このほかにも、全国健康保険協会では生活習慣病予防健診や特定保健指導等の一部費用負担、地域産業保健センターでは産業医選任義務のない常用労働者数50人未満の事業場における産業保健活動の助言・相談、中央労働災害防止協会ではメンタルヘルスケアや健康づくりのための各種セミナーや講師派遣を行っている。

繰り返すが、健康経営とは一口に言えば「従業員の健康管理を『経営的な視点』から考え『戦略的に実践』すること」だ。
最終的には経営戦略に落とし込んでこそ、日々の事業活動の中に根づき、息づき、やがて将来の成長となって実を結ぶのである。

日本経済が直面している問題のうち、喫緊のテーマのひとつは持続可能な社会保障制度だろう。
この極めて困難かつ深刻な問題を解決するためには、一部の大企業もしくは志高い中小企業が取り組むだけでは、早晩息切れしてしまいかねない。
真に解決の道筋を切り拓くには、日本全国個々の企業が少しずつでも健康経営に取り組み、それを端緒として来るべき少子“超”高齢社会に適合した企業体質へと一歩を踏み出すことが重要ではないだろうか。

結びの言葉として、イギリスの経済学者ウィリアム=ペティの格言で締めくくる。

 ── 健康は労働から生まれ、満足は健康から生まれる。

※本稿の記述はすべて執筆時点での情報です。実際の利活用(特に助成金)にあたっては、必ず各事業主体まで改廃等ご確認をお願いいたします。

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。


社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー
代表 健康経営アドバイザー 楚山 和司
  • 1
  • 2

この記事にリアクションをお願いします!