最近、取引先の経営者から次のような相談ともボヤキとも言えぬ話があった。「多くの部署のマネージャーがパワハラを恐れて部下を叱れず、一方、部下は仕事で失敗しても上司から何も言われないことに戸惑っているようだ。どうすれば良いだろうか。」というものである。
パワハラが減少する裏で増える「年齢にスキルが追い付かない社員」。一体何が起こっているのか

「パワハラは絶対にいけない、でも部下の指導はしろ」と言われた管理職は……

このような相談は最近のパワハラを巡る世相を反映しているな、という印象を持った。巷間、パワハラは絶対するな、部下の指導はちゃんとやれ、である。これは、意外と難しい。言葉を換えれば「絶対にパワハラに当たるようなことはしないで、成長へと導く指導をしなさい」ということだからだ。

パワハラを恐れて、穏やかに微笑みながら「失敗は誰にでもあるから、次は気をつけようね」などと指導すればパワハラにはならなくとも、部下には全く響かず、却ってバカにされることにもなりかねない。かといって「なぜそんなことになったんだ」と少し語気を荒げて叱責すると、委縮してしまう部下も多く、パワハラ認定へまっしぐらである。

旧い世代にとっては信じられないことだが、これが現代の会社の実相なのである。管理職が「やってられない」となってしまうことも無理はない。

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