HR総研では、神戸大学大学院 経営学研究科の服部泰宏准教授による監修のもと、「2021年度新入社員の6月意識調査」を2021年6月17日~30日に実施した。
本調査は、企業における新人研修や育成の施策の検討に際し、2021年度新入社員の不安や期待、会社に求める支援、働き方への志向、入社前のイメージとのギャップ等の傾向についての的確な把握及び効果的な活用を支援することを目的として、2021年度新入社員を対象にした匿名アンケートとなっている(回答者の所属企業名は識別される)。
以下に、調査結果に関する服部泰宏准教授による分析及び考察レポートを掲載する。

【服部泰宏氏のプロフィール】

神戸大学大学院 経営学研究科 准教授
神奈川県生まれ。国立大学法人滋賀大学専任講師、同准教授、国立大学法人横浜国立大学准教授を経て、2018年4月より現職。日本企業における組織と個人の関わりあいや、ビジネスパーソンの学びと知識の普及に関する研究、人材の採用や評価、育成に関する研究に従事。2010年に第26回組織学会高宮賞、 2020
年に日本労務学会学術賞などを受賞。

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

【調査の実施概要】

調査名称:【神戸大学・服部泰宏准教授監修】2021年度新入社員の6月意識調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年6月17日~30日
調査方法:WEBアンケート(SurveyHR)
調査対象:2021年4月入社の新入社員
参加企業数:31社
有効回答数:1,121件

不安度分布は入社前と同等、「保険・金融・クレジット」、「食品」で不安度と増加度が高い

不安度の分布については、3月に実施した入社前調査(内定者対象)のデータとおおよそ同じような分布が確認される。
極端に不安が強い人の人数自体は少ないものの、入社前よりも不安が増加した人が相当数(322人+116人)いることが気がかりではある(図表1-1,2)。どのような人がこの「不安増加組」に含まれるのかということについては,以下で改めて検討する。

【図表1-1】6月時点での不安度の分布

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

【図表1-2】不安度の入社前からの変化

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

業種別に不安の度合い(上段)を見ると、いくつかの業種において、他に比べてスコアが高い(=不安を感じている人が多い、あるいは不安の総量が多い)ということがわかる。
ただし、絶対値は最も不安のスコアが高い「食品」でも3.36であり、深刻なレベルとは言えないだろう。むしろ気になるのは、不安のスコアが高い業種は、同時に、増加(下段)が比較的大きな業種でもあるということである。「保険・金融・クレジット」、「食品」などにおいて、不安のスコアとその増加のスコアがともに高くなっている(図表1-3)。

【図表1-3】業種ごとの不安度の比較

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

最も多い不安の内容は「仕事で成果を出せるか」、配属されるタイミングで解消されず

新入社員が抱えている不安の大部分が、「仕事で成果を出せるか」、「仕事についていけるか」といった、仕事そのものに関わることにあるようだ。
これらは入社前にも多くの回答者によって選択されていた項目であったが、一部、例えば「職場に馴染めるか」、「生活環境に適応できるか」といった項目については、入社後に、不安が大きく減少している。多くの新入社員が、まずは人間関係や性格について、ある程度無難な着地に成功している反面、いよいよ配属され、現場での仕事に従事することになるこのタイミングで、仕事そのものへの不安が解消されないままになっているのだろう(図表2-1,2)。

【図表2-1】不安の具体的な内容に関する全サンプルの度数(N=1,121)

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

【図表2-2】不安の内容について入社前との比較

【神戸大学・服部泰宏准教授監修】 2021年度新入社員の6月意識調査 結果報告

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