ALL DIFFERENT株式会社は2025年5月15日、企業の人事を対象に実施した調査をもとに、「若手社員の育成(OJT)」に関する実態を調査・分析した結果を発表した。調査期間は2024年10月~2025年2月で、人事担当者302人から回答を得ている。調査の結果、9割以上の企業がOJTを実施している一方で、OJTの質が担当者によってバラつくといった課題が明らかになった。

企業の人事が感じる“OJTの課題”、1位は「担当者ごとのやり方のバラつき」に。改善への取組み実態や具体的な改善策は?

人事が感じる新入社員・若手社員の“最大の課題”は?

企業における若手社員の育成は重要なテーマであり、多くの企業で実施されるOJTの効果や課題に対する、人事担当者の関心は高いだろう。近年の労働市場では、若手社員の早期離職や主体性の低さが指摘されており、OJTの質の向上は喫緊の課題と言える。実際に企業のOJT担当者は、若手社員の育成においてどのような課題を感じ、どのような意識を持っているのだろうか。

ALL DIFFERENT社はまず、“新入社員”と社会人2~3年目の“若手社員”のそれぞれについて、「知識・スキルや業務への姿勢で課題に感じることがあるか」と尋ねた。その結果、新入社員・若手社員のいずれにおいても「主体性・積極性」との回答が最も多くなった(新入社員:30.5%、若手社員:46%)。なお2位以下には、新入社員では「メンタルタフネス」(26.2%)や「報連相」(20.9%)、若手社員では「成長意欲」(30.8%)や「目的・目標の理解」(25.8%)が続いている。
新入社員・若手社員の課題

OJTの最大の課題は「担当者ごとのやり方・精度のバラつき」に

次に同社は、OJTに対する人事の考えを調べるべく、OJTの「実施有無」と「課題(実施している場合)」を尋ねた。すると、実施有無については9割以上が「実施している」と回答したという。

そこで、「OJTを実施している」とした人に「課題」を尋ねた結果について、従業員規模別に集計すると、従業員規模を問わず「OJT担当者によってOJTのやり方や精度にバラつきがある」が最大の課題であることが明らかとなった。また、それに次ぐ回答となった「OJTの全体像やゴール、育成計画がなく、場当たり的になっている」については、従業員規模が小さい企業ほど課題に感じている傾向のようだ。

なお、3位以降の結果においては従業員規模別で違いが見られ、100人以下の企業は「適切に指導できるOJT担当者が足りない」(35.3%)、101~300人の企業は「人事はOJTに関与しておらず、課題がわからない」(36.7%)、301~1000人の企業は「OJT担当者任せになっており、各部署内でのフォローやサポートがない」(34.8%)、1001人以上の企業は「人事はOJTに関与しておらず、課題がわからない」(28.9%)がそれぞれ3位の結果となっている。
OJTの課題

課題改善に着手する企業は7割以下。具体的な改善策とは?

最後に同社は、「OJTの課題に対してどのような改善策を検討しているか」を尋ねている。その結果、すべての従業員規模において、3割以上が「具体的な内容はまだ検討していない」と回答したという。

そこで、「改善策を検討している」とした企業の結果を従業員規模別に見ると、100人以下の企業では34.3%が「育成対象者の目標を明確にする」と回答し、その割合は従業員規模が大きい企業ほど低い割合となった。また、101~300人の企業、301~1000人の企業、1001人以上の企業では、「OJT担当者のトレーニングを行う」や「人事とOJT担当者との連携を密に行う」との回答割合が高くなっている。なお、1001人以上の企業では「OJT担当者の心構えを醸成する」が最多回答となっており、他の従業員規模群と比べても突出した結果となった。
OJTの課題に対してどのような改善策を検討しているか
同社はこの調査結果を踏まえ、OJTを効果的に実施するためには、OJTが意図的、計画的、かつ継続的に行われるべきであると提言している。若手社員の主体性や積極性を高めるためには、OJTの目標にこれらの要素を含め、段階的な研修を実施し、継続的なサポートとフィードバック、特に肯定的なフィードバックを重視すべきだろう。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000233.000005749.html

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