「成果を上げる社員と伸び悩む社員の差はどこにあるのか」「ハイパフォーマーの行動を分析したものの、現場への落とし込みに至らない」、そうした悩みを持つ企業は少なくない。そんな課題に対し、東海東京証券株式会社は、行動に加えてその背景にある心理に着目し、心理特性と行動データを掛け合わせてOJTを個別最適化するという画期的な指導法を生み出した。その結果、営業員の受注件数が30%も上昇する成果を導き出した。今回、その取り組みが評価され第10回 HRテクノロジー大賞にて「地方活性賞」を受賞した。いかにして成果を実現したのか。取り組みの背景にある仕組みや成功のポイントとは。本記事では、同社のDX推進部 土井 亮太朗氏と、プロジェクトを人材アセスメントの面で支援したHRD株式会社 代表取締役 韮原 祐介氏、同 ディレクター パフォーマンスコンサルタント 水谷 壽芳氏に、お話を伺った。

第10回 HRテクノロジー大賞『地方活性賞』

東海東京証券株式会社

人的資本データで挑む営業変革 受注30%増を実現、“できる”を促すOJTモデル

個人特性が営業成果にどのようにつながるかを可視化し、特性に応じた指導を可能にするデータドリブン型OJTシステムを構築。営業員の心理特性データ、営業行動データ、業績データを統合分析し、高業績者の特徴やパターンを解明。上司が部下の心理特性を理解した上で効果的な指導を行うことにより、営業員の行動変容を促進し、受注件数30%増を実現。営業組織の生産性向上と、地域密着型金融サービスに必要な信頼構築力の向上により地域活性化にも貢献する優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 土井 亮太朗 氏

    土井 亮太朗 氏

    東海東京証券株式会社
    DX推進部
    部長

    2011年東海東京証券入社。企画部門、営業企画部門を経て、2019年より機械学習を使ったデータベースマーケティング業務、BIツールを使ったダッシュボード展開等に従事、2024年4月より現職。AI/データの利活用や営業支援ツール等の開発を推進。

  • 韮原 祐介 氏

    韮原 祐介 氏

    HRD株式会社
    代表取締役

    慶應義塾大学卒業後、アクセンチュアに新卒で入社。戦略策定、組織・人事改革、システム改革などに従事する。2015年ブレインパッドの経営企画部長に就任し、中期経営計画の立案と実行を主導するかたわら、同社過去最大の大型案件を責任者として実行。同社の経常利益12倍、時価総額20倍超の達成に貢献。専門領域は、組織・人事改革、機械学習などのデータサイエンスやデジタルテクノロジーの活用による経営改善、サイバー防衛戦略。東京大学非常勤講師、東進デジタルユニバーシティ講師などを歴任。一般社団法人情報処理学会 情報規格調査会 SC7/WG29小委員会(アジャイルとDevOps(デブオプス))委員。2022年から現職。著書に『サイバー攻撃への抗体獲得法』『いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本』がある。

  • 水谷 壽芳 氏

    水谷 壽芳 氏

    HRD株式会社
    ディレクター
    パフォーマンスコンサルタント

    HRテクノロジー活用による経営強化・改善のコンサルティングを提供。製造業・IT業界・製薬企業を中心として、組織・人事コンサルティングに関する10年以上の経験を有している。日本国内における新たな人材アセスメントの普及を志向して、70社を超える戦略的ビジネスパートナーとの新規事業の立ち上げに関わってきた。ProfileXT®、CheckPoint 360°™などの人材アセスメント認定セミナーの講師としても、延べ600名以上の認定資格者を養成してきた。

“心理特性”を活かした個別最適化OJTで営業を強化――受注30%増を実現した東海東京証券の画期的人材育成モデル

行動と心理を掛け合わせることで人とビジネスの本質的な成長を実現

――まずは行動データと心理データを掛け合わせたOJTの取り組みについて概要をお聞かせください。

土井氏:
ハイパフォーマーの営業員と他の営業員の差異を、行動と心理の両面の特性から導き出し、データで可視化しました。その上で、営業員一人ひとりの特性に合わせてOJTを実施するというものです。上司が部下の特性を理解した上で指導し、内面的な成長をサポートしながら行動変容を促して、営業成績の向上を目指しました。その中でHRD様には2022年の後半頃から伴走していただいています。

韮原氏:今回の取り組みでは、一人ひとりのパーソナリティ、つまり心理的特性を数値化して人材育成とビジネスの成果につなげています。その中で、データ活用で科学的に人とビジネスの成長を実現できることを証明した点は画期的だったと思います。

よくあるのが、せっかくデータを収集しても、行動分析だけで終わっているケースです。ハイパフォーマーの行動の特徴がわかっても、それは顕在的な氷山の上の部分で、氷山の下、つまり背景に潜む内面を未知のままにしています。そのため、「電話を何件かけた」「クライアントを何回訪問した」という表層的な行動の追随で終わってしまうことが多くあります。それでは、営業員の成長は促されず、成果を上げることも難しいでしょう。
営業生産性向上プロジェクト

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