取組み状況

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

育成のターゲットポジションは「部門長」が最多で7割

次に、次世代リーダーの育成において、どのようなポジションの人材を育成対象とし、どのようなポジションをターゲットとしているのかについて見てみる。まず、「次世代リーダー育成のターゲットにしているポジション」については「部門長」が最多で71%、次いで「執行役員・事業責任者」が36%、「主要支社長・支店長」が23%などとなっている。社長やCxOをターゲットとするとの回答はいずれも1割前後にとどまっており、多くの企業において、まずは部門や事業のトップが育成ターゲットとなっていることが分かる(図表2-1)。

【図表2-1】次世代リーダー育成のターゲットにしているポジション

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

「次世代リーダー育成対象者の現在の役職」については、「課長クラス」が最多で78%、次いで「部長クラス」と「係長クラス」がともに50%などとなっている。多くの企業が部門長や事業責任者をターゲットのポジションとしており、この層の確保に向けて、1~2階層程度下の課長クラスからを育成対象としている企業が多いことが分かる(図表2-2)。

【図表2-2】次世代リーダー育成対象者の現在の役職

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

リーダーへの期待役割「組織文化醸成」が6割と「ビジネス目標達成」を上回る

次に、次世代リーダー育成に関する企業の取り組み方針について見てみる。
まず、次世代リーダー確保のための方法について、「A:社内登用重視」と「B:社外獲得重視」のどちらの方針に近いか聞いたところ、「Aに近い」(37%)と「ややAに近い」(45%)との合計が82%と、社内登用重視派の企業の割合が圧倒的に高いことが分かる。次に、次世代リーダーの選抜にあたって重視する点について、「A:スキル・専門知識重視」と「B:リーダーシップ・人間性重視」のどちらに近いか聞いたところ、「Bに近い」(16%)と「ややBに近い」(40%)との合計が56%と、リーダーシップ・人間性を重視する企業の割合がやや高いことが分かる。また、次世代リーダーに期待する役割について「A:組織文化醸成重視」と「B:ビジネス目標達成重視」のどちらに近いか聞いたところ、「Aに近い」(13%)と「ややAに近い」(49%)との合計が62%と、6割以上が「組織文化の醸成」を次世代リーダーの、より重要な役割として認識していることが分かった(図表3-1)。

【図表3-1】次世代リーダー育成に関する方針

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次世代リーダーに期待する役割については、いずれの企業規模においても「組織文化醸成重視」派が多かったものの、企業規模別にやや傾向の違いが見られた。大企業においては「Bに近い」(10%)と「ややBに近い」(35%)との合計が45%と「ビジネス目標達成重視」が全体に比べて高くなっているのに対し、中堅企業ではこれらの合計が40%、中小企業では33%となっている。企業規模が大きいほど、次世代リーダーに期待する役割として、ビジネス目標の達成を重視する傾向が見られた(図表3-2)。

【図表3-2】企業規模別 次世代リーダーに求める役割

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

「育成計画の策定」に壁、取り組んでいる企業は4割

次に、次世代リーダー育成に関する具体的な取組み状況について、まず、人材育成の前提となる現状把握や計画作成についての取組みを見てみる。
中長期での「経営戦略の明示」については、「できている」(30%)と「ややできている」(42%)との合計が72%となっており、7割以上の企業で取り組まれていることが分かる。また、「次世代リーダー人材像の明確化」や「社内人材のスキル把握」については「できている」と「ややできている」の合計がいずれも52%と約5割となっており、半数の企業において取組みが進んでいる。職務経験や研修プログラムの付与に関する「育成計画の策定」については「できている」(7%)と「ややできている」(33%)との合計が40%と、4割にとどまっており、「育成計画の策定」のステップに、一つ大きな壁があることがうかがえる(図表4-1)。

【図表4-1】次世代リーダー育成の具体的な取組み状況(現状把握・計画作成)

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次に、育成の実施及び実施後の段階における取組み状況を見てみる。
育成責任者による面談やフィードバックなどの「育成状況のモニタリング」については「できている」(7%)と「ややできている」(33%)との合計が40%となっている。メンターをつけてのフォローや、配属の受け入れ先との調整といった「育成対象者のサポート」は「できている」(6%)と「ややできている」(29%)との合計が35%と、取り組んでいる企業は3割強にとどまった。「育成結果の評価」と結果を受けての「育成施策の見直し」はいずれも「できている」と「ややできている」との合計が38%と約4割となっている。育成結果の評価、施策見直しを含めたサイクルを回す段階にまで至っている企業はまだ少数派であることがうかがえる(図表4-2)。まずは育成状況のモニタリングを適切に行い、その結果を基に育成対象者のサポートや評価、さらには施策の見直しまで効果的に行っていくことが望ましいだろう。

