第67回 インターンシップフェスに思うこと

大学の就職支援室からみた新卒採用

皆さん、こんにちは。金沢大学では、徐々に就活のクロージング相談が増えてきているような状況です。選考がまだ始まっていない大手企業も多いのですが、ここ北陸においては内定もだいぶ出そろっているようで、就活の終了報告もぼちぼち出てきています。しかしながら、まだ今月いっぱいは就活サイト中心で選考を受けている学生が大半です。来月後半以降になると、私たちも学生に求人を紹介することが増えてくるでしょう。
さてそんな中、5月12日に石川県の主催で、インターンシップフェスが開催されました。このイベントは、石川県内の企業200社くらいと、石川県内の学生1,600名くらいが参加し、インターンシップの説明を聞くというイベントです。行政が主催する地方のインターンシップイベントとしては、恐らく全国でも最大規模なのではないかと思います。

仕組みもきちんとしており、まず、説明を聞いた学生が、インターンを希望する企業に個人情報の載ったカードを提出します。そしてその内容を主催者側が取りまとめ、学生ができるだけまんべんなく、多くの企業のインターンシップに参加するように、マッチングしてくれるようになっています。

私はこのイベントの立ち上げにも加わっており、これまで自分の会社(北陸人材ネット)で参加したり、留学生の引率で出席したり、いろいろな形で関わってきたのですが、今年は珍しく、直接的には関わらない形(とはいえ別の要件あり)で、会場をうろうろしておりました。

そうして会場を見て回っていると、学生が集まっている企業と、そうでない企業の格差が激しいことに気付きました。当然、地元の学生の知名度の高い会社には多くの学生が集まるのですが、そうでない企業を見ていても、学生が集まる企業とそうでない企業のばらつきがあるのです。集まっていない企業の人事の方と話をすると「わが社は知名度がないから…」という話をよくされるのですが、本当にそうなのでしょうか?

会場を見ていて、学生の集まりの悪い会社には、実は共通している部分があると感じています。それはブースの表示内容です。社名や、会社のブランドに関する抽象的なキーワードしか掲示していないのです。これではその会社が何をやっているのかもよく分かりません。社名は知らない、その上何をやっているかも分からない企業に対し、学生が興味を持つはずがないでしょう。この当たり前の現実を、よく理解できていない会社が多いように感じています。

また、今回のようなインターンシップフェスの場合、どんなインターンシップを行うのか、そこで何が学べるのか、という情報も必要ですが、学生の集まりの悪い会社では、そうした内容がわかるような掲示もほとんどされておらず、2019卒向けの掲示物をそのまま持ってきているところが多いようでした。

前にもこのコラムで書いたことがあるのですが、知名度さえ上がれば、学生が多く集まる、学生が多く集まりさえすれば、優秀な学生が採用できる、という思い込みから脱却できていない人事の方が、とても多いことに不安を感じています。知名度ってそもそも何なのか? どうすれば知名度が上がるのか? どのような情報で知名度を上げればよいのか? などの、基本的な整理ができていないように思うのです。

地方の中小企業の場合、採用やマーケティングについての基本的な知識や体系的な教育を受ける機会が少なく、新卒で入社した採用担当が上司から伝承されたやり方をそのまま受け継ぐことになるために、思考が硬直化してしまっていることが原因ではないかと思っております。

ちなみにこの問題に関しては、私個人として、実は数年前から、若手採用担当者を集めて定期的に勉強会を開催するといった取り組みを行っております。情報シェアとその分析、そこから導き出される仮説とその実効性の検証などを自律的に回せるスキルを養う場になれば、という思いで、現在もコツコツと続けているところです。
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著者プロフィール

金沢大学 就職支援室長 山本 均

1962年生、金沢大学法学部卒業後、株式会社ナナオに入社、採用教育に従事、その後株式会社アイオーデータ機器、沖電気工業株式会社にて人事採用業務に従事。2007年10月に帰省し、故郷金沢で人材紹介事業を中心とした人事コンサルティング会社、株式会社北陸人材ネットを設立、代表取締役に就任。2009年4月より金沢大学就職支援室長に就任(兼務)。学生の就職支援業務に従事する傍ら、大学の就業力向上プロジェクトに従事中。

「できることからはじめる『働き方改革』〜HR TECHと通勤費管理ソリューションセミナー〜」

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