HR総研:東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の人事業務に関するアンケート調査 結果報告〜研修、インターンシップ、企業説明会・採用選考、いずれも開催予定は1〜2割〜

今回は、東京オリンピック・パラリンピック開催まで残り半年となる現段階において、開催期間中の企業の人事業務に関する動向について緊急調査した結果を報告する。
東京周辺では、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中(以降、東京五輪期間中)の交通事情の混乱を回避するため、官民一体となり通勤ラッシュの緩和等の具体的な対策を進めている。このような中、企業による東京五輪期間中の就業環境の整備や人事業務の対応は、どのように計画されているのだろうか。
ここでは、企業による東京五輪期間中の就業環境の整備への対策、主な人事業務(研修、インターンシップ、企業説明会・採用選考)に関する予定、予測される影響等について、「東京周辺企業※」と「東京周辺以外の企業」に分け、オリンピック期間とパラリンピック期間各々について調査した結果を以下に紹介する。
※東京周辺企業:ここでは、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を拠点とする企業

<概要>

●東京五輪期間における従業員の就業環境の整備について、東京周辺の中堅企業で不安感が最も高く半数以上
●東京五輪期間中に実施する「従業員の就業環境対策」は、東京周辺の大企業で「在宅でのテレワーク」が最多、中小企業は「対策を取らない」が3割以上
●オリンピック期間中に「研修を開催する」企業は1割以下、「未定」は2〜3割
●東京五輪期間中に実施予定の研修の種類は「新入社員研修(フォロー研修)」が最多
●東京五輪期間中に実施予定の研修の開催方法は「集合研修」が最多
●研修開催へのオリンピック期間による影響、企業規模に比例して懸念が高まる
●オリンピック期間中での「インターンシップ」の開催予定、大企業と中堅企業で1割、半数以上は「開催する予定はない」
●インターンシップ開催へのオリンピック期間による影響、大企業と中堅企業で「少なからず影響する」が半数以上
●東京五輪期間中に「企業説明会や採用選考」を実施予定の企業は2割以下、「未定」が半数を占める
●企業説明会や採用選考の開催へのオリンピック期間による影響、「少なからず影響する」が中堅企業で6割超
●2020年度の「新入社員の配属のタイミング」、大企業と中堅企業では「例年通りオリンピック期間の前」が半数以上

東京五輪期間における従業員の就業環境の整備について、東京周辺の中堅企業で不安感が最も高く半数以上

今夏開催される東京五輪まで残り半年に迫る中、企業の動きはどのようになっているのだろうか。まず、東京五輪期間における従業員の就業環境について、東京周辺、東京周辺以外及び企業規模別に、企業の人事部による整備体制を聞いてみた。
東京オリンピック期間(2020年7月24日〜8月9日/以降、オリンピック期間)における従業員の就業環境の整備については、東京周辺の企業のうち1,001名以上の大企業では、「少し不安である」と「あまり不安ではない」がともに最多で29%、次いで「不安である」が17%などとなっている。「不安」派(「不安である」と「少し不安である」の合計、以降同様)は46%と半数近くとなっている。301〜1,000名の中堅企業では、「少し不安である」が最多で39%、次いで「どちらとも言えない」と「あまり不安はない」がともに18%などとなっている。「不安」派は55%と半数以上を占めており、大企業より不安感が大きい傾向となっている。1〜300名の中小企業では、「あまり不安はない」が最多で38%、次いで「不安はない」が23%、「少し不安である」が18%などとなっている。「不安」派は23%となっており、大企業や中堅企業と比較すると、不安感を抱く企業は少数派であることがうかがえる。
一方、東京周辺以外の企業については、「どちらでもない」が最多で31%、次いで「不安はない」が30%、「あまり不安はない」が24%などとなっており、不安を感じている割合は2割未満であることが分かる(図表1-1)。

