「構造化面接」とは、事前に設定した評価基準・質問項目に則り、面接を進めるというものだ。その場の雰囲気に合わせて、面接官が自由に質問するという進め方とは一線を画する。この「構造化面接」をGoogle社が活用しているということで話題となり、今導入する企業が増えている。実際に、どのようなメリットがあるのか、現場でどんな質問をすれば良いのか。今回は「構造化面接」の意味やメリット、質問例などを解説していきたい。
Googleも活用する「構造化面接」の意味やメリットとは? 対策に向けた質問例も紹介

「構造化面接」とは何か

まずは、「構造化面接」の定義や目的、他の面接手法との違いから説明しよう。「構造化面接」とは、自社の採用基準に合わせて事前に設定した評価基準や質問項目に沿って手順通りに行っていく面接を言う。これは、臨床心理学のアプローチの一つとして、古くから使われている。募集する職種やポジションに相応しい人材像を描き、最適な人材の獲得に向けて有益な質問と評価基準を用意するので、誰が面接官を務めても円滑な面接、安定した評価を行えることが特徴だ。

●「構造化面接」の目的

「構造化面接」の目的は、求める人材像に合致した人材を公平な評価で採用することだ。面接官の主観に依存する面接のスタイルでは、誰が面接を行うかで評価が大きく異なってしまう。その結果として、優秀な人材を取りこぼしたり、相応しくない人材を採用したりしてしまう可能性も否定できない。そうした事態にならず、最適な人材像を獲得するためにも、「構造化面接」を導入する企業が増えている。

●非構造化面接や半構造化面接との違い

「構造化面接」と非構造化面接、半構造化面接との違いについても触れておきたい。まずは、非構造化面接とは面接官が自由に質問し、評価する面接手法である。質問項目や評価基準といったルールは設けられていない。いずれも、面接官に委ねられている。会話の流れや候補者の反応に応じて質問をしていくので、場の雰囲気が和み、候補者も比較的リラックスして発言でき、個性や本音を引き出しやすいメリットがある。その一方、評価基準に一貫性がないので、面接官の主観が評価に含まれやすい。加えて、候補者の反応を見ながら臨機応変に質問していかなければならないので、面接官には柔軟性が必要になってくる。自ずと、ある程度の経験がなければ面接官を務めることは難しいと言える。

また、半構造化面接は、構造化面接と非構造化面接の両方のメリットを取り入れた面接手法だ。まずは、決まった質問を行い、残りの時間で自由に質問を投げかけていく。これによって、「構造化面接」よりも柔軟に進められ、しかも非構造化面接よりも安定した評価が得られる。候補者の資質を見極めると共に、人間性や価値観を確認できるのが特徴となる。ただ、評価基準に一貫性がないという点は、非構造化面接と同様だ。

ここでは、非構造化面接や半構造化面接との違いを開設したが、どれが正解というわけではない。自社にフィットした手法を選択する必要がある。

気になる「構造化面接」のメリットとデメリット

次に、「構造化面接」には、どのようなメリット・デメリットがあるのかを取り上げてみたい。

●メリット

・評価基準がぶれない
事前に設定された評価基準や質問項目に基づいて質問し、公正に評価するので、面接官による評価のばらつきやぶれを防ぐことができる。面接官の属人的なスキルや経験を問わないため、一度に大量の面接を行ったとしても的確に人材を見極めることが可能となる。

・採用後のミスマッチを防げる
求める人物像や必要なスキルなどを採用基準として準備し、それに沿った質問をしながら面接をしていくので、自社にマッチした人材を見極めやすくなる。「本来であれば採用すべき人を不採用にしてしまう」、「期待したパフォーマンスを出せない人材を採用してしまった」という採用後のミスマッチを防げると言って良い。

・採用業務の効率化
候補者全員に対して同一の内容で面接を進めることができるため、採用フロー全体がスムーズとなる。また、面接結果を数値やデータで把握することも可能なので、面接後の評価や入社後のマッチ度を加味しながら、質問内容を改善していける点も見逃せない。採用業務の効率化が図りやすくなると言える。

・オンラインでも評価がしやすい
コロナ禍をきっかけに多くの企業では、オンライン面接も増えている。そうした中でも、あらかじめ設定した手順で質問を実施できるので、スムーズに面接を進められる。評価も一定の基準で行われるとあって、遠隔であっても評価にばらつきが出にくいと言えよう。

●デメリット

・応募者の志望意欲の低下
全ての候補者に対して同一の質問を投げかけていくため、「機械的・事務的な面接だ」、「尋問をされているようだ」と感じられてしまうこともあり得る。そうなってしまうと、企業への志望意欲が低下せざるを得ない。