【図表4-2】次世代リーダー育成の具体的取組み状況(サポート・評価・施策見直し)

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次世代リーダー育成に取り組む企業、7割強がパフォーマンス向上の成果を実感

次に、次世代リーダー育成の取組みの成果について見てみる。
まず、「次世代リーダー候補者のパフォーマンス向上」に関する成果については、「成果が出ている」(5%)と「やや成果が出ている」(69%)とを合計すると74%となっており、7割強の企業が成果を実感していることが分かる。
「候補者の数の確保」に関する成果については、「成果が出ている」(7%)と「やや成果が出ている」(45%)との合計が52%と、約5割となっており、パフォーマンス向上に比べて成果が出ている企業は少ない。
「候補者の質の確保」に関する成果については、「成果が出ている」(5%)と「やや成果が出ている」との合計は58%と約6割となっている(図表5-1)。

【図表5-1】次世代リーダー育成の取組みに対する成果

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

候補者のパフォーマンス向上の成果が出ている企業と、出ていない企業について、それぞれ取組み状況を見てみると、成果が出ている企業については「継続的に取組み中」が63%であるのに対し、成果が出ていない企業では「取組みを開始した段階」が70%となっている。成果が出ていない企業には、取組みを開始して間もない企業が多く、成果を実感するためには継続的な取組みが必要であることがうかがえる(図表5-2)。

【図表5-2】パフォーマンス向上成果別 次世代リーダー育成の取組み状況

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

育成成果が出ている企業は「経営者・役員との対話」を研修メニューに組み込む傾向

次に、次世代リーダー育成対象者に対して、企業が求めるスキルや実施している選抜型研修等の育成施策ついて、具体的に見てみる。
「次世代リーダー候補者のスキル・特性として重視すること」については、「リーダーシップ」が最多で66%、次いで「組織・人材マネジメント」が55%、「目標達成意欲・行動力」と「問題解決力」がともに52%などとなっている。前年の調査結果と同様、「財務・会計に関する知識」(22%)や「デジタルリテラシー」(24%)、「法務知識」(11%)などの具体的な知識・スキルよりも、より総合的な「人を動かす能力」や「目標や課題に立ち向かう能力」が重視されていることが分かる(図表6-1)。

【図表6-1】次世代リーダー候補者のスキル・特性として重視すること

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

候補者のスキル・特性として重視することについて、選抜・育成方針別に見てみると、「デジタルリテラシー」、「財務・会計に関する知識」、「グローバル対応力」といった、特定領域におけるスキルに関する項目は「スキル・専門知識重視」の企業の方が重視する割合が高かったが、これらを除くほぼ全ての項目において、「人間性・リーダーシップ重視」の企業の方が「重視する」と回答している割合が高くなっている。「人間性・リーダーシップ重視」の企業の方が、候補者により多くのスキル・特性を求める傾向がうかがえる(図表6-2)。

【図表6-2】選抜・育成方針別 候補者のスキル・特性として重視すること

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

「実施している選抜型研修の内容」については、「リーダーシップ研修」が最多で61%、次いで「組織・人材マネジメントに関する研修」が42%、「問題解決スキル向上のための研修」が34%などとなっている。
前述の「次世代リーダー候補者のスキル・特性として重視すること」に概ね対応する研修が上位となっていることがうかがえる(図表6-3)。

【図表6-3】実施している選抜型研修の内容

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

「実施している選抜型研修の形式」については、「座学での研修」が最多で59%、次いで「ケースディスカッション」が49%、「現役の経営者・役員との対話」が42%などとなっている(図表6-4)。

【図表6-4】実施している選抜型研修の形式

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

候補者のパフォーマンスに関する成果が出ている企業と、出ていない企業で、それぞれ実施している選抜型研修の形式を見てみると、「現役の経営者・役員との対話」の実施有無について、成果が出ている企業は47%が実施しているのに対し、成果が出ていない企業では26%にとどまり、最も顕著な差が見られた。
経営者・役員との対話は、候補者に次期リーダーとしての自覚を促し、自発的な学びにもつながると考えられる。効果的な育成には座学での研修のみに偏らない、対話も取り入れた研修も重要であるといえる(図表6-5)。

【図表6-5】パフォーマンス向上成果別 実施している選抜型研修の形式

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

育成成果が出ている企業が特に重要視している施策は?

