経済産業省(以下、経産省)は2021年8月31日、同年9月と10月の「DX推進指標」の集中実施期間にあわせ、同省が示している「『デジタル経営改革のための評価指標(DX推進指標)』のとりまとめ」に基づいた自己診断を実施するよう企業に呼びかけた。同省はこれにより、各企業に自社のDX推進状況をフォローアップさせたい考えだ。診断結果を提出した企業には、自社と他の提出企業のDX推進状況を比較できる「ベンチマーク」を提供するという。
経産省が9月と10月の「DX推進指標」の集中実施期間に、自社の状況を診断するよう呼びかけ。他社と比較できるベンチマークも提供

指標に基づく自己診断で、自社および全体のDX推進状況を把握

経産省は、国内企業におけるDXおよび「デジタル経営改革」を推進するべく、「DX推進指標とそのガイダンス」を2019年7月に取りまとめた。以降、毎年9月と10月を、同指標による診断を行う集中期間と定めており、2021年も同様に実施する。各企業がこの診断を行うことで、自社のDXの推進状況を把握し、結果を次期経営計画に反映することを促すという。

なお、同省がとりまとめている「DX推進指標」は、DXの推進状況について各企業が簡易的な自己診断を行えるというものだ。経営幹部や事業部門、DX部門、IT部門などの関係者間で、自社の現状と課題に対する認識を共有し、次のアクションにつなげる気付きを提供することを狙いとしている。指標の内容は、以下の2つから構成される。

1.DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標

「DX推進の枠組み」(定性指標)、「DX推進の取組状況」(定量指標)

2.DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標

「ITシステム構築の枠組み」(定性指標)、「ITシステム構築の取組状況」(定量指標)

なお、定性指標は35項目からなり、現在の日本企業が直面している課題や、それを解決するために押さえるべき事項を中心に選定しているという。
DX推進指標
DX推進指標の自己診断に取り組んだ結果は、「独立行政法人 情報処理推進機構(以下、IPA)」に提出する。結果を提出した企業には、自己診断結果と全体データとの比較を可能にする「ベンチマーク」が提供される。この分析結果は、自社と全体との差の把握や、次のアクションの検討などに活用できる。また、IPAでは診断結果を取りまとめ、「企業規模別の特徴」や「DX先行企業の特徴」、「全体の経年変化」等を明らかにする分析レポートを毎年作成・公表している。今後のスケジュールは以下の通りだ。

・2021年版「ベンチマークの速報版」の提供:2021年10月31日までにIPAのホームページから診断結果を提出した場合、11月中旬頃
・2021年版「分析レポート」公表:2022年3月頃(予定)
自社の現在のDX進捗状況を可視化するため、指標を活用した自己診断を実施してみてはいかがだろうか。その結果に基づいて「人事部門における人材育成・確保」などの課題も明確にし、次のアクションにつなげていきたい。

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