ProFuture代表の寺澤です。
最近、各所で賛否両論を巻き起こしている対話型AI「ChatGPT」ですが、皆さんはお試しになりましたか? 就活分野においても「ChatGPT」を利用したサービスがすぐに出てくるであろうことは予想していましたが、案の定、就活学生向けにエントリーシート作成サービスなるものを提供し始めた就活関連サイトが現れました。
第147回 24卒生の「就活」に関する活動状況。“活用する就職サイト”や“ガクチカへの取り組み”とは?
冒頭で述べた、就活分野における「ChatGPT」を利用したサービスは、「アルバイト」や「留学」などのトピックと、そこで成し遂げた内容、自分の強み、提出する業界、文字数を選択するだけで、自己PRが自動生成されるというものです。私自身も試してみましたが、以下のような回答が返ってきました。

「私が学生時代に力を入れたことはアルバイトです。その中でも、特に接客の質と効率を向上させることに注力しました。顧客とのコミュニケーション能力や情報デザインのスキルを生かし、顧客のニーズに応じた対応を心がけました。その結果、顧客との距離が縮まり、より信頼関係を築くことができました。また、私が改良した案内地図や施設案内により、顧客からも高い評価を受け、社員からも信頼を得て、より責任ある職務を任される機会を得ることができました。私はコミュニケーション能力を重視し、顧客と現場のニーズに応える意識を持ってアルバイトに取り組んだ結果、顧客満足度の向上に貢献できたと考えています」

いかがでしょうか。私は五つの設問について、提示された選択肢の中から一つずつ選んだだけで、自分で一切の文字入力をしていません。後は、この内容をベースに自分に合った表現にカスタマイズするだけで、十分それらしい文章になります。恐ろしい時代が来たものですね。エントリーシートでの書類選考がこれまでよりも困難になり、「面接」がより重要な選考プロセスになることは間違いありません。

「リクナビ」に並んだ「ONE CAREER」

さて、今回も、前回から引き続き、HR総研が「楽天みん就」と共同で実施した「2024年卒学生の就職活動動向調査」(2023年3月7~22日)の結果を紹介します。

まずは、就活生が「活用している就職サイト」について、前年同時期調査と比較しながら確認していきます。上位四つのサイトは、文系・理系ともに同じ順位で、「マイナビ」が1位、「楽天みん就」が2位、「リクナビ」が3位、「ONE CAREER」が4位(理系は同率3位)となっており、これは前回の2023年卒と変わりありません[図表1]。ただ、気になるのは2023年卒よりもポイントを減らしているサイトが多いことです。特に「マイナビ」と「リクナビ」は、2010年代の半ばまでは活用率が90%を超えていたものです。しかし、トップの「マイナビ」ですら、文系では2023年卒より6ポイント減少し71%、理系では14ポイント減少して63%と、6割台にまで低下しています。「リクナビ」に至っては、文系が55%、理系も54%で何とか過半数を維持している状態です。これらのサイトは、2010年代の半ばまでの就活生にとって、就活全体の流れを学び、業界の基礎知識を吸収する場であるとともに、合同企業説明会への参加申し込みを始め、企業へのプレエントリーや説明会の参加申し込み、さらにはエントリー企業からの連絡を管理する役割までも果たし、“就活プラットフォーム”とまで呼ばれていました。これら総合型就職ナビを活用しなければ就職活動ができないとまでいわれていた時代を懐かしく感じます。
[図表1]活用している就職サイトTOP10(複数回答)
2023年卒で注目された「ONE CAREER」と「リクナビ」との差について見てみると、文系ではポイントを下げたものの、「リクナビ」との差は2023年卒の12ポイントから8ポイントに縮まりました。理系では「ONE CAREER」がポイントをさらに伸ばし、「リクナビ」と同率の評価を得ています。2位の「楽天みん就」は、今回の調査がその会員学生を対象とした調査であるため、他のサイトとフラットに比較するのは難しいこともあり、就活生から口コミサイトとして最も支持されているのは「ONE CAREER」だと推測されます。

理系の活用サイトは分散化傾向

前項では、活用している複数の就職サイトを選択してもらいましたが、「最も活用している就職サイト」を一つだけ選択してもらったら、どうなるでしょうか。

1位は「マイナビ」、2位は「ONE CAREER」、3位は「リクナビ」と、上位三つのサイトは文系と理系で同じ結果になりました[図表2]。トップの「マイナビ」は、文系では2023年卒と同じ48%の支持を得ましたが、理系では2023年卒の39%から11ポイントも減少し、28%となりました。一方、ポイントを伸ばした2位の「ONE CAREER」(22%)とは6ポイントの差にまで縮まっています。この勢いが続けば、次回2025年卒の調査ではトップが逆転する可能性すら出てきました。3位の「リクナび」は文系・理系ともにポイントは減少しましたが、わずか1~2ポイントの減少で踏みとどまっています。
[図表2]最も活用している就職サイトTOP10(単一回答)
文系では、順位は多少変動するものの、TOP10サイトのポイントはあまり変動しませんでした。一方、理系では、「マイナビ」以外にもポイントが変動したサイトがあります。同率4位の「就活会議」と「OpenWork」は、いずれも2023年卒の2%から5ポイント増の7%となり、2023年卒で4位であった「楽天みん就」や同5位の「OfferBox」ほかを逆転して大躍進しています。理系では、文系以上に総合型就職ナビの地位が後退する一方、口コミサイトや逆求人型就職サイトの台頭が激しくなり、就職サイトの利用がより分散化しているようです。

また、「dodaキャンパス」が文系・理系ともにポイントを増やしており、逆求人型就職サイトでずっと活用率トップを堅持してきた「OfferBox」の位置を脅かす存在になるかもしれません。

上位の就職サイトについて、学生の選択理由コメントを抜粋して紹介します。

【マイナビ】
・サイトの使い勝手がいいため。企業検索の絞り込みもしやすいし、マイページの操作も分かりやすい。また、自己分析や面接対策のためのコンテンツが充実しているもの魅力(文系、上位私立大)
・地方の企業も多数掲載されているから。合同説明会を多数開催しており、信頼できるから(文系、その他国公立大)
・包括的な情報を得られる(理系、旧帝大クラス)
・掲載数が多く、見やすいため(理系、上位私立大)

【ONE CAREER】
・エントリーシートや面接対策の参考になるから(文系、上位私立大)
・選考フローについて詳しく記載があるため(文系、早慶大クラス)
・過去のESや試験問題の形式などを一括で確認することができるため(理系、旧帝大クラス)
・選考対策の情報が詳しく、選考中に最も活用したサイトだったから。特に面接で聞かれたことに関しての情報は重宝した(理系、旧帝大クラス)

【リクナビ】
・企業数が多い(文系、上位国公立大)
・画面が見やすいため(文系、その他私立大)
・エントリーや説明会の予約をしているから(理系、中堅私立大)
・情報掲載量が多く、OpenESなどが使いやすいと感じるため(理系、その他国公立大)

危機感の少ない理系学生

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