次に、「次世代リーダー育成・確保において特に重要視している施策」については、「選抜型研修」が最多で47%、次いで「タフアサインメント・ストレッチアサインメントによる経験の付与」と「育成対象者に対するキャリア支援の施策」がともに19%などとなっている(図表7‐1)。

【図表7-1】次世代リーダー育成・確保において特に重要視している施策

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

候補者のパフォーマンスに関する成果が出ている企業と、出ていない企業で、それぞれ重要視している施策を見てみる。成果が出ている企業では、「タフアサインメント・ストレッチアサインメントによる経験の付与」(22%)や「育成対象者に対するキャリア支援の施策」(22%)を特に重視しているとの回答がいずれも約2割となっているのに対し、成果が出ていない企業ではいずれも11%と約1割にとどまっている。成果が出ていない企業では、「外部人材獲得」が22%と、成果が出ている企業に比べて重視している割合が高く、社内育成に十分にリソースが割けない中で、社外からの獲得を重視していることがうかがえる(図表7-2)。

【図表7-2】パフォーマンス向上成果別 特に重要視している施策

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次に、次世代リーダーの選抜・育成方針別で、特に重要視している施策を見てみる。スキル・専門知識を重視する企業においては「タフアサインメント・ストレッチアサインメントによる経験の付与」が14%となっているのに対し、人間性・リーダーシップを重視する企業では23%と、9ポイント高くなっている。一方で「選抜型研修」についてはスキル・専門知識を重視する企業が53%に対し人間性・リーダーシップを重視する企業では42%となっており、スキル・専門知識を重視する企業の方がより、選抜型研修を重要な施策と位置づけていることがうかがえる(図表7-3)。
これは、各施策により向上を期待できる点が異なるためと考えられる。人間性やリーダーシップについては、研修のみで身につけることが難しく、実際のリーダーとしての経験が必要となるため、それらを重視する企業では、よりストレッチアサインメント等による経験を重視する企業が多いということだろう。

【図表7-3】選抜・育成方針別 特に重要視している施策

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

では、経験の付与を意図したアサインメントとは具体的にどのようなものなのだろうか。「経験を積ませるために意図的に行っているアサインメント」は、「部門を横断したプロジェクトへの参画」が最多で56%、次いで「未経験業務分野への配属」が26%、「経営企画部門等、スタッフ部門への配属」が20%などとなっている(図表7-4)。いずれも全社視点を身につけるうえで効果的なアサインメントと考えられるが、部署異動を伴わずに実施できる部門横断のプロジェクトへの参画に取り組んでいる企業が最も多い結果となった。

【図表7-4】経験を積ませるために意図的に行っているアサインメント

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

経験の付与を意図したアサインメントは、研修等の施策に比べて影響範囲も大きいため、実施にあたっては、より慎重に取り組む必要がある。候補者の職歴や、特性・スキルを見極め、付与すべき経験や配属先との折り合い等も勘案することが重要になる。社内人材のスキルを把握できている企業と、把握できていない企業について、それぞれ特に重要視している施策を見てみると、把握できている企業では「タフアサインメント・ストレッチアサインメントによる経験の付与」が27%と3割近くに上っているのに対し、把握できていない企業では3%と極端に少なくなっている。配属やプロジェクトへのアサインメントを伴う施策については、まずは社内人材の客観的なスキル把握から取り組み、保持スキルを考慮した候補者の選定を行い、タフアサインメント・ストレッチアサインメントを実施することが効果的かつ効率的であるといえる(図表7‐5)。

【図表7-5】スキル把握状況別 特に重要視している施策

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

育成成果が出ていない企業、一人当たり年間予算「10万円以下」が6割

次に、次世代リーダー育成にかける予算や、育成の開始時期について見てみる。
まず、「次世代リーダー選抜育成にかける一人当たり年間予算」については、「10万円以下」が最多で37%、次いで「10万円超50万円以下」が26%、「50万円超100万円以下」が17%などとなっている。また、「100万円超150万円以下」~「300万円超」を全て合わせた「100万円超」(以下同じ)は20%となった(図表8-1)。

【図表8-1】次世代リーダー選抜育成にかける一人当たり年間予算

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

企業規模別で見ると、大企業では「100万円超」が30%となっているのに対し、中堅企業では21%、中小企業では9%となっている。一方で「10万円以下」の割合は大企業では21%となっているのに対し、中堅企業では35%、中小企業では57%となっており、企業規模が大きいほど一人あたりの年間予算も多いという明確な傾向が見られた(図表8-2)。

【図表8-2】企業規模別 次世代リーダー選抜育成にかける一人当たり年間予算

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

候補者のパフォーマンスに関する成果が出ている企業と、出ていない企業で、それぞれ「選抜育成にかける一人当たり年間予算」を見てみると、成果が出ていない企業では「10万円以下」が56%と6割近くに上っており、ほとんど予算を割いていない企業も多いことがうかがえる(図表8-3)。

【図表8-3】パフォーマンス向上成果別 選抜育成にかける一人当たり年間予算

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

「次世代リーダー育成を開始する年齢」については、「30代後半」が最多で35%、次いで「30代前半」が23%、「40代前半」が21%などとなっている(図表8-4)。概ね30代~40代前半から育成を開始する企業が多いが、「20代前半」(2%)、「20代後半」(10%)と、20代のうちから育成対象とするとの回答も1割程度あった(図表8-4)。

