新型コロナウイルスの影響でスケジュールに大幅な遅れが生じた2021年卒採用。この状況下で企業や学生は何を考え、どのように対応しているのでしょうか。また、採用計画の縮小や採用活動のオンライン化が加速する中、Withコロナ時代の採用市場にはどのようなことが予測されるのでしょうか。そこで今回は、「新型コロナウイルスに揺れた21年卒採用を振り返り、22年卒採用を展望する ~Withコロナ時代の新卒採用の『新しい採用様式』を考える~」と題して、HR総研による独自調査結果をもとに、2021年卒採用を総括。Withコロナ時代の新卒採用における新しい採用様式について見解をお伝えしました。

講師

  • 松岡

    松岡 仁

    ProFuture株式会社 取締役 / HR総研 主席研究員

    1985年大学卒業。文化放送ブレーンで大手から中小まで幅広い企業の採用コンサルティングを行う。ソフトバンクヒューマンキャピタル、文化放送キャリアパートナーズで転職・就職サイトの企画・運営に携った後、2009年より現職。各種調査の企画・分析を担当し、「東洋経済オンライン」「WEB労政時報」に連載中。



  • 久木田

    久木田 亮子

    ProFuture株式会社 HRサポート部 / HR総研 主任研究員

    2009年建設系企業に入社。研究開発および設計職に従事。2015年以降、シンクタンクにて地方創生に関する幅広い分野で調査研究を行う。2019年にHR総研(ProFuture株式会社)主任研究員に着任。人事関連分野に関する幅広い調査・分析を行う。企業動向だけでなく、新卒採用においては就活学生を対象とした調査の設計から分析までも担当する。

新型コロナウイルスに揺れた21年卒、22年卒採用は、オンラインをいかに活かすかがポイント

【2021卒採用動向総括】採用計画は「増やす」割合がさらに減少

新型コロナウイルスに揺れた21年卒、22年卒採用は、オンラインをいかに活かすかがポイント
久木田 まず2021年卒採用計画についてです。全体を見ますと「前年並み」とする企業の割合が52%と約半数を占めております(図表1)。前年よりも「増やす」とする企業の割合は、ここ数年減少傾向にあり、特に大企業では「増やす」が19%、一方で「減らす」も19%で、「増やす」と「減らす」の割合が遂に並んでしまいました。これは他の企業規模においても同様で、「増やす」の割合が前年よりも減少しております。本調査を実施したのが3月中旬頃で、そこから数ヶ月間に新型コロナウイルスの影響が広がってきたため、現在ではさらに採用計画を見直して縮小する企業が増加しているのではないかと思われます。このような状況を背景に、ここ数年しばらく売り手市場が続いてきましたが、そろそろ転換点を迎える可能性があると言えるでしょう。

【図表1】
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中堅企業では8割がインターンシップを実施

続いてはインターンシップ関連の調査です。インターンシップの実施については、全体では62%で昨年と変わりはありませんが、中堅企業において実施する割合が伸び、8割の企業が実施しています。ただ中小企業においては未だ実施している企業が半数未満であり、大企業と中小企業とでは温度差が見られます。
ではインターンシップの参加者の増減についてはどうでしょうか。「前年並み」と答えた企業が約6割、「前年より多い」と答えた企業が約3割となっており、これらを合計すると「前年並み以上の参加者があった」とする企業の割合が約9割を占めています。昨今は1DAYタイプのインターンシップが増えてきており、学生もより気軽に参加しやすくなっている状況が、参加者の増加に繋がっていると考えられます。

学生がインターンシップに参加した企業の数について見てみます(図表2)。まず文系では、「7社以上に参加した」とする学生の割合が増加傾向にあり、特に10社以上に参加したという学生が年々大きく増加。また理系では4社以上の企業に参加している学生が増加しております。このデータから、学生は参加したインターシップの内容を比較しているという状況が想定されますので、企業としては、「内容が問われている」ということを意識しながら実施する必要があるでしょう。

【図表2】
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企業のインターンシップの実施率と学生の参加率を比較してみました(図表3)。企業の実施率は、8月と2月が非常に多くなっており、学生の参加率は夏季休暇期間である8月と9月が多くなっております。9月は学生の参加率が高止まりする中、企業の実施率は大きく下がり、集客をしやすいことが見込まれます。その後、10~12月も学生の参加率が上回るため、より多くの学生を呼び込みたいのであれば、9月を筆頭に12月までがインターンシップ実施の狙い目の時期と言えます。

【図表3】
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企業が実施したインターンシップのタイプについて、夏と冬で比較したところ、どちらも1日程度のインターンシップが最も多くなっております。ただ夏については2~3日程度以上のインターンシップも一定割合で実施されておりますが、冬になりますと1日程度、もしくは半日程度といった1DAYタイプのインターンシップにかなり集約されているという状況です。

では、インターンシップに参加した学生に対し、企業がどのようなフォローを実施したのかを見てみましょう(図表4)。昨年と同様に文系・理系ともに「早期選考会の案内」が断トツで、理系では7割以上となりました。プレエントリーを免除し、選考に直接繋げている実態が垣間見えます。逆にインターンシップの選考に落ちてしまった学生に対して、企業からどのようなフォローがあったのか聞いたところ、「特にない」が最も多く4割以上、次いで「プレエントリーの受付の開始案内」が3割強となりました。インターンシップの選考については、採用の選考よりも枠が少ないという企業が多いと思われますので、優秀な学生であっても参加できない状況が発生しているかと思います。ただ、そこで採用選考への応募に対して諦め感を持ってしまう学生も少なからずいると思いますので、インターシップから外れてしまった優秀な学生に対しては、企業は適切にフォローしていく必要性があると思います。

【図表4】
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