上司から理不尽に怒られた時の対処方法は「冷静になって自分と相手を観察する」こと

上司との関係がうまくいかないと、職場は憂鬱な場と化してしまう。怒りっぽい上司、特に「なぜこんなことで、こんなに腹を立てるんだろう?」と理解できない怒り方をする上司は、部下にとって最大の難物となる。もちろん暴言などの場合は、パワーハラスメントとして社内の相談窓口などに申告すべきだ。だが、そこまではいかないけれど、上司の態度に困っている……というあなたには、こんな対処方法があることを知ってもらいたい。

「頭が真っ白になる自分」から「観察する自分」へ

人間誰しも、強い言葉で非難されると平静ではいられない。しかもその相手が日頃から「苦手だな」と思っている人だと、頭が真っ白になって何もできなくなってしまったりする。

上司に怒られて、ただオロオロと「すみません」と繰り返したり、黙り込んでしまったりして、相手の怒りに拍車をかけてしまった……そんな経験がある人も多いだろう。

そんな繰り返しから抜け出したいと考えるのであれば、ひとつ方法がある。まず、上司に怒られたときのことを思い出してみていただきたい。上司の赤くなった顔、荒い語気、「お前がすべて悪いんだ」と言わんばかりの言葉……。思い出しただけでも、動悸がしてきたり、いやな気持ちになったりするはずだ。

次に、怒っている上司と怒られている自分を、少し離れた場所から観察してみよう。部屋の隅、斜め上あたりにあるビデオカメラが、上司と自分の姿を撮影していると想像してみるのだ。すると不思議と、ムカムカするいやな気持が遠のき、そのできごと自体を、前より冷静に見られるようになるはずだ。

怒られていることにとらわれて悩んでいると、相手の怒りの感情や、何もできないでいる情けない自分にフォーカスが当たってしまい、相手の言っていることを冷静に考えられなくなる。そこから抜け出すため、「頭が真っ白で何もできない自分」から「第三者としてできごとを観察し、冷静に判断できる自分」にスイッチしよう。

これができるようになると、怒られている最中であっても、相手の感情に巻き込まれにくくなる。つまり、第三者的な少し引いた視点から相手の言っていることを理解し、どう対処すべきかを考えられるのだ。

怒りの背後にある上司の「べき」を見出す

第三者的な視点を獲得したら、次は何を観察すればよいのだろうか。

実は、怒りっぽい人は往々にして、「◯◯すべき」、「このやり方でやるべき」という自分なりの価値観にとらわれている。このタイプの上司は、別のやり方でやっている部下を見るとイライラし、「なぜ自分の言うことが聞けないのだ」、「真面目にやれ」、「そんなこともできないのか」と怒りを爆発させてしまう。このような強い怒りになってしまうのは、その背景に「自分の価値観を否定された」という感情があるせいだ。

それならば、まず上司の「べき」が何かを理解することが、この不幸なやりとりから抜け出す近道ではないだろうか。この「べき」を探す際に大きな助けとなるのは、上司が怒っていない時によく言っていることだ。いやな上司のことを観察するなど気が進まないかも知れないが、これによって「べき」を理解することができれば、後がグッと楽になる。

上司の「べき」が分かったら、次のように対処しよう。

まず、言い方に問題があったとしても、内容がもっともであった部分は共感してみせ、「次から自分も改めます」と言うようにしよう。言い方に問題があるのも十分にハラスメントなのだが、ここでは抗議しないという前提の話である。

言っている内容があくまでもその上司の価値観であって、第三者的に見ても理不尽な内容であると感じたら、そのようにできない理由を論理的に伝えるようにしよう。

言い方どころか、人格否定、暴言とも言えるひどい言葉があったとすれば、それはもちろん抗議してよい。「抗議なんてとてもじゃないけどムリ」というのであれば、そこでは沈黙してやり過ごし、パワハラとして適切な窓口に申告すべきだ。

このように、相手から言われた内容を分解して、それに応じた対処法を考えることもできる。いずれにしても、まずは“冷静に観察する自分”を手に入れることが必要だ。
李怜香(り れいか)
メンタルサポートろうむ 代表
社会保険労務士/ハラスメント防止コンサルタント/産業カウンセラー/健康経営エキスパートアドバイザー

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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