経済産業省(以下、経産省)は2021年7月2日、令和3年度「中小企業新事業創出促進対策事業費補助金」において、大企業等で経験を積んだ人材がテック系スタートアップへ挑戦することを推進する事業、「SHIFT(x)」(読み方:シフトエックス)を開始したと発表した。本件は、経産省から一般社団法人社会実装推進センター(以下、JISSUI)への委託事業として行われ、スタートアップに挑戦する人材を支援する民間事業者に対して資金補助を行うとともに、好事例の情報発信等を実施していくもの。これにより、「大企業・スタートアップ間での人材交流によるイノベーション創出」というエコシステムを構築していきたい考えだ。
経済産業省が「大企業人材」のスタートアップ挑戦を積極支援へ。人材交流によるエコシステム構築を目指す

スタートアップで活躍するポテンシャルがあるにも関わらず、挑戦できていない大企業人材

経産省は、大企業等とスタートアップ間で人材が行き交うことにより、イノベーションが創出される「エコシステム」の構築を目指している。特に、研究開発をおこなうテック系スタートアップでは、技術力は高いものの、事業化に伴い必要となるさまざまなノウハウ(営業・広報、経理・人事等)が不足しているケースが多い。このため、大企業等でビジネス・マネジメント等の経験を積んだ「大企業人材」が、スタートアップで活躍できる可能性がおおいにあるという。しかし大企業人材にとっては、スタートアップにネガティブなイメージがある、いざ挑戦を決めても情報不足により自身に合ったスタートアップに辿り着けない、といった課題があるのが実情だ。

JISSUIが野村総合研究所に委託し、実際に大企業からスタートアップへ転職した101人に対して実施したアンケート調査によると、大企業人材は「転職前にはスタートアップに対し、給与ややりがい面などで漠然とした不安要素を持っている」ものの、「転職後に後悔した」人は1人にとどまる結果に。このように、スタートアップ転職経験者の満足度は高く、仕事の充実も十分に得られていることが判明した。

JISSUIはこれらの状況をふまえ、「SHIFT(x)」を通じて経産省が目指すスタートアップエコシステムの構築を行っていくことを決定した。
スタートアップの実態と課題

モデル事業7件を採択し、スタートアップに挑戦する事例創出および情報発信を実施

本事業は、大企業人材が「プロボノ」、「副業・兼業」、「転職」といったさまざまなスタイルでスタートアップに挑戦するのをコーディネートする民間事業者の取り組みに対し、資金面の補助をおこなう。これにより好事例を創出するとともに、webサイトなどでの情報発信も行っていくという。これらを通じて、大企業人材とスタートアップ間のギャップを埋め、エコシステム創出の推進を図っていきたい考えだ。
SHIFT(x)の取り組み
JISSUIは2021年4月16日~5月20日の間公募を行い、以下7件のモデル事業を採択した。これにともない、「SHIFT(x)特設WEBサイト」をオープン。採択されたモデル事業の紹介や、スタートアップキャリアの“実態・リアル”を伝えるコンテンツを随時更新し、「ネクストキャリア」を考えるきっかけとしたいという。
スタートアップモデル事業一覧
「SHIFT(x)」は、従来の企業の枠組みを捉え直し、大企業とスタートアップがそれぞれの強みをいかし合うことで、新たな価値や事業を創出させる取り組みといえるだろう。人生100年時代に向けて個々人の自律的なキャリア形成がますます必要とされるなか、さまざまなキャリアの選択が行える仕組みを、企業としても考えていく必要があるのかもしれない。

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