日本最大のレーザー機器の輸入商社・日本レーザーは、90年代前半に、赤字続きで倒産寸前に陥った。そんな窮地を救うべく社長に就任した近藤宣之氏は、以来社員数50名ほどの同社を、無借金経営、25期連続黒字というスーパー中小企業に育てあげた。その一方で、10年以上離職率ゼロと、高いエンゲージメントも誇っている。一体なぜそのようなことが可能になるのか。社員全員が幸せに働きながら、黒字経営を維持する、その極意とは?「日本版ティール組織」とも呼ばれる先進的な組織作りについてお話いただいた。

講師

  • 近藤

    近藤 宣之氏

    株式会社日本レーザー 代表取締役会長

    1944年生まれ。慶應義塾大学工学部電気工学科卒業後、日本電子株式会社入社。1989年、同社取締役米国支配人就任。1994年、子会社の株式会社日本レ一ザー代表取締役社長に就任。2018年、同社 代表取締役会長(CEO)に就任。人を大切にしながら利益を上げる改革で、就任1年目から黒字化させ、現在まで26年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導く。2007 年、ファンドを入れずに役員・正社員・嘱託職員が株主となる日本初の「MEBO」で親会社から完全独立。2011年、第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」 など、経済産業省、厚生労働省などから受賞多数。著書に「倒産寸前から25の修羅場を乗り切った社長の全ノウハウ」(ダイヤモンド社刊2019年)、「未踏の時代のリーダー論」(日本経済新聞出版社 共著2019年)等多数。


皆が幸せに働きながら常に黒字を維持できる経営~社員のモチベーションを上げる進化した日本的経営~

現在の企業経営が直面している課題とは

昨今の企業経営はさまざまな問題を抱えています。中でも最も大きな問題は、働く人が幸せではないということです。人生100年時代において、雇用の安定は社会の安全網ですが、例えば大企業などでは、生涯雇用を継続していく仕組みがありません。そうした中、当社では70歳以上の雇用を実現しております。またダイバーシティ経営の問題に対しても取り組んでおり、女性の幹部・管理職は全体の30%を占めております。尚且つ多様化という意味では、80歳を目指すシニアも4人おります。さらに仏・独・中国・北朝鮮の社員が8人在籍したこともあり、米・独・台湾の学生インターンも3カ月で計8人を受けいれました。
 では社員の幸福度はどのようにして高めていけばいいのでしょうか。日本の幸福度は先進国の58位、生産性に至っては世界の28位に位置しています。一番の問題は、モチベーションや幸福度が低下すると、結果的に生産性も低下するということです。逆に幸福度が高いと、創造性は3倍に、生産性は1.3倍になるとも言われています。そもそも多くの人が、今いる会社は主人公として主体的に働ける舞台なのか、能力・努力・キャリアに見合う展望があるのか、今の年収よりも将来の価値の向上で判断したい、世の中に役立っている実感があるのか…そんな思いを抱えています。

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