若い世代を中心にキャリア観や働き方の多様化が進む昨今、企業が求める学生に選ばれるためには、より魅力ある労働環境や働き方を整備する必要があります。そうした中、AIG損害保険株式会社では、社員が望まない転勤を廃止するなどライフステージに応じてさまざまな働き方を自ら選択できる環境づくりを推進。その結果、新卒採用の応募数の大幅増などにつなげています。本講演では、同社執行役員人事部門担当 福冨一成氏をお招きし、元リクルートの採用責任者としての経歴を持つ、株式会社人材研究所の曽和利光氏とともに、AIG損保の取り組みについて語っていただきました。
AIG損保が目指す、「仕事」と「大切な何か」を当たり前に両立できる組織文化とは ~“望まない転勤”の廃止で新卒応募の大幅増を実現~

「Work@Home Base」の取り組み

曽和氏 ワーク・ライフ・バランスという言葉が使われるようになって久しいわけですが、ともすればワークとライフというものは、対立しがちでトレードオフの関係にあるように見られることもあります。しかし実際はそうではなく、ライフを重要視してあげることがワークの充実にもつながっていくという興味深い事例を、本日はAIG損害保険株式会社の福冨様にお話いただきたいと思います。

福冨氏 まずは弊社の取り組みについて簡単にご説明させていただきます。まず私たちは、「Work@HomeBase」というキーワードのもと、転居転勤がない、単身赴任がない、社命異動がない会社になることを目標に掲げました。つまり「キャリアの幅を重視して全国を飛び回る働き方」でも、「働く場所を重視して特定のホームベースでキャリアを積んでいく働き方」でも、社員のライフステージに応じた働き方を自ら選択できる環境を創造しようというものです。

具体的にどのような制度に落とし込んだかと言いますと、社員ひとり一人が「Non-Mobile社員」と「Mobile社員」のいずれかを選択できるようにしました。「Non-Mobile」を選択した社員は希望するエリアでの勤務が100%保障され、一方の「Mobile」を選択した社員は全国転勤の可能性はありますが、可能な限り希望するエリアに配置されます。またこの選択肢は、ライフステージに応じて変更可能です。

「Non-Mobile」を選択する社員の考えとしては、「現在の勤務地が気に行っており、離れずにキャリアを積んでいきたい」「子供の教育を考えると転勤したくない」「親の介護があり、近くに住みたい」などが挙げられ、一方「Mobile」を選択する社員の考えとしては、「勤務地にこだわりがなく、むしろさまざまな拠点でキャリアを積んでいきたい」「子供の転校も本人にとってはいい人生経験だ」「子供は独立し、地方を転々としても問題がない」「若いうちからマネージャーポジションを任される」などが挙げられます。

キャリアパスに関しては、「Non-Mobile社員」は希望エリアに根付いたキャリアを構築し、「Mobile社員」は可能な限り希望するエリアでキャリアを構築していきます。また、いずれも職務に対する報酬は同じです。一方、住宅に関するベネフィットに関しては違いがあり、「Mobile社員」の中で、希望エリア外で勤務する場合に限って、社宅の貸与と手厚い手当があります。エリアに関しては、札幌、仙台、大宮、東京、富山、名古屋、大阪、広島、松山、福岡、沖縄の11拠点で区分されており、その周辺の都道府県から希望勤務地を選択してもらう形です。

今回の制度設計にあたっては、そもそも全国に約90ある拠点に、希望する社員をきちんと配置できるのかを確認するために、事前に全社員に向けてアンケート調査を実施。現時点で希望する働き方は「Non-Mobile」か「Mobile」か、現時点で希望するエリア・都道府県はどこかを選択してもらいました。その結果、うまく配置を行うことができ、ビジネスとして成立する裏付けが取れたため、正式に制度設計を進めた次第です。以上が本制度の簡単な概要となります。

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