「厳格化傾向」とは心理学用語のひとつで、人事評価の際に実態よりも厳しく評価することをいいます。一方で、実態よりも甘くなることは「寛大化傾向」と呼びます。

「厳格化傾向」は、組織発展への使命感や「厳しく接しなければ部下は育たない」といった思想が強すぎることに起因して起こります。そのため、優秀で教育熱心な評価者に、厳しく見るバイアスがかかるケースは少なくありません。自身が過去にあげてきた実績を基準として他人の評価をしてしまっていないかは注意が必要です。

「厳格化傾向」が強まると、褒める機会が少なくなるため、被評価者のモチベーションやエンゲージメントの低下を招くリスクがあります。最悪の場合は被評価者の緊張感や過労につながり、体調不良を引き起こす原因になってしまうこともあります。

また組織として「厳格化傾向」が強い場合、ミスが許容されない環境となり、社員のチャレンジングな発想が生まれなくなる恐れもあります。

改善には、評価項目の定量化や等級制度の整理を行い、評価者と被評価者の目線合わせが肝要です。その基準を基に、評価者は主観的ではなく客観的な視点で判断することで偏りを防ぐことができるでしょう。