WithコロナやDX推進など社会やビジネスの目まぐるしい変化を捉え、企業が生き残りさらなる発展をしていくため、事業や組織、カルチャー等に関する企業変革の必要性が叫ばれている。このような中、実際に企業変革を推進している企業では、どのように変革を推進し、企業変革に連動した人事戦略とは、どのようなものなのだろうか。
HR総研では、企業変革と人事戦略の取組みの実態を把握するとともに、企業変革に繋がりやすい人事戦略の在り方について検証した。
以下に、フリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●事業変革は半数が推進、カルチャー変革は4割近く
●カルチャー変革の成果が出ている企業の7割以上で事業変革でも成果あり
●企業変革の推進目的は「収益向上」と「生産性向上」が最多で過半数
●カルチャー変革の成果が出ている企業でレジリエンス力が高い傾向
●企業理念に企業変革が示される割合は半数
●企業変革の成果が出ている企業ほど「企業理念」が浸透
●企業理念が浸透している企業での働きかけ、「社員への頻繁な情報発信」が最多
●人事戦略を策定・実施している企業は半数近く、大企業では6割以上
●カルチャー変革の成果が出る企業ほど人事戦略の推進レベルが高い傾向
●企業変革の成果が出るほど人事戦略の推進がエンゲージメント向上に繋がる傾向
●人事戦略の連動がある企業ほど人事データの活用・分析に取り組む傾向

事業変革は半数が推進、カルチャー変革は4割近く

まず、企業変革を「事業に関する企業変革」(以下、事業変革)と「価値観・文化に関する企業変革」(以下、カルチャー変革)の2つに分け、推進状況を見てみる。
事業変革については、「やや推進している」が最多で39%、「強く推進している」が10%で、これらを合計した「推進している」(以下同じ)は49%でほぼ半数となっている。カルチャー変革については、「どちらとも言えない」が最多で37%、「推進している」は36%で、事業変革より13ポイント低くなっている(図表1-1)。
推進期間については、事業変革とカルチャー変革での顕著な差異はなく、「3年未満」(「1年未満」~「2~3年未満」の合計)の割合はともに69%で、ほぼ7割となっている(図表1-2)。

【図表1-1】「事業変革」と「カルチャー変革」の推進状況

HR総研:企業変革と人事戦略に関するアンケート 結果報告

【図表1-2】「事業変革」と「カルチャー変革」の推進期間

HR総研:企業変革と人事戦略に関するアンケート 結果報告

カルチャー変革の成果が出ている企業の7割以上で事業変革でも成果あり

事業変革の成果の状況については、「どちらとも言えない」が最も多く45%となっている。次いで「やや成果が出ている」が25%、「大きな成果が出ている」が4%で、これらを合計した「成果が出ている」(以下同じ)は29%となっている。カルチャー変革の成果の状況については、事業変革と同様に「どちらとも言えない」が最も多く52%、「成果が出ている」は26%となっている(図表2-1)。
また、カルチャー変革の成果の有無別に事業変革の成果の状況について見てみると、カルチャー変革の成果が出ている企業群では「成果が出ている」割合が71%で7割以上となり、他の企業群より顕著に高くなっている(図表2-2)。

【図表2-1】「事業変革」と「カルチャー変革」の成果の状況

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【図表2-2】カルチャー変革の成果別 事業変革の成果の状況

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【図表2-3】推進期間別 「事業変革」の成果

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【図表2-4】推進期間別 「カルチャー変革」の成果

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企業変革の推進目的は「収益向上」と「生産性向上」が最多で過半数

企業変革を推進する目的は、全体では「収益向上」と「生産性向上」が最も多く、ともに51%、次いで「組織力の強化」が47%、「新商品・サービスの創出」が43%などとなっている(図表3)。
なお、事業変革の成果が出ている企業群では「DX推進」、カルチャー変革の成果が出ている企業群では「DX推進」に加え「イノベーション人材の創出」を挙げる割合が、全体より特に高くなる傾向も見られている。

【図表3】企業変革の推進目的

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カルチャー変革の成果が出ている企業でレジリエンス力が高い傾向

次に、コロナ禍以降での企業変革に対する認識の変化について見てみると、事業変革については「やや認識が高まった」が46%、「非常に認識が高まった」が17%で、これらを合計すると「認識が高まった」割合は63%で6割以上となっている。カルチャー変革では「認識が高まった」割合は45%で、事業変革への認識の変化より、コロナ禍による影響は小さいことがうかがえる(図表4-1)。

【図表4-1】コロナ禍以降での企業変革に対する認識の変化

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コロナ禍によって受けたネガティブな影響に対して「素早く対応できた割合」を、各企業変革の成果別に見ると、各企業変革の成果が出ている企業群の方が、成果が出ていない企業群より圧倒的に高くなっている。
成果が出ている企業群の中で、事業変革とカルチャー変革で「素早く対応できた割合」を比較すると、事業変革の成果が出ている企業群では68%、カルチャー変革の成果が出ている企業群では93%となっている。
したがって、カルチャー変革の成果が出ている企業群で、ネガティブな影響に素早く対応できた割合が最も高くなっており、カルチャー変革の成果がレジリエンス力の高さに繋がっていると推測される(図表4-2)。

【図表4-2】各企業変革の成果別 コロナ禍のネガティブな影響に対応できた割合

HR総研:企業変革と人事戦略に関するアンケート 結果報告

企業理念に企業変革が示される割合は半数

自社の企業変革が、「企業理念」(パーパスやビジョン、ミッション、バリュー、行動指針等の総称とする)で明確に示されているかについては、「どちらとも言えない」と「明確に示されている」がともに32%で最も高くなっている。次いで「間接的に示されている」が18%となり、「明確に示されている」と合計すると「示されている」割合は50%となっている(図表5)。
「企業理念」として企業変革を掲げることによって、企業の意思を社内外に明確に発信しようとする企業が半数に上る中、このメッセージはどれだけ社員に浸透しているのだろうか。

【図表5】「企業理念」での企業変革の表示

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】「企業変革と人事戦略」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年5月31日~6月14日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、担当者
有効回答:209件

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