
4割が「静かな退職」状態。離職リスクの顕在化
「静かな退職」とは、従業員がキャリアアップや仕事のやりがいを求めず、淡々と必要最低限の仕事だけをこなす働き方を指す。コロナ禍以降のワークスタイルや価値観の変化に伴って、日本でも「静かな退職」が増えてきているとされており、表面化していない“離職予備軍”とも言われている。今回の調査で、人事職以外の従業員に「現在の仕事にどのように向き合っているか」を尋ねたところ、「消極的」が11.5%、「やや消極的」が25.2%となり、合計36.7%と約4割が「静かな退職」状態であることが明らかとなった。この層は、企業にとっては見えにくいリスクであり、組織全体の活力低下や業績への影響が懸念される。

不満の最多理由は「給与・評価」。年代ごとに異なる傾向に
続いて、「今の会社に対して不満・不安を感じるポイント(離職を考える理由)」を尋ねた。すると、最も多かったのは「給与・報酬が期待に見合っていない」(45.4%)、次いで「評価・昇進の基準が不透明」(33.5%)となり、トップ2は給与・制度(評価)面に関わるものとなっていた。他方、それに続く第2群の結果は、「経営陣の意思決定や発信に不信感」と「業務量や仕事の進め方に問題がある」がともに20.1%、以降は「チーム・職場の心理的安全性の欠如」(19.5%)など、「コミュニケーション」や「ワークライフバランス」といった職場環境・人間関係に関わる項目も目立った。同社による年代別の分析では、若手層(20代)は給与への不満が中心となっており、ミドル層(30~40代)では「柔軟性不足」と「キャリア・スキルアップ不安」が高かったという。また、シニア層(50代)は「経営陣の意思決定」など組織運営面への不満が高かったとのことだ。

「静かな退職」層の特徴は“組織への信頼・共感不足”
前問にて、「静かな退職の状態にある」と回答した層(以下、静かな退職層)に絞ると、第1群は「給与・評価」との回答が突出していた。第2群では「会社の将来性や成長可能性への不安」と「業務量や仕事の進め方に問題がある」(ともに21.7%)、「ハラスメントや人間関係不安」(20%)、「経営理念・パーパスに共感できない」と「上司・同僚とのコミュニケーション不安」(ともに19.1%)が続く。組織全体への信頼性に関する要因が多く、仕事や組織の未来に対する不安感が強いことがうかがえる。
リモートワークで「静かな退職」層が5割超。働き方による差も
静かな退職層をワークスタイル別に分けると、「リモートワーク中心型の社員」が57.3%と5割を超えた一方、「ハイブリッド型の社員」は18.6%と最も低く、2割未満にとどまった。対面と柔軟性のバランスが維持されやすい働き方ほど静かな退職に至る割合が低く、反対に「リモートワーク中心型」では情報格差や認識の違いが生じやすいため、組織全体の信頼低下や不安増長への影響があると考えられる。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000045656.html