【図表1-1】東京オリンピック期間における従業員の就業環境の整備に関する所感
同様に東京パラリンピック期間(2020年8月25日〜9月6日/以降、パラリンピック期間)における従業員の就業環境の整備についても見てみると、東京周辺の企業のうち大企業では、「あまり不安ではない」が最多で27%、次いで「どちらでもない」が23%などとなっている。中堅企業では、「少し不安である」が最多で39%、次いで「あまり不安はない」が26%、「どちらでもない」が16%などとなっている。「不安」派は、大企業で36%、中堅企業で50%、中小企業で16%となっており、オリンピック期間中と同様に、東京周辺の中堅企業の不安感が最も高い傾向にあることが分かる。ただし、どの企業規模においてもオリンピック期間と比較すると、不安感を抱く割合は減少しており、交通事情の混乱が緩和することを想定しているようである。東京周辺以外の企業では、不安感を抱く割合は、オリンピック期間より低い1割未満(7%)であることが分かる(図表1-2)。

【図表1-2】東京パラリンピック期間における従業員の就業環境の整備に関する所感

東京五輪期間中に実施する「従業員の就業環境対策」は、東京周辺の大企業で「在宅でのテレワーク」が最多、中小企業は「対策を取らない」が3割以上

次に、オリンピック期間中に実施予定である「従業員の就業環境対策」については、東京周辺の大企業では「在宅でのテレワーク」が最多で52%、次いで「有給休暇取得の推奨」が40%、「サテライトオフィスでのテレワーク」が33%などとなっており、交通事情の混乱を想定した対策が目立ち、この傾向は中堅企業と中小企業においても同様である(図表2-1)。これらより、今回の東京五輪を機会に、東京周辺企業における自由度の高い就業環境の整備が進むことが期待される。
ただし、「対策は取らない」の割合は、東京周辺の企業においては中小企業で36%、中堅企業で24%となっている。前述のとおり、中小企業における東京五輪期間中の従業員の就業環境に対する不安感が低く、企業規模が小さいほど、対策の必要性を感じていないことがうかがえる。
一方、東京周辺以外の企業においては、「対策は取らない」が55%で最多であり、これに次いで「出張の削減」が17%となっている。これより、東京五輪の影響を感じていない企業の割合が多い傾向にあるが、外部地域(主に東京方面と推測される)への出張を控えることで、東京五輪の影響を回避する企業も2割近くあることが分かる。

【図表2-1】東京オリンピック期間中に実施予定である「従業員の就業環境対策」
パラリンピック期間においては、東京周辺の大企業の対策はオリンピック期間と同様であり、交通事情の混乱を考慮した対策が上位に見られる(図表2-2)。一方、大企業と中堅企業の2割以上が「対策は取らない」としており、中小企業では4割を超えている。これらより、パラリンピック期間は、オリンピック期間より混乱が緩和されると想定している企業が多いことがうかがえる。

【図表2-2】東京パラリンピック期間中に実施予定である「従業員の就業環境対策」

オリンピック期間中に「研修を開催する」企業は1割以下、「未定」は2〜3割

従業員の就業環境整備だけでなく、人事業務に関して東京五輪中の予定はどのようになっているのだろうか。人の動きが多いと想定される「研修」「インターンシップ」「企業説明会・採用選考」について調査した。
オリンピック期間中の研修については、東京周辺のいずれの企業においても「行う予定」とする割合は1割以下であり、「未定」とする割合は2〜3割で、これらの企業は現段階では決めかねていることがうかがえる(図表3-1)。
パラリンピック期間中の研修については、大企業と中堅企業で「行う予定」が1割以上でありオリンピック期間より開催意向がやや高いものの、「行わない予定」とする割合が圧倒的に多いことが分かる(図表3-2)。

