「ミドル」を切り口に、様々な組織でチャレンジしているビジネスパーソンに、ミドル層の役割やあるべき姿、課題などに焦点を当てながらお話を伺い、組織づくりのヒントをお届けしていく本連載(※)。第2回目は、総務省から出向し神奈川県庁の様々な企画をリードしている脇 雅昭氏にインタビューを行った。脇氏は、公務員の枠にとどまらず、個人の活動として総勢5,000人以上の47都道府県の地方自治体職員と国家公務員をつなぐ「よんなな会」というコミュニティも主催している。本記事では、多くの人を巻き込みながら日々動いている脇氏から見た、組織や仕組みづくりの秘訣や考え方を中心にお届けしていく。

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プロフィール

  • 脇 雅昭 氏

    脇 雅昭 氏

    よんなな会発起人
    神奈川県庁
    理事(いのち・未来戦略担当)

    1982年生まれ、宮崎県出身、2008年に総務省に入省。現在は神奈川県庁に出向し、官民連携の業務等に取り組む。 47都道府県の地方自治体職員と国家公務員が集まる「よんなな会」を主催。 民間企業の経営層はじめ国、自治体の公務員などセクターを超えた仲間づくり・人の志と志が繋がるきっかけの場づくりを進めている。2022年に宮崎大学客員教授就任。

  • 三浦 孝文 氏

    三浦 孝文 氏

    オイシックス・ラ・大地株式会社
    経営企画本部 経営企画部 部長

    大分県別府市出身。関西学院大学を卒業後、(株)D2C、クックパッド(株)での人事経験を経て、2017年1月より現職入社。HR本部人材企画室の責任者を経て、現在は経営企画本部内にて全社の中期経営計画や各部門の年度戦略の策定支援、経営にひもづく会議体の事務局など、マネジメントシステムの進化・仕組みづくりを担当。社外では兼業で(株)GlocalKの組織経営アドバイザリー、人事コミュニティ「人事ごった煮会」の発起人。

Ep.2:「相手の“好き”の延長上」や「当たり前を疑う視点」に、部署の境界を超えたくなってしまう、人を変えるヒントがある

外の世界に触れる意義とは

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三浦氏:私と脇さんは、もともと共通の人事の知り合いがいて、その人主催の飲み会で初めてお会いしたんですよね。出身が同じ九州ということもあり、それから7〜8年ほど経った今も、折に触れてお会いしていますよね。そんな関係性ではありますが、改めて脇さんの経歴を教えていただけますか。

脇氏:僕は大学院を卒業してから総務省に入って、これまで公務員をやってきました。もともと宮崎県出身で、活気が薄れていく地元を見て「どうやったら良くできるのか」と考えていたんですよね。総務省に入ってからは、まず地域の現場を知るために、約2年間熊本県庁で市町村課と財政課の仕事をしました。総務省に戻ってからは採用と公営企業課で会計制度の改正などに従事していましたね。そのあと神奈川県庁に出向して今に至ります。

三浦氏:現場の最前線にある課題を知り、それを解決するためのルールに落とし込むような仕事をしていると思いますが、普段の仕事で何か意識していることはありますか。

脇氏:一貫しているのは、外の人と行政を繋ぐことですね。企業連携はずっとやっています。

外と繋ぐ活動の原点は、29歳のとき、父の死を目の前にして、「人って死に向かって生きているんだな」と感じたことにあります。そのとき、自分が投資している中で一番大事なものは自分の時間だと気づき、人生に時間軸が生まれました。そういう死生観を持てるようになったときに、29歳の僕は足掻くわけですよ。「このままでいいのだろうか」と。総務省での仕事は、対象が大きすぎて実際の反応が分かりにくいこともあり、当時は「本当に誰かが幸せになっているのかな?」とモヤモヤしていました。

そんなときキーパーソンに出会って、「社会起業家」と呼ばれる人たちに引き会わせてもらうようになったんです。そこで、「教育で日本を良くしていきたい」とか、「外国人の人たちに向けた不動産屋さんをやりたい」とか、それぞれの目的意識を持っている人たちに会えば会うほど自分と対比するようになりました。自分は辞令を貰いながら仕事をしている。一方で、彼ら彼女らは誰からも頼まれていないのに、「社会を良くしていきたい」という想いで自分の人生を懸けている。どちらが世の中に良いことをやっているんだろうと考えていました。

それで、自分の人生を使ってやれることを探しに、いろんな人を巡っていたんですけど、2年経っても全く見つからなかったんです。そのときにふと、「このままだと悶々としたまま死ぬな」と気づきました。

そこからは、目の前にある小さなことかもしれないけど、「これをやったらあの人の笑顔を引き出せるな」とか、「ちょっとだけ社会が良くなるな」みたいなところをやり切ろうと思うようになりました。

社会起業家になろうかとも考えたんですけど、周りの人には「これから先、スタートアップや起業家がどんどん生まれていく中で、行政の中で一緒に動ける人が居てくれることが大事だ」と言われました。「あ、それだ」と思って、今でもこの仕事を続けています。だからこそ常に、外の人たちと行政が繋がったり、行政だけでは解決できないことは外に協力を求めたりしています。そうしていると、逆に行政だからできることや自分たちの強みも見えてきます。

三浦氏:脇さんは、全国の地方公務員と中央省庁で働く官僚をつなぐ場『よんなな会(※)』の発起人でもありますよね。よんなな会もそういった気づきから徐々に形になってきたのでしょうか。

※:『よんなな会』の詳細はこちらから

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