
データを根拠にした人事施策を行っているのは3割未満
人事業務のDXを推進する企業が増えているなか、取得したデータは人材戦略に活かされているのだろうか? 同研究所は、最初に「人事情報や従業員データを活用して、人材の登用・異動・配置・抜擢を行うことができているか」を尋ねた。その結果、「行うことができている」は3%で、「どちらかといえば行うことができている」が26%となった。「人事施策にデータを活用できている」と答えたのは全体の3割未満で、残りの7割は客観的なデータを根拠にした人事決定ができていなかった。

「キャリア志向」や「モチベーション」など定性的データに人事は注目
さらに、同研究所は「今後、人事情報や従業員データをどのように活用していきたいか」と質問し、現状とのギャップを分析している。両者の乖離が最も大きかった項目は「タレントの特定(次世代リーダー・抜てき対象)」で、その差は25.9%だった。以降は、「能力開発」が25.2%、「育成計画の策定」が22.1%と続いた。これらは、先述の「データ活用実態」で下位となっていた3項目にあたる。いずれもキャリア構築や育成に関わる内容であり、従業員の成長にデータをもっと活かしたいと考えている様子がうかがえる。一方、ほとんどギャップがない項目は「異動」だ。その差はわずか-1.6%であり、現状において充分にデータを活用できているとみてよいだろう。