【図表3-1】東京オリンピック期間中の「人事部主催の研修」を行う予定
【図表3-2】東京パラリンピック期間中の「人事部主催の研修」を行う予定

東京五輪期間中に実施予定の研修の種類は「新入社員研修(フォロー研修)」が最多

研修を開催予定である東京周辺の企業において、東京五輪期間中に開催予定の「研修の種類」を見てみると、オリンピック期間中では、「新入社員研修(フォロー研修)」が最多で60%であり、次いで「テーマ別研修」が50%などとなっている(図表4)。オリンピック期間中に研修を開催する企業数が非常に少ない中で実施される研修としては、フォローのタイミングが重要となる新入社員の研修が優先されることがうかがえる一方、パラリンピック期間中では、オリンピック期間より研修の種類にバラつきが見られる。

【図表4】東京周辺_東京オリンピック期間中に開催予定の「研修の種類」

東京五輪期間中に実施予定の研修の開催方法は「集合研修」が最多

次に、研修を開催予定である東京周辺の企業において、東京五輪期間中に開催予定の研修方法を見てみる。オリンピック期間とパラリンピック期間では、「集合研修」がともに最多で100%であり、次いで「eラーニング」がそれぞれ30%、33%などとなっている(図表5)。交通事情の混乱が予測される中、可能な限りeラーニングやTV会議システム等を活用した研修方法を選択することで、東京五輪期間による混乱を避けることができる。しかし、現状では、研修を開催するすべての企業で少なくとも1つ以上の研修で集合研修の形式を取ることとしている。新入社員のフォロー研修等であれば、同期が一堂に会する貴重な機会にもなり集合研修の形式を取ることの意義深さも理解できる一方、企業とっては、集合研修の形式が五輪期間中の研修開催に対する不安の一因となっていると推測される。

【図表5】東京周辺_東京五輪期間中に実施予定の「研修の開催方法」

研修開催へのオリンピック期間による影響、企業規模に比例して懸念が高まる

「東京五輪期間中であることが研修の開催に影響すると思うか」については、以下のとおりである。
オリンピック期間においては、東京周辺企業の中で大企業では、「影響する」(23%)と「少し影響する」(29%)と予測しており、「少なからず影響がある」(「影響する」と「少し影響する」の合計、以降同様)は52%であり、半数以上の企業が、東京五輪期間の影響を懸念している(図表6-1)。同様に、中堅企業では43%、中小企業では30%であり、企業規模に比例して「影響がある」と予測する割合が高いことが分かる。
パラリンピック期間においては、大企業の中で「影響がある」と予測する企業の割合は、「影響する」(19%)と「少し影響する」(23%)の合計で42%であり、オリンピック期間と比較すると10ポイント減少している(図表6-2)。研修の開催予定である企業の割合についてオリンピック期間とパラリンピック期間では顕著な差異がないことから、この要因としては、オリンピックの方がパラリンピックより観客動員数が多いことが予測されていることが、研修開催への影響の予測にも繋がっていると推測される。


【図表6-1】東京オリンピック開催期間中の「研修の開催への影響」
【図表6-2】東京パラリンピック開催期間中の「研修の開催への影響」

オリンピック期間中での「インターンシップ」の開催予定、大企業と中堅企業で1割、半数以上は「開催する予定はない」

次に、東京五輪期間中の「インターンシップの開催予定」について見てみると、オリンピック期間中のインターンシップを「開催する予定である」の割合は、いずれの属性の企業においても1割程度であり、半数以上が「開催する予定はない」としている(図表7-1)。また、パラリンピック期間中では、東京周辺の企業のインターンシップを「開催する予定である」の割合は、オリンピック期間と同様に1割程度であり、「開催する予定はない」とする企業はオリンピック期間よりやや減少し、「未定である」企業の割合が半数近くであり、やや増加している(図表7-2)。ただし、中小企業については、オリンピック期間とパラリンピック期間ともに「開催する予定はない」とする割合が7割を占め、東京周辺以外の企業の半数は「未定」としている。

【図表7-1】東京オリンピック期間中に「インターンシップ」を開催する予定
【図表7-2】東京パラリンピック期間中に「インターンシップ」を開催する予定

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の人事業務に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年12月18日〜12月25日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、採用・人材育成ご担当者
有効回答:254件(東京周辺エリア:170件、東京周辺以外:84件)

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