文系の4割以上がすでに説明会参加やエントリーシートを提出

2018年11月下旬の時点ですでに実施した就職活動の内容について聞いてみました[図表4]。トップは、「『リクナビ』等の就職ナビへの登録」で、文系・理系ともにほぼ全員が選択しています。次いで、「『就活会議』『みん就』等の口コミサイトへの登録」で、こちらも実に9割近くが選択し、「インターンシップへの応募」「インターンシップへの参加」も高い割合になっています。
第95回 2020年新卒学生の就職意識調査~文系人気トップは不動の「商社」、AI導入には賛否も
ここまでは想定した割合の範疇と言えますが、文系学生の活動を確認してみると、「企業の個別セミナー、会社説明会への参加」が45%、「企業への応募・エントリーシートの提出」が43%、「企業の採用適性検査受検」と「企業の選考面接」がともに32%にも及んでいます。理系はというと、それぞれ順に23%、29%、20%、12%にとどまっており、文系学生の活動の早さが際立っています。「企業の個別セミナー、会社説明会への参加」では、文系と理系に20ポイント以上もの差があります。インターンシップに参加した企業との接触だと推測されますが、文系と理系でこれだけの開きが出るのは少々理解し難いところです。理系の参加者が多いメーカーよりも、非メーカーのほうが積極的に採用活動を実施している企業が多いということかもしれません。

今年も根強い文系学生での「商社」人気

現時点で志望する業界を最大三つまで選択してもらったところ、文系では、1位「総合商社、専門商社」(26%)、2位「人材、教育」(20%)、3位「広告」(18%)と続きました[図表5]。「メガバンク、信託銀行」(9%)は、「生命保険、損害保険」(9%)と並んでなんとか10位にランクインしたものの、1位の「総合商社、専門商社」とは3倍近いポイント差をつけられています。「メガバンク、信託銀行」は、かつては「総合商社、専門商社」と並ぶ人気業種でしたが、今年も低迷からは抜け出せていないようです。
第95回 2020年新卒学生の就職意識調査~文系人気トップは不動の「商社」、AI導入には賛否も
理系では、1位「水産、農林、食品」(26%)、2位「情報処理、システム開発」(26%)、3位「紙、パルプ、化学、素材」(24%)という順になっています。1位の「水産、農林、食品」は、主に女性の支持が高い「食品」、3位の「紙、パルプ、化学、素材」は主に「化学」が人気を集めているものと推測されます。

「メガバンク」は今年も不人気業界の上位に

逆に「敬遠したい」業界も最大三つまで選択してもらいました[図表6]。その結果、文系では、1位「メガバンク、信託銀行」(20%)、2位は「水産、農林、食品」と「外食」(18%)が同率で並びました。かつては「名ばかり管理職」問題や低賃金でブラックなイメージがつきまとった「外食」が、「敬遠したい」業界の断トツのトップとなることが続いていましたが、昨年からは「メガバンク、信託銀行」がトップに躍り出ています。RPA普及による大幅な人員抑制のほか、ある程度の年代になると行内にとどまれる割合はごくわずかで、大半の行員は外部出向・転籍となる勤務実態が明らかになってきたことも大きく影響しているものと思われます。
第95回 2020年新卒学生の就職意識調査~文系人気トップは不動の「商社」、AI導入には賛否も
理系の結果でも、1位こそ「外食」(25%)に譲ったものの、2位は「メガバンク、信託銀行」(17%)で、3位の「繊維、アパレル服飾」や「建設、住宅、不動産」(12%)とはやや大きな開きがあります。「メガバンク、信託銀行」が人気業種として再度浮上する日は来るのでしょうか。

今年も根強い大手志向

就職先として希望する企業規模を聞いたところ、文系では「絶対大手企業※に行きたい」(18%)、「できれば大手企業に行きたい」(49%)の合計67%の学生が大手企業を志向しています[図表7]。3人に2人は大手志向ということになります。
第95回 2020年新卒学生の就職意識調査~文系人気トップは不動の「商社」、AI導入には賛否も
理系では「絶対大手企業に行きたい」(16%)、「できれば大手企業に行きたい」(55%)の合計は71%となり、例年と同じく文系よりもさらに大手志向が強くなっています。理系が志向するメーカーは、製造ラインの現業職の分だけ従業員規模は大きくなりますので、具体的な志望企業をイメージした場合には、大手志向になりがちです。
ちなみに、昨年3月に「楽天みん就」の2019年卒業予定の会員学生を対象に実施した調査では、「絶対大手企業に行きたい」と「できれば大手企業に行きたい」の合計は、文系で56%、理系で71%となっておりましたので、文系では大手企業志向がさらに加速した結果となっています。
※本設問での学生に向けての企業規模の定義は、「大手企業=1,000人以上、中堅企業=300~1,000人未満、中小企業=300人未満」としています。

エントリーシート書類選考へのAI導入には賛否が半々

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