・質問作成の負荷
募集する職種やポジションの採用基準に基づいて最適な質問を考えたり、評価基準を設けたりするため、負荷が掛かる作業となってくる。配属が予定される部署へのヒアリングを丁寧に行うとともに、採用部門が掲げる評価のあり方や「構造化面接」の特徴・メリットを理解してもらえるよう、コミュニケーションを繰り返す必要があるからだ。

・質問の外部漏洩
候補者全員に対して同一の質問を行うため、大規模な採用を行うとなると質問項目がSNSなどを通じて外部に漏えいしてしまう可能性がある。その情報を候補者が何らかの形で入手してしまうと、回答を入念に練ってくるかもしれない。当然ながら、公正な評価ができず、採用後にミスマッチが生じてしまうだろう。質問内容を定期的に見直していくことを徹底したい。

・質問に対する回答の偏り
候補者に同一の質問を投げかけるので、回答が偏る可能性がある。いわゆる、ありきたりな回答や似たような回答ばかりになると言うことだ。また、中には、質問される内容を自分なりに予測して回答を準備し、事前に練習してきたり、自分の本音を隠して回答したりする候補者も一定数いると思われる。通常であれば、違和感を覚えたら面接官は深掘りした質問をすることもあるだろうが、マニュアルありきの発想となるとそこまで踏み込まなくなってしまう。

・雰囲気の堅さ
質問事項や手順がマニュアル化されているので、面接官は次々と決められた質問を投げかけてしまい、面接そのものが機械的になる可能性がある。当然ながら、候補者もそういった印象を持ってしまいがちだ。「冷たい印象だ」、「圧迫面接を受けているようだ」と感じてしまう候補者もいるかもしれない。雰囲気が堅すぎては、候補者も発言しにくいことであろう。リラックスした雰囲気で面接を実施するように心がけたいものだ。

・潜在的な能力や特性の見極めが難しい
事前に設定された質問しかしないため、どうしても想定の範囲内の情報しか得られない。そのため、企業として本当に知りたい候補者の潜在的な能力や特性、新たな一面を引き出すのは難しくなってしまう。1次面接を「構造化面接」で行い、2次面接以降は非構造化面接に切り替えたり、グループワークも取り入れたりなどのアイデアも検討する必要があるだろう。

おさえておきたい「構造化面接」の質問例

「構造化面接」には、行動面接と状況面接の2つのパターンがある。それぞれについて説明しこう。

●行動面接の定義と質問例

行動面接とは、募集する人材に求められるスキルや能力を踏まえ、候補者の過去の行動にフォーカスした質問を投げかけていくことを言う。まずは、起点となる質問をし、その後に候補者の過去における状況(Situation)や、その場面での課題(Task)、実際に取った行動(Action)、得られた成果(Result)という流れで質問を進めることが多い。

【質問例】
・あなたの行動がチームに良い成果をもたらした時の話をしてください。
・その時に、どのような目標を立てましたか?
・どうしてその目標を立てたのですか?
・チームの中で、あなたはどのような役割を担っていましたか?
・チームメイトの反応、感触はどうでしたか?
・目標を達成するために、どのように行動しましたか?
・最終的にどのような成果を得ることができましたか? 
・今後はどのような目標を立てて実行していきますか? など

●状況面接の定義と質問例

状況面接とは、仮説に基づいて質問を進めていくことを指す。「もしあなたが○○だったら、どうしますか」といった質問が中心だ。候補者が過去の経験に基づいてどのような回答をするのかによって、本人の力量や本質を推し量るという面接である。

【質問例】
・もし、あなたが顧客から理不尽なクレームを言われた場合、どう対応しますか?
・これまでに経験したことがない仕事を突然依頼されたら、どうしますか?
・あなたが弊社の宣伝担当者であったとしたら、新商品の告知にあたりどのような企画を提案しますか? 
・直属の部下があなたよりも年上だった場合には、どのような接し方を心がけますか? など
「構造化面接」は完璧な面接手法というわけではない。メリットもあればデメリットもある。まずは、それらを十分に認識することが肝要だ。その上で、ぜひ導入してみたいということであれば、デメリットをどうしたら克服することができるかも含めて、採用活動全体のスキームを構築するのがいいだろう。また、事前に質問項目や採用基準を決めるにあたっては、配属部署との入念なコミュニケーションが不可欠となってくる。ここが不十分であると、採用担当者の独りよがりとなってしまい、思ったような成果を得られないと言っていい。「我が社も構造化面接にしよう」と宣言するのは容易いが、実際に進めていくとなると、採用担当者としての覚悟も不可欠となってくるだろう。
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