MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険株式会社は2020年11月4日、2021年度から、ジョブ型を取り入れたハイブリッド型の人事制度へ改定を行うと発表した。求める職務・能力や達成すべき目標を明確にした「成果重視型」の要素を反映させつつ、従来のメンバーシップ型の長所も残すことで、両者のよさを活かした新制度を構築していくという。

生産性の向上と専門性の強化を図る新人事制度

三井住友海上火災保険では、2016年10月から「多様な社員全員が成長し活躍する会社」を実現すべく、働き方改革に向けた取組みを実施。昨今の急速なデジタル化の進展や自然災害の発生等にくわえ、新型コロナウイルスの影響などにより事業環境が大きく変化するなか、業務プロセスの見直しやリモートワークの活用等、仕事の変革を推進している。

このような先行き不透明な環境下で持続的な成長を遂げるためには、「DX推進」と「イノベーションを創出する強固な人財基盤構築」が必要不可欠となる。そこで同社は、ジョブ型とメンバーシップ型の長所を活かした「ハイブリッド型の人事制度」を構築すると決定。多様性を高め、チームワークを強化しながら、生産性向上と専門性強化を図る意向を示した。新たな人事制度の概要は次の通りだ。

(1)目標管理制度・人事考課運営の見直し(2021年4月)
能力発揮と成果をより重視するとともに、リモートワーク下でも適切な評価が行えるよう、目標管理制度と人事考課運営の見直しを実施。目標と取組プロセスをより明確にし、評価の透明性と納得感、公平感を高める。

(2)専門社員の新設(2022年4月)
高度な専門領域を担う社員を対象に、求める職務・能力や達成すべき目標を明確に定義。その成果に応じて処遇を決定する、ジョブ型社員区分の「専門社員」を新設する。

(3)適材適所の人財配置(2021年4月以降)
若手社員の早期登用、年齢を問わない能力・スキルにもとづく専門社員の登用、シニア社員に対する経験を活かせるポストへの配置などを実施。能力本位の役割付与により、組織の活性化を図る。

なお、制度内容の詳細は今後の労使協定を経て決定されるという。

「全域社員と地域社員の一本化」や「多様な働き方」を実現する選択肢拡充にも注力

同時に、「全域社員と地域社員の社員区分一本化」を、2022年4月を目途に実施する。社員区分によらない役割付与の定着に向け、全国転勤型と地域限定型の総合職(全域社員・地域社員)の社員区分を一本化し、「総合社員」とする予定だ。

さらに、「多様な働き方やキャリアビジョンの実現を後押しする制度」の拡充に取り組むという。ここでは、主に専門領域を担う職種を対象にした「専門性強化のための副業・兼業の活用」や、ライフイベントに応じて柔軟に社員区分を変更できる「社員区分転換の要件緩和」を実施。他にも、地域限定型のまま赴任期間を原則3年間に限定し、海外での勤務(駐在・留学)を経験できるコース区分を、総合社員に新設する計画だ。

専門領域のスキル育成に特化した、ジョブ型人事制度への転換が進んでいる。高度な知識や技術が求められるデジタル化時代において、必要な人材を確保するためには、新たな仕組みを整備し直すことが求められそうだ。