【図表8-4】次世代リーダー育成を開始する年齢

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次世代リーダー候補者の質について期待通り確保できている企業と、できていない企業について、それぞれ育成開始の年齢を見てみると、確保できている企業では「20代前半」が3%、「20代後半」が15%となっており、20代のうちに育成を開始する企業が約2割あるなど、全体的に早期に育成を開始している傾向がうかがえる(図表8-5)。
次世代リーダーの育成においては、必要性が生じてから取り組むのではなく、先を見据えて長期的な目線で育成することが重要であるといえる。

【図表8-5】候補者の「質」に関する成果別 次世代リーダー育成を開始する年齢

HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告

次世代リーダー育成に関する自由意見

最後に、次世代リーダー育成に関する意見のフリーコメントから代表的なものを抜粋し以下に紹介する(図表9)。

【図表9】「次世代リーダー育成」に関する自由意見(一部抜粋)

「次世代リーダーの育成」に関する自由意見従業員規模業種
現業務に携わりながらの選抜研修受講のため、所属部門の協力がないとなかなか大変。本人のモチベーションやスキルを上げる以前に、全社的な意識改革が必要だと思う1,001名以上メーカー
経営層のビジョン形成が重要だと思う1,001名以上メーカー
次世代リーダー育成の効果指標と結果の見える化が課題である1,001名以上メーカー
KPIのような指標に頼ると、KPI項目が過剰に意識され歪みが出てくる1,001名以上金融
経営層の認識が低い301~1,000名サービス
中長期計画が明確に浸透しないと、各現場もどのような教育、リーダーを必要とするのかベクトルが合わなくなってしまう301~1,000名サービス
重要課題と捉えているが、目先の業務に手を取られている従業員が多く、育成の時間を取れていないことが問題だと思っています301~1,000名サービス
人的資源不足により計画を立てて育成をすることができていない。長期的な取り組みとなるがそこまで事業環境の流れについていけるかどうかが課題と感じている301~1,000名メーカー
大事なテーマではあるが、正直なところ次世代リーダーの育成まで手が回せない現状ではある300名以下サービス
会社として育てることも大事だが、自らリーダーになるべく色々なことを学んで欲しい300名以下マスコミ・コンサル
若手リーダーの抜擢については、勢いだけではいかないところが多く現場とのバランスも重要300名以下メーカー
従来から、課長職・部長職の在籍中に自然と選抜がなされているため、次期経営層の選抜・育成が必要という意識が強くない企業風土です。ただし今後を考えたときに、全体として人材不足になるのが見えているため、次世代リーダー育成に取り組む必要があるとは感じています300名以下メーカー

【HR総研 客員研究員からの分析コメント】

【HR総研 客員研究員からの分析コメント】

  • 曽和 利光氏

    株式会社人材研究所 代表取締役社長/HR総研 客員研究員 曽和 利光氏

    日本の次世代リーダー育成は中間層育成に留まっている
    「次世代リーダー」とは誰を指すのか。欧米企業では強いトップの業績影響が大きいとして、「次の社長」をいかに生み出すかと考える例が目立つ。一方、本調査では、社長・CEO・COO候補を育成対象とするのは15%に留まる。日本においては多くの場合「次世代リーダー」とは部門長(部長)クラス、つまり中間管理職くらいを指しているようだ。その結果、次世代リーダー育成の対象も、本部長や役員クラスとしているところは18%のみで、約8割が課長クラスを対象にしている。

    中間層を対象としているせいか、育成内容についても特徴が出ている。方法としては大勢に実施できる選抜型研修等の座学を中心としたものが約6割と多く、タフアサインメント・ストレッチアサインメントによる実際の「修羅場」経験の付与を重視する企業は19%しかない。内容も「ピープルマネジメント」(リーダーシップ61%、組織・人材マネジメント42%)系の研修が多く、社長など本当のトップに必要に思われる「経営戦略・事業戦略の立案」に関する研修は17%、「リベラルアーツ(教養)」は7%とあまり実施されていない。

    マネジメントスタイルの特徴が、欧米は「トップダウン」が多く、日本は「ミドルアップダウン」と呼ばれたように中間管理職が競争力を生み出すコアとなっていると考えれば、これでよいかもしれないが、変化の激しい現在でもこれは当てはまるだろうか。スピーディーな組織変革はトップダウンで行わなくてはならないことが多い。近年の日本では、優秀な中間層をうまく扱えずにトップが会社を道に迷わせるケースが多いように思えてならない。本当の「次世代リーダー」=トップを育成することの優先順位の方が高いのではないか。

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】「次世代リーダーの育成」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2023年7月24~31日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:218件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当調査のURL記載、またはリンク設定
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  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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