第95回 2020年新卒学生の就職意識調査〜文系人気トップは不動の「商社」、AI導入には賛否も

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ProFuture代表の寺澤です。
今回も前回に引き続き、HR総研が2018年11月20日〜30日に、株式会社リブセンスが運営する就活クチコミサイト「就活会議」会員を対象に実施した「2020年新卒学生の就職意識調査」の結果をお伝えします。前回はインターンシップを中心に取り上げましたが、今回は基本的な就職意識と活動状況について、文系・理系別の傾向を確認していきたいと思います。
なお、「就活会議」会員は、早期から就職活動を開始する意識の高い学生の割合が多いため、他の就職ナビ発表の調査結果のデータよりも進捗率が高めに出る傾向がありますのでご注意ください。

「売り手市場」と言われようと、就活に不安を抱える学生

2020年入社に向けて、これから本格化する就職活動をどう捉えているのかを聞いたところ、「(やや)楽観している」学生は文系・理系ともに2割もなく、「やや不安である」「とても不安である」とする学生がいずれも7割近くに上ることが分かりました[図表1]。特に文系では、「とても不安である」とする学生が26%と、4分の1を超えています。大学名を見ると、「大阪大学」「九州大学」「慶應義塾大学」「早稲田大学」「同志社大学」などの上位校の学生も少なくありません。
世間では「売り手市場」と言われようとも、かつてのバブル期のような誰もが恩恵を受ける「売り手市場」ではなく、「楽勝」と感じる学生と、「苦戦」を強いられる学生との“二極化”が起こることを学んでいるのかもしれません。また、上位校学生の中には、次項で見るような就活初期段階での“つまずき”がその理由になっている学生も少なからずいるようです。

不安の理由は「面接」と「エントリーシート」

次に、「不安である」と回答した学生を対象にその理由を選択してもらったところ、文系・理系ともに最も多かったのが「面接が苦手だから」、次いで「エントリーシートが大変そう」と続き、3位「自己分析ができていないから」、4位「業界研究ができていないから」、5位「志望業界・企業が決まっていないから」、6位「筆記試験が苦手だから」と、なんと6位まではまったく同じ順位になりました[図表2]。面接やエントリーシートに不安を覚える学生の割合は理系のほうが高く、特に「面接が苦手だから」とする学生は理系が文系を10ポイントも上回り、6割近くにも及びます。
理系の7位には「先輩が苦労していたから」がランクインし、文系の2倍以上のポイントとなっています。一般的には、企業による理系学生の獲得合戦のほうが文系よりも熾烈で、苦労する割合は理系よりも文系のほうが多いイメージがあります。理系の学生のほうが「苦労」と感じる基準が低いのかもしれませんね。
不安を感じている具体的なコメントも見てみましょう。

・資格の取得が必須の職種を第一志望にしているから(立教大学・文系)
・スケジュールの管理が不足(早稲田大学・文系)
・自分がしたい仕事の会社が少ない(広島工業大学・理系)
・自分の志望する業界は高倍率でわずかな人数しか通らないから(佛教大学・文系)
・大手志望で、就職の倍率は売り手市場といえど高いから(日本女子大学・文系)
・明確に受かるラインが分からないため不安(福岡大学・文系)
・インターンの選考結果が奮わない(大阪大学・文系)
・インターンシップが思うように受からないから(北海道大学大学院・文系)
・研究が忙しいから(慶應義塾大学・理系)
・学歴が良い学校に来てしまったので良いところに就職しないと、というプレッシャーがある(早稲田大学・文系)
・英語力が足りてないから(近畿大学・文系)

インターンシップの選考結果から不安に感じている学生が、旧帝大ばかりなことを意外と思われるかもしれません。ただ、前年の調査でもインターンシップ事前選考での落選経験の有無は、上位校ほど高い傾向がありました(2018年9月の本稿参照)。
考えられる理由は主に二つです。一つは、応募先企業群の違いです。上位校学生の応募先は大手(競争率が高い)企業の割合が圧倒的に多くなるのに対して、そうでない大学グループ層は大手だけではない(競争率が低い)企業群にも応募していること。そしてもう一つは、上位校学生は、定員の少ない複数日程タイプのインターンシップを好む割合が多いことです。開催回数や1回当たりの定員の多い1Dayタイプのインターンシップを好む学生のほうが、選考落ちする割合が少なくなります。

就職活動の開始は就職ナビのプレオープンとともに

就職活動(就職を意識した活動)を始めた時期を聞いたところ、トップは文系・理系ともに「2018年6月」で、文系24%、理系31%となっています[図表3]。「6月」は、「リクナビ」「マイナビ」といった就職ナビが、インターンシップ情報サイトとして「プレオープン」するタイミングと符合します。また、同時にインターンシップを紹介する合同企業説明会も解禁となります。就職ナビへの登録とインターンシップへの応募が、就職活動のスタートとなっている学生が多いことを物語っています。
ただ、「2018年5月」までにすでに開始していた学生の割合を見ると、文系で28%、理系で25%にも及び、就職ナビがプレオープンした「6月」時点では、半数以上の学生が就職活動を開始していたことになります。早期のインターンシップは優秀な学生や意識の高い学生との出会いの場と言われていましたが、近年では就職活動の一環として完全に定着しているので、早期のインターンシップに参加しているからといって、“優秀”とは一概には言えなくなってきているようです。

著者プロフィール

ProFuture代表 HR総研所長 寺澤 康介

1986年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、15年にProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。2012年、HR総研所長に就任。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』『経営と人事 対話のすすめ』、編著に『経営を変える、攻めの人事へ』(いずれもProFutureより出版)などがある。

※『採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント』は、WEB労政時報に寄稿した原稿を約2週間遅れで転載しておりますので、内容的に時差が生じる場合があります。ご了承ください。
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